【解説】今後のコロナ不況で「住まい」を失う危険がある人への支援を考える(1)
デモクラティック・デザイナーの北畠拓也です。
本日、東京都に対して以下の提言を行いました。
「新型コロナウイルス感染拡大に伴う路上ホームレス化の可能性が高い生活困窮者への支援強化についての緊急要望書」(要望書の詳しい内容はこちらより)
この模様は既にメディアに取り上げていただきました。ぜひご覧ください;
感染拡大でネットカフェで暮らす4000人が路上に?不況で「住まいを失う人が急増」の懸念も
また、多くの方の賛同を得るべくウェブ署名を実施中です。どうぞご協力ください;コロナ不況で住まいを失う危険のある生活困窮者、路上生活者への緊急支援を求めます!!
都内でホームレス支援を行う団体の方と意見交換し「住まい」を失う危険のある生活困窮者に対しどんな支援が必要なのか私の中でだいぶ整理されてきたので、ここにまとめてみたいと思います。
日本・特に東京では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済停滞(以下ではコロナ不況と表します)によって、今後「住まい」に関する支援の需要が高まることが予想されます。その大きな原因のひとつに、日本では不安定な居住状態の人々に対する「住まい」の支援が非常に手薄だったという歴史的経緯がありますが、この【解説】では主にこれから実際にどのような人に対してどんな支援が必要かということについて記すことにします。
◆コロナ不況では誰に「住まい」の支援が必要になるか?
まず、コロナ不況によって今後「住まい」に関する支援が必要になるのはどのような人に対してなのでしょうか。大きく分けると3つのステージがあると考えられます。
① 今は「住まい」があるが、家賃が払えなくなりそうな人
コロナ不況によって仕事を失うなどして今後家賃が払えなくなってしまう恐れのある人です。当然ながら、「住まい」を失わないようにするための支援が必要で、これは既存の制度が正しく機能すれば対応できるはずのものです。
②「住まい」を失いそう・今まさに失ってしまった人
これは、いわゆる不安定な居住状態の人と早期のホームレス状態の人です。不安定居住とは現時点でしっかりとした「住まい」を確保できていない状態で、色々なタイプがあります。
例えばネットカフェ難民のように商業施設で生活をしている人々(行政用語では住居喪失不安定就労者といいます)。東京都の調査によれば都内だけで4000人いるとされていますが、こうした人々は現在よりも強い自粛要請やロックダウン(都市封鎖)によって商業施設の営業が停止すれば、すぐにでも「路上ホームレス」状態に至る可能性があります。
また、コロナ不況が続くことにより、数カ月後には派遣先の寮に住む非正規労働者や日雇い労働者が「路上ホームレス」状態に至る可能性が高まるでしょう(現に、リーマンショックの際にはリーマン・ブラザーズ破綻の約2ヶ月後になってから、支援団体の炊き出しに並ぶ人数が激増したそうです注)。
このようにタイプによってタイムラグがありますが、不安定な居住状態の人が路上でのホームレス状態に至る可能性が高まることが予測されます。
③現に「住まい」を失っている人
いわゆる「ホームレス」と呼ばれる、現に路上生活をしている人々です。外にいるのなら室内にいるよりコロナウイルス感染リスクは低いんじゃないの?なんてことを言う人もいますが、こうした人達にも今こそ「住まい」の支援が必要なのです。
次の記事では、こうした人々に対する「住まい」の支援がなぜ現状では不十分なのかということと、コロナ対策としてなぜ路上でのホームレスの人々への支援もするべきなのかということについて考えてみたいと思います。(つづく)
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(注)池袋で20年以上炊き出し等の活動を行う特定非営利活動法人TENOHASIの清野氏より