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ユープケッチャ と インターネット

NHKの安部公房のインタビューを見て感じたことを列挙する。

 ユープケッチャは安部公房の小説「ユープケッチャ」「方舟さくら丸」に出てくる架空の甲虫である。ぐるぐると回りながら自身の行動範囲を拡大させていく虫のこと。この作品では縄張りの安定という極めてプリミティブなテーマが提示されている。

 見える範囲の極小の社会、近所、家族。国家、或いは世界という極大な縄張りを実際より大きく見せようと誇示したり、実際より小さく見せようと卑下したりする。
ふと感じるのは、このインタビューの時点ではまだインターネットは民間まで普及していないものだった。現時代の僕がこの話を聞くと更に、その極大と極小の縄張りはインターネットに置き換わってしまったのでは?と。

 青のインターネットの部分はSNSとおいても、掲示板とおいても、ネットに列記している誰に見せるわけでもないブログでも、私小説でも、音楽でもよい。
 つまり、その個人の内面性を切削していく作業と外部に発信する作業が同時並行的に縄張りの拡大を仮想空間で行っていることにはならないだろうか。
そして、この帯はインターネットの青い部分をのりしろにして捻じれて円環のようにならないのか。とも考えている。


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