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楽しく実るコラボ配信をつくるには

 他のユーザーとのコラボレーションは、インターネット上の動画配信において注目される企画の一つである。それぞれの配信者を追いかけるファンにとっては、新鮮さと交流関係から生じる魅力や楽しさを得られるイベントであり、良くも悪くも注目されるコンテンツと言えるだろう。

 かつては現実でユーザー同士が交流を行い、肩を並べて映るという動画が主流だった。こうしたスタイルは、当時の配信者のコンテンツ内容に大きく起因するものである。科学実験やいたずら、ドッキリといったジャンルで活動していた配信者にとって、直接出向いて一緒に企画をやるという形式は、最も手軽で視覚的に伝えやすい方法であった。
 しかし、最近は音声チャットやビデオチャットを通して同時配信する形態の企画も多くなっている。
 一番の要因となっているのは、扱うコンテンツの変化だろう。過激な内容や周辺に迷惑をかける企画が動画配信サービスから規制を受けるようになったことや、実験系のコンテンツが新規開拓に向かない土壌となったことは特に影響が大きかった。また、配信の主流がトークやゲーム実況にシフトしたことで、現実で出向く意味が薄くなった点も変化の一要素となっている。
 勿論、家庭用ゲーム機を囲んで遊んだり、集まって考察や雑談に興じる企画がなくなったというわけではない。そうした路線を主軸に活動している配信者も存在している。ただ、割合としてはネットワーク経由でのコラボレーションが多くなっているし、今後もその傾向は強まっていくだろうと考えられる。

 さて、リアルにしろネット経由にしろ、ユーザー間のコラボレーションは常に注目の的となる企画である。誰と一緒に配信するか、何について語ったり遊んだりするのかは勿論のこと、どういったカテゴリーや性質のリスナーが配信者の周囲にいるかという点も重要視されることが多い。
 相性の良いファン集団が配信を通して接触することは、双方のファンを増やし活発化させるシナジー効果を生むことに繋がる。一方、コラボ企画においてユーザー同士が上手く噛み合わなかったり、粗相や失礼があったりすると、相手側のリスナーに不快感を持たれてしまうことになる。そういう意味では、気心の知れた知り合いや身内ならともかく、縁遠かった相手と気軽にできる内容ではないと言える。
 また、無難に企画をこなしたとしても、当初望んだほどの効果を得られずに場が盛り上がらない場合もある。頻繁にコラボ企画を行いながらも、いまいち存在感を出せず悶々としている配信者は少なくない。

 今回は、こうしたコラボ企画におけるありがちな失敗を考察しながら、どのようにして楽しいコラボレーション配信を行っていくのが良いか考えていこう。

1.有名人とのコラボは案外ハードルが高い

 ありがちな失敗コラボの例としては、『有名な配信者を呼んでコラボしたのに、思っていたほど人を呼び込めない』というものが挙げられるだろう。
 巷で噂を呼ぶ有名人や、何十万人とファンを抱える大御所の実況者をゲストに呼んだコラボ企画は、成功例を見ればとても華やかでチャンスのあるものに思えてくる。しかし、こうした輝かしい成果の多くは大抵の配信者にとって参考にならない事例である。

 まず考えてほしいのが、呼びたいと考える界隈の有名人の『立ち位置』である。そのカテゴリーを代表する人物や、ゲームタイトルを出したら「この人の配信を見るべし」と名前が挙がるような大御所は、当然誰もが知っている存在である。
 もし、そうした人物からのオファーを貰ったのなら、自分を周知する意味ではコラボの存在意義がある。しかし、自分から大御所を呼ぼうと考えているのなら、無謀であまり実りのない発想と言わざるを得ないだろう。
 有名人の側から見れば、自分に声をかけてくる相手はそれこそ無数に存在する。名乗り出る候補者が多ければ多いほど、条件を見比べてより有意義な相手を選ぶことは容易い。
 また、自身の評価や人気がゲームプレイの腕前や知識量に起因するものなら、釣り合う相手とのコラボ企画の方がその持ち味を発揮できる。そうした人物は既に身内にいる場合がほとんどであり、見ず知らずの相手の誘いに応じること自体は少ない。したがって、何らかの大会やイベントで同席する機会はあっても、案件以外のシチュエーションで一緒になるというのは困難なのである。

 もう一つの問題として、人気者から新たなファンを引き出すことの難しさが挙げられる。
 前述のハードルを乗り越え、コラボ企画が実現できたとしても、集客力に大きく差のある相手との配信で存在感を発揮することは困難である。大勢の人気を勝ち取る配信者というのは、それ相応の惹きつける要素が備わっているものだ。何か特異な要素なり技能なりがアピールできなければ、普通に話しているだけでも相手の存在に埋没してしまう。
 また、相手と懇意であるなどグループとして推せる要素がない限り、人気者のファンを自分に引き寄せ定着させるというのも難しいだろう。広く浅く界隈を支持するリスナーと比べ、特定人物のファンとして配信を追いかけているリスナーは関係性を重視しがちである。赤の他人が交流を持っても、良くて一過性のものとして、悪ければ横槍を入れる邪魔者として認識されてしまう。
 普段から仲良くしていたり、ゲーム内の上位プレイヤーだったり、あるいは事務所の先輩後輩といった関係があるなら、まだ取りつきようはあるかもしれない。しかし全くの外部からとなると、コラボで他者のファンから支持を得るのは非常にハードルの高い挑戦となるだろう。

2.配信内で完結できる達成目標があるか

 コラボ配信において最も避けるべき事態は、配信に進展や見どころのないまま時間が過ぎてしまうことである。お互いにやり慣れているゲームや複数人での雑談といった配信内容では、こうした状況に陥ることがありうる。この問題の原因は、配信に到達すべきはっきりとした目標が存在しない状況である。

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