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【Android】基板完全移植の後に100%のデータ復旧に成功!│データ復旧エンジニアインタビュー①(デジタルデータリカバリー)

こんにちは、デジタルデータリカバリーです。

データ復旧やハードウェアについての情報を掲載しているこのnote。今回は、過去のデータ復旧事例についてエンジニアへ直撃インタビューを行いました。
今回の記事を通して、よりデータ復旧サービスの存在や、復旧エンジニアについて知っていただけたら幸いです。

それでは早速いきましょう!

1. 復旧したのは基板の折れた「TORQUE G03」

今回データ復旧事例としてご紹介するのは、京セラ製のAndroidスマートフォン「TORQUE G03」

防水・防塵・防湿・耐衝撃などの「高耐久性能」が魅力で、海水や山中などアウトドアのタフな環境でも活躍する頼もしい機器です。1.8m上からの鉄板、コンクリートへの落下試験をクリアしていることからも、その頑丈さが伝わります。

これだけ頑丈な作りですが、当社にご相談いただいたTORQUEは車にひかれて基板が折れてしまい、内部のデータが取り出せない状態でした。

この状態からどのようにデータ復旧を行ったのでしょうか。復旧を担当したメモリエンジニアの万さんを直撃しました。

2. データ復旧を担当したメモリエンジニアの万さん

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万さん(以下、万):
本来、Androidスマートフォンのデータ復旧では、内部のチップを取り外したり、破損した基板を修復する作業を行います。ただし、このTORQUEでは、どちらの作業も行えない状態でした。

聞き手:
なぜでしょうか?

万:
チップが暗号化されており、基板も完全に折れていたので修復できるレベルではなかったからです。「この機器からデータを復旧するには、基板完全移植しかない」と判断しました。

聞き手:
それで「基板完全移植」にチャレンジしたわけですね。これまで、Androidの基板完全移植での復旧は成功事例がなかったと聞きました。

万:
はい。今までにもチャレンジして成功していませんでした。それでも、検証用部品で研究は進めていたので、復旧できるという見通しはありました。ただし、ただ基板を移植すればいいというわけではなくて、移植先の基板の準備にも神経を使います。

聞き手:
移植先の基板というのは、同じ型番の機器を用意するのでしょうか。

万:
そうです。ご依頼いただいたTORQUEと全く同じ型番のものを用意して、移植先の基板として使えるように下準備を行います。このときにマシンを使ってCPUのパーツを取り外すのですが、他の箇所に少しでも傷がつけば移植用の基板として使い物になりません。そのため作業は非常に慎重に行っています。

聞き手:
そうして基板を準備したあとに、移植作業に移るのですね。

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(メモリチームの復旧作業の様子。顕微鏡を用いてミクロ単位の繊細な作業を行う)

万:
リボーリングしたCPUとメモリチップをすべてはんだ付けして移植していきます。1度目の移植を行ったあと、機器は充電できるものの起動しない状態でした。そこで原因を特定して、再度リボーリング作業を行い、無事起動させることができました。データを抽出すると、ご要望いただいた写真データを破損のない綺麗な状態で取りだせました

聞き手:
何度もトライアンドエラーを繰り返した成果ですね! 基板完全移植でのデータ復旧に初成功したときの気持ちはいかがでしたか?

万:
本当に嬉しかったです。「検証用ではなく、お客様からご依頼いただいた機器で成功した!」という達成感もありました。
スマートフォンのデータ復旧のご依頼は、二度と撮れないデータが必要とされていることも多いんです。お子様の小さい時の写真データだったり。「これからは、そういった二度と手に入らないデータを失ってお困りのお客様をもっと救えるようになる」と思いました。

聞き手:
今回、復旧成功に至った決め手は何でしょうか?

万:
やはり検証用の部品を使ってAndroidの研究を繰り返していたことです。できないからと諦めるのではなく、「できるまでやる」という思いで何度もトライしていたことが実を結んだと思います。
また私は前職で修理関係の仕事をしていたのですが、そのときの知識やノウハウも復旧に活かせています。

聞き手:
この成功事例を今後どう活かしていきたいですか?

万:
今回の基板移植は、スマートフォンの物理障害のデータ復旧では最高難度案件にあたります。今後は物理障害だけでなく、OS破損(リンゴループが代表的)などの分野でも、実績を積み重ねていきたいです。
また、私はSSDの復旧も担当していますが、SSDの場合最新のモデルは解析のツールも全くない状態です。今回の事例のように諦めることなく自分で研究し、復旧にチャレンジし続けるしかないと思っています。

3. 常に最新の情報を得て技術を磨くメモリチーム

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(メモリチームの復旧風景。意見交換が活発に行われている)

聞き手:
万さんはメモリチームに所属していますよね。復旧を行う体制としてはいかがでしょうか?

万:
皆が常に新しい技術を身に着けようと研究を行い、切磋琢磨している点が非常にいいと感じます。同じチームに所属するメンバーが自分の隣で何十回も作業を試している姿を見ていると、「簡単には諦めない」という復旧への熱意を感じます。
情報も全世界から集めています。出身国の中国ではAndroidの研究が進んでいるので情報を得ることも多いです。

聞き手:
復旧に関する情報やノウハウはチーム内で共有しているのでしょうか?

万:
復旧事例と復旧方法の共有を常に行っています。メモリチームではUSBやSDカード、SSD、スマートフォンなどの機器を復旧しますが、メンバーそれぞれに得意分野もあります。難易度の高い案件が復旧成功した際は、チーム内で必ず共有を行い、自分以外のメンバーも復旧が行えるように形式知化しています。他のメンバーからアドバイスをもらうこともありますよ。

聞き手:
常に自身の技術を磨き続ける、まさに「職人たちの集まり」なのですね。

4. 目指すは何でも復旧できるエンジニア 諦める前に相談を

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聞き手:
今後、万さんの目指すエンジニア像はありますか?

万:
なんでも復旧できるエンジニアになりたい」という想いがあります。メモリ媒体は日々新しいものが開発され、過去発売された機器を復旧できるからといってそれだけでは付加価値になりません。常に新しい機器でも対応できるように、今後も技術力を磨いていきたいです。

聞き手:
今回のようなスマートフォンのデータ復旧は対応している業者も非常に限られていますよね。エンジニアの視点から読者に伝えたいことはありますか?

万:
どの機器でも対応できるように日々研究を続けています。たとえ他社で断られたとしても、諦めずに一度相談してほしいです。一つでも多くのデータを復旧できるように私たちも技術を磨き続けています。

聞き手:
とても頼もしいです。本日はありがとうございました!

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