WEB問診システムを開業医が使う本当の理由 Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード9全文書き起こし
DOC WEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
PODCASTエピソード
https://x.gd/0VBM7
オープニングトーク
(高山)
おはようございます。
パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)
おはようございます。
パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(大西)
院長が悩んだら聞くラジオ、第9回始まりました。
(高山)
大西さん、よろしくお願いします。
(大西)
よろしくお願いします。
今回のテーマは何ですか?
(高山)
今回のテーマは、WEB問診システムです。
(大西)
WEB問診システムはですね。
WEBっていう名前じゃなかったんですよ、元々。
iPad問診っていう名前だったんですよね。
(高山)
ありましたね。懐かしいです。
(大西)
iPad問診で、次にタブレット問診になったんですよ。
タブレット、iPadだけじゃないですからね。
(高山)
そうですね。
(大西)
その後にWEB問診って言葉になったので。
2010年ぐらいからスタートですね。iPad実現に合わせて作られた感じです。
(高山)
そうでしたね。懐かしいです。
紙がiPadになったり、タブレットになったりっていうのが最初でしたね。
(大西)
元々持っていた問診の使い方がコロナで変わったっていう感じで、コロナで大ブレイクした商品ですね。
(高山)
コロナがWEBブ問診を加速させたんですかね。
ということで、今回はWEB問診システムについて語っていきたいと思います。
よろしくお願いします。
(大西)
お願いします。
WEB問診システム
(高山)
今回、WEB問診システムということで、大西さん。
WEB問診システムって言うと、現在何社ぐらい提供されてるんですか?
(大西)
さっきのiPad問診、タブレット問診、WEB問診って全部ひっくるめると、10社ぐらいかなっていう感じですね。
(高山)
現在もiPad問診みたいなのってあるんですか?
(大西)
あります。長くやっているところもありますね。
(高山)
そうなんですね。
(大西)
ただ、AI問診っていうのが一時出てて。それが何社か出てきて。
雰囲気は変わってきてるけど、全部問診システムというくくりなんじゃないですかね。
10社ぐらいあると思います。
(高山)
WEB問診をして、単に問診の内容を電子カルテに転記できたりするタイプもあれば、問診に入力されたデータも分析して、転記するだけではなくて「もしかしたらこういう疾患かもしれませんよ」って、レファレンスも出すっていうようなシステムもあると思うんですけども、今人気のタイプってどういうタイプですか?
(大西)
この辺りはちょっと、マーケットインの発想とプロダクトアウトの発想があって。
さっきの、病名を類推するっていう機能はドクターにとって大きなお世話なんですよ。
(高山)
そうなんですね。
(大西)
だって、鼻水、鼻詰まり、喉が痛い、風邪だって言われたとしても「そうですよね」で終わりですから。
ネットでは必要なんですよ。患者が調べる時に。
でも、日本の診療科って、診療科ごとにクリニックが存在するので、
分かるものは自己判断できて、分からなかったら全部紹介状なんですね。
だからケース的に言うと、あまりないんですよ。レファレンスする必要があるものって。
だから、大きなお世話システムはあんまりないんですね。
(高山)
そうなんですね。
(大西)
結論で言うと、もうちょっとバリエーションのあるものなんですけど。例えば、発熱の患者さんにフラグを立てて、その患者さんを分けられるとか。
(高山)
動線を分ける。
(大西)
あとはちょっとしたコメントをやりとりできるとか。
あとは問診内容を少し分析して、カルテの形式にして貼り付けられるとか。
あとは電子カルテと連携して、自動的に入るとか。
そういう、ちょっとその辺りは、開発者側の思惑じゃない方向に走ってるかな。
(高山)
なるほど。問診の内容を転記する手間を軽減するっていうシステムの方が喜ばれてるんですかね?
