「マジックブック幻想」〔コイネージ【新造語の試み】1-2 Ver.2〕
「"本を読んだだけ"で、自分は変われた気になってしまう心理状態」。
これを「マジックブック幻想」と呼んでみる。
RPGに度々登場する、"使っただけ"でスキル取得やレベルアップが果たせる「魔法の書」。このアイテムを、「現実世界の本」に求める態度でもある。
そして、幻想を抱かせる対象物は、なにも「本」に限らない。
セミナー、講演会、社会人向け講座、ビジネス・教養系YouTubeに勉強アプリなど「あらゆるインプットツール」しかり。
これらもまた、「"受講・視聴しただけで"、自分のナニカが変わった気分にさせうる」点で、本と同様の"幻想的作用"がある。
内容が、斬新で素晴らしいものであればあるほど、より深く浸ってしまいやすい。
しかしながら、歴史に残る名著も、一流の担い手によるコンテンツも、不特定多数の人間に向けて造られたもの。ある程度抽象的にならざるを得ない。
"自分固有の人生"に活かすには、「抽象的な内容を、自分の具体的なマインドやアクションに当てはめる」という、"相当高度な主体性ある知的作業"が必要だ。
当たり前だが、脳は、"食えば勝手に消化・吸収してくれる胃袋"とは違う。
「意識的に採り入れる」ことをしなければ、消化されずに流れ出るだけ。
どれだけ素晴らしい本だろうが、目から鱗が落ちるような講演だろうが、「感動した!」で終われば、なにも変わりはしない。
それが、まさに「マジックブック幻想」というものだ。
(2022/2/20に投稿した記事の続編)
(2021/12/5に投稿した記事のリメイク)