恋煩いに魅せられて

【10行プロット】

 愛され体質のまき子。そんなまき子には48年付き添った夫がいた。夫が妻にベタ惚れのおしどり夫婦だ。そんな2人に病魔が襲う。夫が病にかかり、先が短いことがわかる。2人は病室に戻り、2人の半生を振り返り始める。出会った時の事、結婚した時の事、子供が生まれた時の事、一緒に旅行に行った時の事。良い思い出ばかりが2人の脳内を巡る。すると、頑固者の宏の口から「生まれ変わっても、一緒になろうな」という言葉が出る。照れくさくて、はぐらかすまき子。その後、夫が亡くなる。まき子は夫が亡くなってもなお、隣にいたいと毎日仏壇に話しかけるまき子。その仏壇に置かれている、位牌の戒名は、右寄りに掘られ、一人分の名前が入るようになっている。

【教訓】

大切な人が亡くなるとき本当の恋に落ちる 

【登場人物】

吉住まき子(68)・吉住宏(75)

【本文】

〇 ある病室
  窓側のベッドに横たわる宏(75)
  宏の手をマッサージするまき子(68)
宏 「暑いか? 今日は」
まき子「えぇ、30℃超すって言ってたわ」
宏 「そろそろ……紗季の誕生日だな」
まき子「あの子が産まれた時も暑かったわね」
以下、点描で過去回想

〇 ある病院・宏の病室
  赤ちゃんを慣れない手つきで抱く宏
  幸せそうに微笑むまき子

〇 小学校・入学式
  若い夫婦とランドセルを背負う紗季
 
〇 結婚式場
  隣に座り泣く宏とハンカチを渡すまき子

〇 ある旅館
  部屋食を食べる、夫婦と娘家族

〇 (回想戻り)ある病室・宏の病室
宏 「……楽しかったな」
まき子「何言ってるのよ。お父さんには長生きしてもらわないと」
  急に窓際を向く宏
宏 「生まれ変わっても一緒になろうな」
  宏、耳が赤い
まき子「あらぁ、私は別の人がいいわ」
  頬を赤らめ、泣き笑いをするまき子

〇 吉住家・和室
  仏壇が置かれ、周りに花が置かれている
  その前に笑顔で座るまき子。
まき子「お父さん、今日はね――」
  位牌の戒名は右に寄っている
                 (おわり)




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小柳菜ノ花
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