(大西)
2つの考え方で、業務効率化ツールとしてWEB問診をとらえるのか、マーケティングツールとしてとらえるのか、それとも医師の脳みその代わりとしてとらえるのか。3つぐらいに分かれるんじゃないかな。
そうすると、医師の脳みその代わりでAIを入れると、多くの先生たちは「ちょっとうざい」って言うんですよね。
(高山)
あんまりそこは、クリニックにとっては必要ない部分なんですね。
(大西)
そうですね。
僕が喋った内容を勝手にAIが考えて文章にされて、それをチェックするとすごいイライラするんですよ。
やっぱりそこはこだわりなんですよね。
ドクターも同じなんだと思います。自分の鑑別診断っていうものがあって、その鑑別診断にAIが抵触してくると、とたんに嫌になるんですよ。「その考え方違う」みたいなことを言い出すので。
(高山)
なるほど。自分のペースとかスタイルを乱されるみたいな感じですかね。
(大西)
それは過去30年、その先生の歴史ですからね。
例えば、30歳でドクターになって、60歳の先生だったら、30年間培ってきた鑑別診断の仕組みを若造に変えられたみたいで嫌なんじゃないかな。
(高山)
なるほど。
(大西)
だから、まずはドクターの頭の中を再現するっていうのは、先生によって好き嫌いが分かれますね。
(高山)
病院だと色々な診療をしなきゃいけないので、若手の医師からすると、そういうシステムがあると嬉しいんですかね。助かるみたいな。
(大西)
欲しいと思いますよ。
だって開発者は若手じゃないですか。自分たちが欲しいシステムを作るわけですよ。
買う人は大人じゃないですか。若手じゃなくてベテランなんで。
ミスマッチが起きるんですよね。
(高山)
確かにそうですね。
(大西)
だからマーケットインの発想で考えると、買う層はどれぐらいの年齢層で、何にこだわりを持っているか、っていうペルソナが必要なのに、システム開発者側は自分たちで作っちゃってる人が多いんですよ。
(高山)
なるほど。そういう部分がレファレンスの部分なんですね。
(大西)
業務効率化か、マーケティングツールとして考える時に、業務の効率化は、ただ1点に絞られますよね。
紙に書いた問診票を文字お越ししてきた時代があるわけです。
それを省略化するために、書かれたものをデジタル化し、それをカルテに貼るっていう作業をワンクリックで済ませること。
これが業務効率化ですね。
で、これがみんなできるはずなのに、できないんですよ。
(高山)
みんなできるっていうのは、誰のことですか?
(大西)
電子カルテがやればできそうに感じるじゃないですか。
ここに電子カルテ業界の闇があって、繋ぎたくないっていう仕組みが結構蔓延ってるわけですね。
API連携っていうのが非常に電子カルテ業界は弱い。
(高山)
電子カルテメーカーが問診システムを独自で作ることってのもあったんですか?今まで。
(大西)
ないです。
(高山)
ないんですね。
それならなんで、自分たちで作ろうっていう発想にならなかったんでしょうか?
(大西)
多分問診システムがWEBブラウザだからじゃないかな。
(高山)
もう、そもそも作りが違うので、、、
(大西)
その開発会社がいないんじゃないかな。
(高山)
そういう歴史があったんですかね。
(大西)
患者さんが入力するツールはスマホですよね。
スマホで動かすためのプログラマーと電子カルテのプログラマーって、明らかに住んでる世界が違うんですよ。言語も違うし、技術も違う。
それが裏側の話ですね。あと発想も違いますしね。
医師が入力する仕組みと患者が入力する仕組み、これは同じ会社が作れないんですよね。
(高山)
なるほど。構造的に、ちょっと違う種類の物だったんですね。
(大西)
マーケティングツールとして、多分今回、花開いたんだと思うんですけど。WEB問診って、実は導入して失敗するケースっていうのがあってね。
最たるものは、WEB問診を入れたけど、自然に問診を取らなくなってしまったために、かえって遅くなってしまうというケースがあるんですよ。
(高山)
どういうことですか?
