雑草の名前 〜趣があってややこしい〜
こんにちは。
前回は雑草の名前について色々お話ししました。
私たちがよく用いる呼び方は「和名」と呼ばれるもので、植物の世界共通の名前として「学名」というものがあるというお話をしました。
今日は、和名というものがいかに面倒臭いかを体感してもらうために、1つクイズを用意しました。
植物好きの方なら即答かもしれませんが。。。
では、問題です。
次の①〜⑥の雑草は、2つのグループに分けることができます。分かりますか?
①ツメクサ
②シロツメクサ
③イトツメクサ
④ハマツメクサ
⑤ムラサキツメクサ
⑥コメツブツメクサ
全部知っていたあなたは素晴らしいです。おそらく、クイズの正解も分かるはずです。
シロツメクサだけ知っている!という人も多いかと思います。そういう方は、「全部ツメクサってついてるから、同じ仲間なんじゃないの?」と思ってしまうのではないでしょうか。しかし、違うのです。
では大ヒントです。それぞれの写真を掲載します。
①ツメクサ
②シロツメクサ
③イトツメクサ
④ハマツメクサ
⑤ムラサキツメクサ
⑥コメツブツメクサ
写真を見ると、明らかに
①ツメクサ、③イトツメクサ、④ハマツメクサ
と
②シロツメクサ、⑤ムラサキツメクサ、⑥コメツブツメクサ
が違うグループであることがわかると思います。
それもそのはず、前者①③④はナデシコ科ツメクサ属の植物であるのに対し、後者②⑤⑥はマメ科シャジクソウ属の植物です。
科が違うのです。
これらの植物を知らない人からすると、どうやったらわかんねん!という感じだと思います。
ではこれらに植物の学名を紹介します。
①ツメクサ:Sagina japonica (Sw.) Ohwi
②シロツメクサ:Trifolium repens L.
③イトツメクサ:Sagina apetala Ard.
④ハマツメクサ:Sagina maxima A.Gray
⑤ムラサキツメクサ:Trifolium pratense L.
⑥コメツブツメクサ:Trifolium dubium Sibth.
なんと!綺麗に①③④と②⑤⑥に分かれているではありませんか。
Saginaはツメクサ属、Trifoliumはシャジクソウ属を表ているのです。
このように学名は、名前を聞くだけでどの植物の仲間なのかを正しく判断できるのです。
一方の和名は、全然違う仲間の植物に同じ「ツメクサ」という名前を当ててしまっているため、これらの植物がみんな同じ仲間と誤解してしまうわけです。
まあ実物を見れば流石にあれ?とはなりますが。
ではなぜ同じツメクサという名前が付けられたのでしょうか?
②⑤⑥のツメクサという名前を漢字で表すと「詰草」となります。これは、シロツメクサが昔、海外からのガラス製品の梱包に緩衝材として詰められていたことに由来しているそうです。
一方、①③④のツメクサを漢字で表すと「爪草」となります。これは単純に、細い草が鳥の爪に似ていることから名付けられたと言われています。
まっっっったく由来は違うのですが、同じ「ツメクサ」という名前になってしまったようです。
このように、和名は風情があるがややこしいのです!
他にも、植物の和名を調べてみるとこんな由来だったのか!と驚かされるものばかりで、とても面白いです。
みなさんの知っている植物名の由来や、ツメクサのようなややこしい和名の植物があればぜひ教えてください。
それでは今日はこの辺で。
P.S.
先日上げたマメグンバイナズナが盛んに咲き始めていますが、先日福岡に行った際にキレハマメグンバイナズナを見つけました!ピントが合ってないので分かりにくいですが、葉が切れ込んでおり、そこらじゅうにいる奴とは異なっています。
また読んでください!