自慢のだんごの末路
【お題】
だんご
【イラストレーター】
緑川_桃 twitter @Greeeeeenpeach
【10行プロット】
ある日の団子屋さん。店頭に並んだ団子たち。その中でひと際、輝きを放っていた、主人公達が刺さっている串。その串を、団子屋の店主は今日一、うまく焼けたと自負していた。それに乗せられた4人はこの中でさらに、誰が一番きれいに焼けているかで喧嘩し始める。見栄っ張りなところだけ似た4人の喧嘩はどんどん白熱していく。その間に周りの串は協力して、自分たちが美味しく見えるようにお客さんへアピールしていく。減っていく周りの串たちを見て、自分たちが売れないのは自分以外の仲間のせいだと足を引っ張る。どんどん相手の悪いところばかりを指摘し、気づいたころには閉店の時間になり、自分たちだけが売れ残っていて、捨てられる。
【教訓】
仲間内での喧嘩は、どんなに能力が高い人が集まっても良くない結果を生むことがある。
【登場人物】
太郎(1番上)・一之介(2番目)・一郎(3番目)・一雄(1番下)・店主
【本文】
〇 ある団子屋
団子屋の調理場から煙がもくもくと上がる。
店主が団子を一つ一つ丁寧に焼く。みたらし
のたれ壺につけていく。
店主「ほれっぼれするぐらい綺麗や」
団子をショーケースに入れ、退出する店主。
〇 ある団子屋・ショーケースの中
一斉に話始める、ショーケースの団子たち。
一之介「なぁ、俺ら1番やて!」
一郎「そりゃそうでしょう。俺がいるのですから」
一雄「僕が一番つやつやしていておいしそうだと
思うんだけどな~」
太郎「ごちゃごちゃうるせぇな、ブスたちは
黙ってろ」
一之介「仲良くしよーや、俺らが一番最初に
売れるのは間違いないんやし。えーやん」
お店が開店し、隣の串が売れる。
一雄「……隣、売れちゃったけど」
一之介「なんやてー!!」
太郎「おめぇらがうるせぇからだろうが」
一雄「まぁまぁ」
周りの串がどんどん売れていく。
一郎「お前みたいなみたらしがいっぱいついてる
だけで中身がいびつな奴がいるからでしょう。
せめて、その無駄についてるみたらしを光らし
て、客にアピールしたらどうですか」
一雄「まぁまぁまぁ」
太郎「なんだとてめぇ!!」
一之介「だーかーらー、仲良くしようよ!」
一雄「まぁまぁまぁまぁ」
太郎・一郎「お前は黙ってろ(ください)」
一之介「(みたらしを垂らしながら)ひどいよぉ」
太郎「大体な――」
一雄「(餅にヒビをいれながら)まだ、やるの?」
太郎「……ちっ」
一之介「もう少し、有効的な話をしよ。せっかく
僕みたいな綺麗な団子がいるのに」
一雄「そうだね、一之介ちょっと焦げてるけど」
一之介「え? それを言ったら一雄だってひびは
いってるじゃーん」
一雄「それは、さっき太郎と一郎が――」
× × ×
外はすっかり夕方になり、串が一つ残る。
店主「あー、残っちまったか。ま、いいだろ」
店主、残った串を口に運ぶ。
奥さんoff「あんたー! 残った団子食べん
じゃないよー」
店主「へーへー」
ゴミ箱へと串を投げ捨てる店主。
〇 ある団子屋・外観
一羽のカラスが通る。
カラス「アホー、アホー」
(おわり)