(大西)
簡単に言うと、患者が来てWEB問診を渡して入力をしてもらうと、問診票の書き方が分からなくて悩んでしまう人が出てきて、それが待ち時間につながるんです。
本来WEB問診っていうのは、家でやるものなんですよ。
これを徹底しないと、ただの待ち時間の原因になってしまうんです。
(高山)
そうですね。
(大西)
例えば、タブレットで入力するのがいくら速かったとしても、初めて触るものって人間リテラシーが低いんですよね。
だから、どこにボタンがあるか、どこで保存するのか、どうやって送信するのか分かんないから、どうしても遅くなってしまうんですよ。
一方で手書きって速いじゃないですか。
よく僕、お店に行って「会員登録してください」ってタブレット渡されるとすごい嫌なんですよ。
(高山)
時間かかりますよね、あれ。
(大西)
あれは遅いですよ。
あれと同じことがWEB問診で起きるので、できるだけ家でやってもらいたいんです。
(高山)
そうですね。
(大西)
そうすると家でやると、色々なメリットがあるんですよ。
ゆっくり入力できる、予約と一緒に入れられる、間違ったら修正できる。
非常にメリットがあって、来院した時には既にデータが入っていて、カルテにペタって貼れるわけですから、現場からすると時間差がとれるっていうのが大きいんですよね。
(高山)
そうですね。
(大西)
あともう1つは、問診を入れた人はキャンセルしにくいっていうのもありますね。
(高山)
それはありますね。せっかく入力しましたしね。
(大西)
だから、そういった意味ではマーケティング効果はあるかなと思います。
(高山)
なるほど。
(大西)
必ずメールアドレスとかLINE IDを取るので、その後リピーティングにつなげることができるじゃないですか。次回の案内をしたり。
これでリピート効率が上がるっていう感じですね。
WEB問診がマーケティングツールだって言ってるのは僕だけかもしれないけど、理にかなってると思いますね。
(高山)
なるほど。でもその観点で見たことなかったです。
(大西)
アンケートみたいなものなんですね、結局は。
(大西)
そうですよね。
私たち、マーケティングする人間にとって、アンケートをいかに取るかというのは勝負なんですよ。
よく言うじゃないですか。見込み客と潜在客の違いは、見込み客はアドレスを持っている。潜在客はアドレスを持っていない。
で、このアドレスって何?って言ったら、LINE、メール、住所、電話じゃないですか。
これを一番最初に取得できる方法がWEB問診なんですよ。
(高山)
確かに。そうですね。
しかも、WEB問診に入力した人は、ほぼほぼ必ず来ますからね。
(大西)
そう。で、ロイヤルティも高い。
で、診察に満足すればリピートしてくれる。
(高山)
そうですね。待ち時間も短いですしね。
(大西)
そう。だから「LINEでお友達登録してくれた人しか予約もできないし、問診も取れない」ってやってるクリニックもありますよ。
(高山)
そうなんですか。
いきなり来る人は、受け入れてるんですか?
(大西)
いきなり来る人は、まずLINEでお友達登録してもらって、問診を取ってもらう。
(高山)
それは待ち合い室でやってもらうということですね。
(大西)
紙の問診の人は、スマホを見せてもらって、スタッフがお友達登録のボタンを押す。
(高山)
そういう運営でカバーすることもできると。
(大西)
そうですね。そうするとLINE登録率が100%になるので、リピートもしやすい。
(高山)
なるほど。患者さんだいたいLINE使ってますもんね。
(大西)
使ってますね。だからすごく困るんですよ。
LINEの数がどんどん増えていくと、LINEがぼろ儲けじゃないですか。
ある一定数を超えると、いくらになる、みたいな。
(高山)
有料のシステム使っているとそうなりますよね。
(大西)
そうなんですよ。
そうなった瞬間に先生たちが「今ユーザーが1000件あって、1000件にメッセージを送るとこんだけお金がかかるんだよ」って。結構頭が痛いんですよね。
(高山)
そうですね。どの患者を削除するかみたいな問題も出てきますよね。
(大西)
削除できないんですよ。
(高山)
できないんですか?
