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「ジュエルワード」〔コイネージ【新造語の試み】16-1〕

この世には、正しく、美しく、そして"ambiguous"な言葉があまた存在する。

”ambiguous"とは「2つ以上の解釈を許す曖昧さ」という意味であり、僕はこれに「玉虫色」の意訳をあてた。

一言でいうと「玉虫色に煌めく言葉」といったところ。

「努力」
「愛」
「勇気」
「真心」
「成長」
「正義」
「品格」
「誠心誠意」
「思いやり」

といった"単語"から、

「努力は裏切らない」
「頭がいい」
「夢と希望を与える」
「愛は金では買えない」
「誠意ある対応」
「商品ではなく、真心を売る」
「一人は皆のために、皆は一人のために」
「やればできる、必ずできる」
「正義の名の下に」
「美しい国」
「自分の頭で考えよう」
「Plus Ultra(さらに向こうへ)」

といった"フレーズ"まで様々だ。

このような言葉を総じて「ジュエルワード」と呼んでみる。

「ジュエルワード」は"玉虫色の宝石言"。

「玉虫色」とは、光の当たり具合で緑色や紫色などに変わって見える美しい色のことである。

また、先程”ambiguous"の意訳としてあてたように、見方や立場によって多様に解釈できる曖昧な表現をたとえる語でもある。

「ジュエルワード」は、玉虫色の美しさと曖昧さ。両方のニュアンスを兼ね備える

表現としては、簡単に否定し難いほどに正しく、また美しい響きを醸し出す。それゆえ"宝石"のごとく装飾には適している。

しかし、多様な解釈を許すということは、非常に抽象的ということ。

クリア性、具体的解決性に乏しく、"金属"ほどの実用性はない。

例えば「お客様ために、誠心誠意をもって努力しよう」。

これをスローガンとして掲げるなら、なんの問題もない。

しかし、例えば赤字脱却の具体策を講ずる緊急会議において、こんなこと宣えばレッドカードものだろう。

上に掲げたような言葉は、正しいし、美しい。

しかし、抽象的で玉虫色がすぎる

目の前の問題・課題を具体的にクリアするために、役に立つ言葉とはいい難い。

「ジュエルワード」は「装飾品」。

企業理念やスローガン、座右の銘、キャッチコピー、合言葉として用いるのが最適な使い方といえる。

言葉の正しさ、響きの美しさに"惑わされる"ことなく、使い所を誤らぬようにしたい。

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