語学の愉しみ
木曜日の夜は仕事を早めに切り上げて、近くの大学に向かう。ドイツ語の市民講座を受けるためだ。
担当している案件の都合でこの4月から受講しているが、早々に3週間の現地出張が入ってしまい、もう5月も半ばなのに半分も出席できていない。
クラスルームを見渡すと受講者は15名ほどで、そのほとんどが中高年の男性と女性である。
先生はおそらく大学院に在学中あるいは博士課程を出たばかりくらいに見える。
初級~中級向けのクラスということで、基本的な文法は一通りカバーするが、ある程度の知識はある前提で進む。
周りの受講者の方たちがどういった目的で参加されているかは分からないが、総じてモチベーションは高い。
とうに定年を迎えられているであろう男性や専業主婦なのか仕事帰りなのかは分からないが中年と呼べる年頃の女性から時に鋭く、時に少々的外れの質問が飛ぶ。
先生もたじたじである。
でも、さすが研究者だけあって不明点は持ち帰り、次週に論文やコーパス研究に基づいた解説をしてくれる。
大学生の1-2年生向けの第2外国語の授業とは大違いだ。
あの頃の先生もきっとよろこんで答えてくれたのかもしれないが、たいてい朝一番のコマに設定されている”2外”の教室に挙がる手は少ない。
これで1回90分、全12回で2万円もしないのだから、勉強というのはなんて安上がりで良い趣味だろうか。
定年してやることがないという話を聞くけれど、このクラスの方たちのようにいくつになっても学びの喜びを味わえるのは素敵なことだ。
社会人になっても英語の勉強は細々と続けていたけれどそろそろ飽きてきた頃で、今回仕事をきっかけにドイツ語に取り組むことができてうれしい。
大学生の頃に英語以外にスペイン語や韓国語に手を出したが、結局、挫折した。
今回のドイツ語も名詞の性や格による冠詞の変化、動詞の活用はまだまだ全く頭に入ってこないけれど、仕事でドイツに行く機会があるのは、モチベーションを保つ上でこの上ない条件だ。
それに加えて今回は熱心な人生の先輩方が隣にいる。貪欲に学びを楽しむ彼らの背中を見ながら、細々と続けていきたい。