1回でも診察して、もう何年も来てない患者さんって生まれてくるじゃないですか、きっと。
(大西)
削除できないんです。
削除できても、削除する手間の方が高い。
(高山)
そうですね。
(大西)
だって自分の携帯電話だったら100人ぐらいなら削除できるけど、クリニックだと1万人とかいるわけですよ。無理です。
だから削除しないから、どんどん容量が埋まっていくんですよね。
(高山)
すごいな、日本の延べ患者数って本当に多そうですね。
(大西)
あとはLINEだと名前が分からないから。
(高山)
難しいですよね。
(大西)
ちょっとLINEの話でしたね。
(高山)
そうですね。
(大西)
WEB問診に戻すと、一番重要なポイントは、業務効率化を重視するのか、マーケティングツールとして使うのか、医師の脳みそを再現するAIツールとして使うのか、っていうところだと思うんです。
消去法で考えると。
要は先生が、好きか嫌いかっていうのがあって。
まず、脳みそAIに関しては好き嫌いが激しいので五分五分。
業務効率化は先生には関係ないので、スタッフの仕事になる。
ここも五分五分。
でもマーケティングは先生大好きなんですよ。
患者が増えるかどうかは収益に直結しますからね。
だから、マーケティングツールとして伸びた感じはありますね。
(高山)
なるほど。そういう使い方ですね。
(大西)
WEB問診メーカーの営業戦略はちょっと違うんですよね。
「WEB問診で業務効率化しましょう」は間違い。
「WEB問診導入すると患者が増えます」が正解なんです。
(高山)
なるほど。それはメーカーさんに聞いてもらいたい話ですね。
(大西)
そうね。でも分かんないな。
中には、言われなくても分かってるよっていう人もいるかもしれない。
これ以上は申し上げません。
(高山)
でも、ドクターがそういう観点で物を選ぶっていうのはすごく大事ですね。
(大西)
先生たちが導入して失敗するか成功するかの境界点は、さっき言ったように事前問診を徹底するかどうかという話と、あとはサポートの良し悪しですね。値段は結構まちまちなんですけど、そんなに差はないですよ。
だからサポートが良いか悪いかは、結構大事かな。
(高山)
サポートは必要になってきますか?
(大西)
問診票って定期的に作り直した方がいいんですよ。
自分で作れるタイプと作ってもらえるタイプの大きく2つに分かれていて。
それが先生の好き嫌いなんですよね。
空いている時間にコツコツ作りたい先生と、丸投げしたい先生。
僕は絶対丸投げしたいですね。
問診票を作っている時間があったら診察した方が良いじゃないですか。
(高山)
そうですね。
(大西)
僕は先生にいつも言うんですよ。「先生、あなたの時給いくらかしってます?頼むから寝る時間を削って問診票を作ったりするのはやめてください」って。
ただ、そういうのが好きな先生もいるんですよ。「いや、僕のこだわり的にはこう」って言って、分岐をたくさん作るんですね。
熱があったらこっちに分岐、熱が下がったらこっちに分岐、みたいに。
そうすると段々アウトプットが分からなくなっちゃうんですよ。
情報がバーっと出てきてしまって。
「先生、これあんまり意味ないです」って。
「まあ、そうね」って。
これも結構言ってほしいですね。
問診票にこだわり過ぎると、後で入力されたデータが長くなりすぎて、カルテが読めなくなってしまう。
(高山)
本当にそうですね。
本末転倒になってしまいますね。
(大西)
くまで、問診票はサマリー化しやすいものを選ぶべきですね。
(高山)
そうですね。設計の仕方にもよるってことですね。使い方にもよる。
(大西)
そうです。
(高山)
よく分かりました。
(大西)
はい。
(高山)
ということで今回は、WEB問診システムについて語っていただきました。
大西さん、今回もお疲れ様でした。
(大西)
ありがとうございました。
(高山)
院長が悩んだら聞くラジオ、今回も聞いていただきまして、ありがとうございました。
この番組への感想は、#「院長が悩んだら聞くラジオ」でXなどにご投稿いただけると嬉しいです。
番組のフォローも、ぜひお願いします。
この番組は、毎週月曜日の朝5時に配信予定です。
それではまた、ポッドキャストでお会いしましょう。
さようなら。
クリニックのあらゆる業務を合理化するための情報サイトを運営しています
https://doctokyo.jp/