空のゆうびん
朝ごはんを食べて窓の外をボンヤリ見ていると、雲のない真っ青な空の真ん中を、白い筋が右から左へと移動していた。
ぐんぐんと進むその筋を
飛行機雲とみるか
隕石とみるか
龍神とみるかは
見たものの自由だとおもう。
なんにせよ、白いものが印象的に目の前に現れている。
私には『お知らせを運んでいるもの』に見えた。
西から東へ
青い空の中にひと筋
だれかの
お知らせがとんでゆく。
「やぎさんゆうびん」を思いだした。
白やぎさんからお手紙ついた
黒やぎさんたら読まずに食べた
仕方がないのでお手紙かーいた
さっきの手紙のごようじなあに?
というあの郵便だ。
空のゆうびん
なんのお知らせかなあ?とボンヤリ思った。
そして、そろそろ仕事にいく時間だと思った。
私は「時間を気にしない生活」に憧れていて
時計を見ないで過ごせたらと思っている。
「時間に追われること」が苦手だとわかったのだ。
苦手なので
要領よく時間を使うことを非常に頑張っていた。
介護の仕事をパートタイマーで始めて、高齢者のグループホームに勤めていた時、入居者さんたちの介護と料理などの家事の作業を時間内で終わらせることが、私は大の得意だった。
なので他のスタッフは私と同じ時間帯勤務になると喜んでくれていた。
段取りの良さで、スーパーパートの吉田さんと呼ばれた。
ちょうど二人の子供も幼児と児童期で、家庭でも子育てと家事の段取りがすさまじかった。
時間を10分と無駄にしなかった。
ガンバりの糸が切れて
やっと
『時間に追われることが苦手、だから、時間に追われない状態をつくるために必死に段取りしていた』
事がわかり
段取りよく行動したい
のではなくて
ゆとりを持ちたいだけ
だった自分を知った。
目的は、手際の良さではなくゆとりなのだ。
じゃあ
いますぐ、ゆとりをもとう
朝の目覚まし時計はもともと持った事がない。
眠りが浅く不眠気味の性質なので、約束があって早く目覚めることはあっても、朝に起きれないということはなかった。
そんな自律神経過敏傾向ガンバるマンの私は、時計や携帯を見ないほうが身体の調子も良い。
時間を逆算して行動することや
10分前行動は、ほっといても強迫観念的に身に付いているので、時間がパッと分からない環境にしておくくらいで丁度いいのだ。
それまでやっていたことを止めるのは、少しの勇気がいる。
時間を後回しにするという
これまでしていなかったことをする。
時間にルーズな人に「約束に間に合わないよ」と伝えたとき
「自分が時間に遅れることは皆もわかっている。どうせ皆も想定内だろう」と聞いたときにはビックリした。
遅れても許される事に自信がある
堂々と遅刻をかます姿に後光がさす。
価値観の違う人は、自分にとって師となる。
ごく身近にも心臓に毛の生えた遅刻魔が何人か居るけれど、その人たちのルーズさが気にならなくなっているので、成果はでている。
やぎさんゆうびんの歌も、私を励ます。
本当は
手紙の内容に意味はない。
繰り返し、お互いの手紙を食べる。
メッセージを食べてしまっても
ふたりはお互いに仲良くしたいんだ。
その気持ちだけが、現れている本当なんだ。
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