アフター・クロードの感想
書籍【アフター・クロード】の感想を記してみたいともう
今作を読むきっかけは、私の好きな町田康氏の新作【男の愛】の発刊に際し、cotogotobooksという本屋での発売に町田氏と浪曲師とのzoomでの対談の動画が特典でついてくるというのをtwitterで発見し【男の愛】をcotogotoさんから購入したことから始まる
同時にたまに聞いていた小泉今日子さんのラジオ【ホントのコイズミさん】でcotogotobooksの木村綾子さんがゲストで出演され、cotogotoさんの経営精神と本への傾倒を感じ、またお奇麗な女性であられたためcotogotoさんに一目置くようになった
そんな中、cotogotoさんの本を紹介する企画で今作【アフター・クロード】を紹介していた、という事がきっかけであった
作者はアイリス・オーウェンスで今作は1973年作の作品であるが、2021年の9月18日に日本語に翻訳され発刊されている
作者は生年不詳、ニューヨーク生まれで父はプロの賭博師である バーナード・カレッジ卒業後、1953年パリに渡り、前衛雑誌の編集人アレグザンダー・トロッキと出会い、彼の仲介によりオリンピア・プレスにてハリエット・ダイムラー名義でポルノ小説を執筆している
今作もポルノ小説に属するのだそうだが、私としてはそのようには思わず、完全なスケベの3歩後ろでむずむずしているような印象受けた
パリの73年ということでベトナム戦争が終わりパリ協定が調印された平和回復を願っている年だけあり、おしゃれでプライドが高い女性が資産家に捨てられ陥落する際のスケベ、といったなんか映画という若干当時としてはいたたまれない内容であろうが、スケベは平和を願い、禁欲していた人々が求めていたのはスケベであったのだろう、と思う
翻訳者の渡辺佐智江さんの翻訳から、私は日本語で海外の小説を翻訳する際の滑稽さを想った
海外の文章で記された現地での空気感、長い時間をかけて育まれた歴史が日本語というものに変換されたときに現れる、どうしようもない違和感、かっこ悪さがあった
国も違えば歴史も違うので当然ではあるが、しかしその滑稽さから生まれる何とも言えない歯がゆさの中から生まれるおもしろさはある
登場人物のすべての人間を敵に回す、わきまえない女ハリエットの汚い言葉を使いまくる発言はフランス語ではかっこよく記されていたであろうが、日本語では何とも場末のストリッパーのたわごとのように見える
その絶妙なズレ、変形を自身の脳内で再生させる際にぐにゃぐにゃした日本とパリの73年のケミストリーが生まれ、楽しくなる
これが、映画や音声では味わえない「本」という某体を使用したときに起こりえる楽しみであるように思う
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