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電子カルテ業界の闇_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード11_全文書き起こし

ドックウェブ『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E9%99%A2%E9%95%B7%E3%81%8C%E6%82%A9%E3%82%93%E3%81%A0%E3%82%89%E8%81%B4%E3%81%8F%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA/id1737563801

オープニングトーク

高山
おはようございます。パーソナリティの「ドックウェブ」編集長、高山豊明です。

大西
おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

高山
さて、「院長が悩んだら聞くラジオ」、第11回が始まりました。本日もよろしくお願いします。

大西
よろしくお願いします。


テーマ「電子カルテの闇」

高山
今日のテーマは何でしょうか?

大西
今日のテーマは「電子カルテの闇」です!この分野は私の専門ですので、話せる範囲で積極的にお話しします。最近、FIXERという企業が標準型電子カルテの開発を約8億円で受注したというニュースがありましたね。「FIXER」という名前も話題ですが、「8億円でどこまで作れるのか」という懸念もあります。

高山
なるほど、8億円でどこまでやれるのか気になりますね。仕様は決まっているでしょうから、なんとか予算内で実現できるかもしれませんが…。

大西
電子カルテにはこれまで何百億円もの投資がされ、さまざまな企業が特許を取得して開発してきた経緯があります。特許が絡むと、新たな開発にはどうしても制限が出てくるため、厳しい部分もあるでしょうね。

高山
そうですね。では、「電子カルテの闇」についてさらに深掘りしていきましょう。よろしくお願いします。

大西
はい、よろしくお願いします。


最近の電子カルテ事情

高山
最近、大規模病院で電子カルテがウイルス感染で停止したり、クラウド型への全面移行でトラブルが発生したりといったニュースをよく目にします。こうしたデータ移行の難しさもあり、国としても早急な対策が求められていますね。

大西
その通りです。厚生労働省もこの問題を認識しており、電子カルテの互換性を向上させるために「HL7 FHIR」という国際規格を導入しようとしています。将来的にはクラウド型電子カルテが主流になると予想されますが、クラウドにはクラウドのリスクもあります。

高山
具体的にどういったリスクでしょうか?

大西
クラウド型ではサーバーが停止すると、数千もの医療機関の電子カルテが一斉に使えなくなる可能性があります。オンプレミス型なら影響は個別の施設に限定されますが、クラウド型は一度停止すると影響が広範囲に及びます。

高山
確かに、クラウドは便利な半面、その「一斉停止リスク」が怖いところですね。


電子カルテの導入と標準化の課題

高山
HL7 FHIRが導入されると、電子カルテのデータ互換性が高まるわけですね?

大西
そうです。HL7 FHIRは電子カルテ間のデータ交換規約なので、これを導入すれば、異なる電子カルテ間でデータの書き出しや読み込みがしやすくなります。国としても、この規格に基づいて標準化を推進しています。

高山
標準化によって、各メーカーが求められる仕様が増え、価格にも影響が出そうですね。

大西
おっしゃる通りです。メーカーとしては新たな仕様への対応には追加コストがかかりますが、価格を下げなければ売れないというジレンマがあります。国の補助金が入れば話は変わりますが、医療機関への負担は残ります。

高山
クリニックや中小病院にとっては、負担の増加が課題ですね。


電子カルテ普及の現状と今後の見通し

高山
標準型電子カルテの導入は、どのような影響を与えると考えられますか?

大西
国は2030年に電子カルテの普及率をほぼ100%にしたい意向です。毎年クリニックの8%程度が電子カルテを導入していますが、標準型が普及すれば、国の目標達成がさらに早まる可能性がありますね。

高山
クリニックにとって、標準型電子カルテはオーバースペックで割高になるかもしれませんね。

大西
そうですね。クリニックは安価で必要最低限の機能が備わった電子カルテを望む傾向が強いです。多くのクリニックでは、レセコンと電子カルテが連動しているシステムも多いため、互換性の問題は課題として残ります。

高山
そのあたり、厚労省とメーカーの思惑が微妙にかみ合っていない部分が見えてきますね。


電子カルテ業界に潜む構造的な「闇」

高山
電子カルテに関する一番の「闇」とは、どの部分でしょうか?

大西
業界内の自由競争が制限されている点ですね。特定の大手ベンダーが規格の策定や仕様に影響を及ぼし、他の企業が参入しづらくなる構造があります。さらに、メーカーが対応に多額の費用をかけざるを得ず、結果として価格が上がってしまうのです。

高山
確かに、その構造が業界全体の足かせとなっているように感じますね。

大西
標準化は良い面もありますが、実質的には国による規制のような面もあります。競争が限定されているために、医療機関が最適な価格で最適な製品を導入しにくい状況が生まれていますね。

高山
なるほど、それが電子カルテの「闇」ですね。


高山
本日は「電子カルテの闇」について、大西さんと共に深くお話ししました。次回も引き続き、このテーマを掘り下げていきたいと思います。大西さん、ありがとうございました。

大西
ありがとうございました。

高山
「院長が悩んだら聞くラジオ」、最後までお聞きいただきありがとうございました。ご意見やご感想は、ハッシュタグ「#院長が悩んだら聞くラジオ」でSNSに投稿していただけると嬉しいです。次回の配信は来週月曜日の朝5時です。またポッドキャストでお会いしましょう。さようなら。

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