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見えないから

明かりのついた窓
その映像だけで
その部屋の中の人達が交わした会話の内容まで、判るらしい。

明かりは波動だ。
その波動(揺れ)の分析で
窓の向こうの、人.モノ.動きが判るそうだ。

軍事的にはそんなことお茶の子さいさい
波動の分析技術で
音や光、物体のことがスパイしまくれる。

21世紀、カナメは実体から
見えない領域へと移行している。

科学的に
私たちが感じきらなかったり抑圧された感情は身体のなか、例えば筋肉などに溜まっていく、ということがわかっている。

自己にて行うべき精神的、内省的なコントロールも、すでに外部から行え、テクノロジーによって我々を『悟った状態』へできるそうだ。
(SFすぎるやろ)

水には記憶(情報)が転写できるが
その水の記憶は『関係性』をうつしたものと聞いた。

関係性って難しい。
関係性の記憶ってなんだんねん。

理解の難しい複雑な情報を水は抱えているんだ。

だから、ほっとくと私たちはいつも難しいんだ。

水は
私たちの中にあるだけでなく
いつもまわりに漂っている。

日本はとくに湿度が高い。

雨の日はとても重いよ。
情報量が多すぎて
雨の日は重い。

風が吹いたら遅刻して雨が降ったらお休みするでしょ。

室内のカーテンやクッション、家具や壁に染み入る情報たち。
そこでおきた暮らしの転写が繰り返される。

複雑で見えない世界のなかで
私たちは毎日、毎分、毎秒、必死に生きている。




駅で
乗る電車と反対側のホームへ立ち、朝日を浴びる。

私は光合成が好きだ。

家でも散々浴びたのに
冬の朝日は浴びても浴びてもまだ欲しくなる。

自分の体が
お布団のように紫外線で滅菌浄化されていくのを、ボンヤリ感じていると

いつもは見えない目前の睫毛が、サンキャッチャーのようにキラキラ揺らめいて見えた。

睫毛に太陽の子らが雫となってくっついているのを眺めていると、上りの電車がホームにきたよとアナウンスがなる。
くるりと反対側の電車に乗り込んだ。

こういうとき、自分の中は静かだ。


瞑想で
自分のお腹のなかに宇宙を思い描き、その果てしない空間に、鳥の羽根をふわりと置いてみる。
羽根に意識を集中する。
羽根が、かるーく宇宙にそっと着地するのを見ている。
繊細な羽根は、宇宙の力を内包している。

また
頭上からキラキラと水滴が雨のように降ってきて、私を頭から濡らしてゆく。
暖かい光の温度の水が、肩も足も湿らせていき、体が艶やかにみずみずしく、つるんとするんだ。

そして水を与えられた体から根っこがにょきにょき伸びて、大地に深く広く根をはる。
根を張るから私の幹は
体幹は
ずっしりと太く強く
今度は上へと幹を伸ばしていく。

下のほうへと、上のほうへと、気持ちよく意識は広がっていく。

私の背から空色の龍が生えてきたりもする。

あ、いつもいたんだと思って
すごく力がみなぎる気がするのよ。

こんなに充実できるのは、朝しかない。
日中や夜は脳ミソのエンジンがかかりすぎて

見えない力の影響を受けすぎて、思考がききすぎて、難しい。

朝の力を借りて、自分を抜ける。
起きてるのに半分寝てるみたいで気持ちいい。

目に見えないものに、翻弄されないよ。
どんな見えないものからも
私たちが影響を受けるだけじゃない。

絶対
私たちが、影響を与えているんだ。

目に見えない、複雑な深き世界を利用して
その深淵をミカタにつける。

目に見えないからこそ
自由だ。
見えない自分の思いでもって
見えない力をマジシャンのように扱える。







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