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ジャッキー・コーガンを観て

 ジャッキー・コーガンという映画を観ました。ネタバレしまくりですが、ストーリーの根幹に触れても十分楽しめる映画だと思います。
 正直言えば、ストーリー的には退屈です。仕掛けが面白いのと、演技がすごいのでそこに着目してもらえれば楽しめると感じます。2013年に公開された映画この年代は重要なので覚えておいてください。

 ざっと9.11からオバマまでの年表も見ておくといいです。一応記載します。
 2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件。
 2003年3月20日からブッシュ政権下でアメリカ、イギリス、オーストラリアと、工兵部隊を派遣したポーランド等が加わる有志連合によって、イラク武装解除問題の大量破壊兵器保持における進展義務違反を理由とする『イラクの自由作戦』の名の下に、イラクへ侵攻したことで始まった軍事介入。
 イラク戦争参戦ブッシュ演説
 2008年9月15日に、リーマン・ショック。アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングス経営破綻。世界的恐慌に。
  2009年1月20日 オバマ大統領誕生。
そして、この映画が2013年に出来ました。
 
 感想。序盤は全くよくあるギャング映画だろうなーとガードを低くしてみてました。しかし全く銃の撃ち合い、ドンパチもアクションもありません。
  銃社会とアメリカの正義を突きつけたブッシュと、”みんな友達やで”戦略のオバマの演説が作品内のBGMとなりほんとに素晴らしい。車の中のラジオや、パブのTVで流れるブッシュやオバマの演説が物語とリンクしてくる仕掛けに気づく。そうすると、もう巻き戻していつのどんな時代の演説、言葉なのか調べたくなる。

印象に残ったシーン。
車内のシーンで無言で二人で移動している時。
車内ラジオにてブッシュ
『決断の時です。劇的な行動を起こすか。他の者達の無責にな行動を許し国民の財政基盤を弱体化させる。アメリカは自信を失い…』
 絶妙なタイミングでブラッド・ピッド演じるコーガンが
「ここで左へ」
 と、運転手に左を指差し道案内する。

 これはラジオの右翼的思想に対して、ブラピ演じるコーガンが左を指差す。ここまでの30秒ほど全く演者は喋ってない。
この演者の映像とブッシュの演説だけでブッシュのアメリカをさっと批判する手法は超おしゃれと思いここからずいぶん前のめりになった。
最高にクールなシーンだ。

実際に使われている音楽としてのBGMもカントリーを多様しています。
Johnny Cash-The_Man_Comes Around

 演技について
 なかでも酒と女に溺れるミッキーという殺し屋の語りの演技も本当に素晴らしい。ビジネスとなった殺し屋で、古参の殺し屋が過去を語りだし日本に置き換えると3丁目の夕日のような、あの頃はよかった。あの頃は俺は…と語っていて、何も言わずに聞き流すブラッド・ピットの無言の演技もいい。かっこいいギャングもいない。若者だからといって抜擢なんかもされない。強いから生き残るんじゃない。
 金をもらって仕事、つまり殺したから生き残るんだ。

 最後のブラッド・ピットの酒場でのセリフ、酒場ではオバマ大統領の就任演説がTVで流れている。溜めに溜めたエネルギーこのラストシーンで解放させる。
「”我々は一つの共同体” ジェファソンの作った幻想だ。ジェファソンは聖人だ。だが、その息子たちに奴隷を所有させていた。民衆を扇動し戦争で大勢死んだ。その間ワインを飲み、奴隷たちを犯した。何が”一つの共同体”だ。笑わせるな。アメリカに生きたければ頼りは自分だけ。
アメリカは国家じゃないビジネスだ。さぁ、金を払え。」

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