【友達】消しゴム
【お題】
友達
【10行プロット】
中学生の主人公・結城は最近、弟と仮面ライダーを見ることにはまっている。実は、クラスメイトの蒼汰も仮面ライダーが好きなことを知っている。しかし、周りはそんな蒼汰を馬鹿にしていたため、蒼汰に話しかけられず、自分も好きだということを周りに隠して過ごしていた。ある日の放課後、蒼汰が帰った後、結城は蒼汰が落としていった忘れ物に気づく。話すチャンスかもしれないと思った蒼汰は、それを蒼汰に届けに行く。しかし、ここでもまた、勇気が出ず蒼汰の家まで、蒼汰の後をつけている。蒼汰が家に入りそうになった瞬間、勇気を振り絞り呼ぶと、蒼汰は結城の姿に戸惑っている。自分より緊張した様子の蒼汰を見た結城は、肩の力が下り自分も同じ趣味を持っていることをすんなり話すことができる。
【教訓】
きっかけは自分で掴むものだ
【登場人物】
東根結城(13)・西村蒼汰(13)・男A(13)・男B(13)
【本文】
〇 ある中学校・二年生の教室(夕)
放課後、帰り支度をする蒼汰。スクバに、仮面ライダーの描かれたファイルをしまい込む姿を横目に見る、男子集団。
男A「あいつ、仮面ライダーとかまだ見てんのかよ」
男B「ベルトつけてへんしーん! とかやってんじゃね? 」
苦笑いをしながら相槌を打つ、結城。
話を聞いて逃げるように帰る蒼汰。
蒼汰を馬鹿にした笑い声で見送った後、帰り支度をする男子集団。
結城が、蒼汰の椅子の下に仮面ライダーが描かれた消しゴムを見つける。
結城「ごめん。俺、用事思い出した。先、帰るわ」
〇 蒼汰の家の前の道(夕)
蒼汰の後を隠れながら追う、結城。
蒼汰、自分の家の門を開ける。
結城、消しゴムを握りしめてとっさに叫ぶ。
結城「なぁ!」
結城の声に、蒼汰が振り向く。
結城の姿を目にして戸惑う、蒼汰。
結城、蒼汰の戸惑う姿を見て笑みをこぼし、蒼汰に歩み寄り消しゴムを差し出す。
とっさに奪い取る蒼汰。
結城「佐藤健かっこいいよな」
蒼汰「……え?」
結城「弟の影響でさ、俺も仮面ライダー見るんだけど、電王が一番好きなんだ」
蒼汰「ぼ、僕も!」
結城と蒼汰は今日一番の笑みをこぼす。
(おわり)