真冬の巡礼者たち les Pèlerins en plein hiver
巡礼路の最終地点、聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラまでやってきた。
予想に反して意外と寒い。スペイン語にも「冬」はあるらしい。
昔仕事で巡礼開始地点のひとつ、Saint Jean Pied de Portを訪れて以来
この地への興味は尽きなかった。
それぞれの出発地点から、約3、40日をかけてここまでたどり着いた巡礼者たち
彼らがが踏みしめたであろう花崗岩の石畳、その一歩一歩から
なんとなくパワーがもらえる気がした。
(飛行機で訪れたとしても、無事ご利益はあるらしい。)
町にはまばらな観光客。これが夏なら町は巡礼者であふれているんだろうか、と思っていたら
大聖堂の前に、しっかり防寒着を着込んだ巡礼者が6、7人いた。
信仰は先月のひどい寒波をもはね除けるのか。
もしくは四国八十八ケ所巡礼の「うるう年はご利益3倍」「逆打ちはご利益2倍」ルールのように
「寒波の中歩いたらご利益3倍」「2月出発はご利益2倍」とかあるのかもしれない。
いずれにしても、彼らに手をかざしてそのパワーにあやかりたい気持ちだった。
この町の大聖堂は、中世の建築先進エリア北フランスよりも先につくられた12世紀のロマネスク建築。期待値はかなり高い。
まだ柱としての役割の名残がある聖人らの彫像は、目は爛々と、頬はぽっちゃりしている印象
衣服の繊細なシワ、聖人たちの身体はどれもやせ細っている。
今まで観てきたロマネスク様式のそれとはなんとなく違い、どちらかというと仏像に近いような・・・
それが初期ロマネスクの特徴なのか、スペイン土着の表現なのかはっきりせず、いまいちしっくり感嘆できない。
その上この地域の当時の時代背景もわからない。
期待以上のものが目の前にあるのに、自分の知識不足で十分に味わうことができなかった。
手も足も出ない大聖堂を目の前にぼーっとして、ミサを見学しながらぼーっとして
ろくに写真も撮らず宿へ帰ってきてしまった。今日1日何してたんだろ・・・
これは、またSaint Jean Pied de Portに戻って自分の足で出直してこい!って意味なのかも?と思ったとき
奇しくも大聖堂の鐘がなった。
おいしい味噌汁を飲みにいきます。