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そう言えばこんな事もあったな、クリスマス。

クリスマスといえば、ケーキ工場を思い出す。
大学時代に一度だけケーキ工場のバイトをした。
後にも先にも肉体的に過酷だったバイトはこれが一番に思い出される。
給料いらないから逃げようと思ったぐらいには辛かった。(電話かかってきて結局最後まで勤め上げたが)

友人と一緒に遊ぶお金欲しさに働いた。クリスマス前のケーキ工場、深夜バイトは時給が良かった。1000円は超えていた。大学生の身分で時給1000円はちょっとお目にかかれない。
友人と一緒なら辛くても乗り越えられるだろう……

無理だった。

配置からして引き離された。
友人が焼きたてのスポンジケーキを汗だくになりながら運んでいる最中、私は冷蔵庫なみの寒さの中、アルコールに浸したブルーベリーをかじかんだ指でつまみ上げていた。
あのケーキは、無事に誰かの手元に届いていて欲しい。そうでなければ報われない。

年末ギリギリまでアパートで過ごした。
夜働きに行って、明け方に薄明るい中、100均みたいなスーパーに寄る。アルミの鍋焼きうどんを買って帰る。ほぼルーティン化していた。
意識もうろうの中、電車で揺られて帰って、朝ご飯にうどんを食べる。こたつに埋もれて、バイト代で買ったPS2でゲームをする。ちなみにその時やってたのはサモンナイトだ。
うとうとと寝落ちして、気付いたらまたバイトの時間だった。
手にした給料はいくらだったかは覚えていない。たぶん3万にも満たないだろう。
それでも当時の自分には大金だった。
最終日は、うどんを買っていたお店でホールケーキを買ったように思う。なんか安かった気がする。夢のおとな食いだ。
あんな働き方して風邪ひかなかったのが奇跡である。今なら絶対に風邪をひく。10代の無限の体力とは恐ろしい。しかし、きっとあれが「自由」ということなんだなと、今さらながらに思った。
そんな、若かった頃の話。



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