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VTuberと衣装コスト問題 ~アバター配信の『おしゃれ』が難しい~

宣伝衣装が着られない問題

 画面に姿を出す際の服装。YouTubeやTwitchなどの配信サービスで、日常的にゲーム実況や雑談を行っている配信者にとっては重要な問題の一つである。配信者自身の美意識に関わるだけに留まらず、スポンサーとの関わり方や宣伝という意味でも、決しておざなりにはできない。企業ロゴの入ったTシャツやジャケットを着たり、マークを象ったアクセサリーを身に着けたりと、『おしゃれ』を決めたユーザーの姿を、皆も一度は見たことがあるのではないだろうか。

 リアルの配信者が商業的なコーディネートを選んで表に出ることは、金銭的にも行動量的にもコストの安いものである。タイアップした企業が負担するにせよ、自己負担にせよ、せいぜい衣類の1枚か2枚で事足りることが多い。よほど気合の入った企画か、コスプレなり競技用衣装なりの目的がない限り、衣装を一から専用のものとして作ることはほとんどないと言っていいだろう。
 勿論、宣伝を業務として委託している以上は、衣料の提供以外にギャラ等も相応の分払っている。それらを考慮してもなお、宣伝媒体としてとてもお手軽なのが配信者とのタイアップである。配信者側は衣装を身に着けて配信や興行をすれば、関係のアピールや広告塔としての役割が果たせる。企業の側からしても、配信や大会などで自社の存在を独占的にアピールでき、製品のジャンルが配信者のファンと噛み合っていれば、応援目的の購買効果が期待できる。こうした点で、双方にとって非常にコストパフォーマンスの高い宣伝であることは確かだろう。

 しかし、これをバーチャルYouTuber(VTuber)のようなアバター型の配信者相手にやろうとなると、話は大きく変わってくる。
 VTuberの肉体、すなわちアバター部分は2DのCGイラストや3DのCGモデルで構成されている。タイアップに合わせて専用の衣装を着せようとすると、まずはこれらの仕様に合ったデザインを作り、モデルに起こすという作業が必要になる。この時点で、リアルの配信者に対してよりも手間と時間がかかることは確実である。
 また、企業や製品の持つイメージやモチーフ、カラーなどがVTuberのデザイン路線と合致しなければ、見た目からして微妙な出来の衣装となってしまい、広告としての希求力を失ってしまう。しかし、いかにイメージ通りの形に落とし込むかを真面目に考えデザインするとなると、労力も金銭も多く必要になる。そこまで本格的に練り上げるなら、最初から広報キャラクターを作って宣伝に使った方がまだ効率的である。
 このように、準備のコストが重く外見に手を加えての宣伝が難しいVTuberでは、デフォルトの衣装や自身が所持する案件内容向きの衣装で宣伝目的の配信を行うことが一般的である。配信でタイアップ先の宣伝を行っているという点はリアルの配信者と変わらないが、やはり視覚的なインパクトは弱くなると言わざるを得ない。
 ごく一部の例として、タイアップ衣装を与えられて企画配信を行うVTuberもいるが、これは所属事務所のマネージメントやタイアップ企業側の理解があってこその話である。現在の界隈の傾向としては、非常に厳しく覆しがたいものがあるだろう。

担当デザイナーやイラストレーターとの折り合い問題

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