公務員になってはみたものの…#1
公務員をめざしたきっかけ
約35年前。
高校生か中学生だった私は、ある日家でテレビを観ていました。
それはCMだったのかもしれません。
アフリカか、カンボジアだったのか。貧しい生活をしている子どもたちの映像が流れてきました。
その中で、飢えに苦しんでいるのでしょうがもはや食べる元気もなく、母親に抱かれてテレビカメラの方を見つめ、ただじっとしている一人の子どもの様子が映し出されたのです。
私はその画を観たとき、
「この子は産まれてきたことを幸せだと思ったことがあるのだろうか…」
と感じました。
子どもながらに感じたことでしたが、すごく胸が痛くなる思いをしたのをよく覚えています。
そしてそのとき、
「誰もが、産まれてきたことを良かったと思える世の中にしたい!」
と強く誓ったのです。
その思いは35年が経った今でも変わりません。
たとえ犯罪を犯したり、戦争を引き起こすような悪人であっても、産まれてきたことだけは後悔してほしくない。生きる価値なんてなかったな、と思ってほしくはなかったのです。
それで、なぜ公務員?
そして高校を卒業した私は、地元の役場に就職しました。
子どもの頃に誓った思いを叶えるためになぜ、役場がいい!と思ったのでしょうか?
残念ながら、そこの部分は全く覚えていないのです (*'ω'*)
後になって思えば、ここが大きな選択ミスだったのかもしれません。
当時は就職氷河期の始まりでしたが、まだ採用倍率は7倍程度でした。これが10年もしないうちに100倍の倍率になるのですから、この時期に就職試験を受けられたことはラッキーだったのかもしれません。
公務員、とりわけ役場の就職試験は世の中の景気の影響をモロに受けます。
私が入るさらに10年ほど前のバブル絶頂期などは民間企業の勢いがあったため、「役場なんかに勤めるの?」と周りから笑われたものだ、という話も聞きました。
なにはともあれ、平成ヒトケタ時代に私は地元役場に入庁したのでありました。
はじめての社会人生活
最初に配属されたのは税務課でした。
住民税や軽自動車税、法人住民税の賦課や徴収に関する業務を担当しました。
まだパソコンなどない時代です。大きなワープロが各部署に1台あって、それを交替で使用していました。フロッピーも3.5インチじゃなくて5インチのもの。
それまで電卓すら叩いたこともない若造が毎月数千万円単位の税金を動かしていくのですが、あまりにも日々の出来事が現実離れしているので、いまこうやって世の中を自分が動かしている、という事にピンと来ていませんでした。
社会人になって驚いたり、戸惑ったりしたことは、仕事だけではありませんでした。
そのことについてはまたのちほど。