ユニバーサルアナリティクスとGoogle Analytics4の特徴と違い Part1
Googleが無償で提供しているアクセス解析ツール『Googleアナリティクス』をすでに活用されていますでしょうか。指定のトラッキングコード(計測用のタグ)をウェブサイトやアプリへ設置することでマーケティングに関わるアクセス情報が継続的に更新され、数値の変化や比較によって改善点を可視化し分析、改善することが可能になるアクセス解析ツールになります。すでに導入されている企業サイトや個人ブログも多いことと思います。
そのアクセス解析ツールの『Googleアナリティクス』ですがユニバーサルアナリティクスからバージョンアップされGoogle Analytics4がローンチしています。
皆さんはすでにGoogle Analytics4を利用していますでしょうか?もしくは、いつGoogle Analytics4を導入しようかと迷っている段階でしょうか?
今回は、筆者が実際にGoogle Analytics4を導入してみて感じた、Google Analytics4の特徴とユニバーサルアナリティクスとの違いについてまとめていきたいと思います。
これからユニバーサルアナリティクスやGoogle Analytics4を導入検討している方のお役にたてれば幸いです。
Google Analytics4の特徴
Googleアナリティクスの第4世代として2020年10月に正規式リリースされたGoogle Analytics4(以下GA4)。GA4は、2019年にβ版としてリリースされていたGoogleアナリティクスApp(アプリ)+Web(ウェブ)プロパティが基盤となっています。また、以前は別々に計測されていたAppとWebを統合した分析が可能になっています。
①アップロードされたGoogle Analytics画面のUI
GA4へアップロードされた方は管理画面に表示されたUIに驚いた方も多いのではないでしょうか。ユニバーサルアナリティクスと比べるとかなり変更されています。まだGA4へアップロードされていない方へユニバーサルアナリティクスとGA4のリアルタイムのレポート画面を紹介します。
■ユニバーサルアナリティクスのリアルタイム
■GA4のリアルタイム
画面に表示されているデータの違いもありますが、左側のメニュー項目もアップロードによって変更になっています。
②アップロードされた計測の形式
ユニバーサルアナリティクスとGA4の特徴と違いの大きな点なのが、計測の形式になります。計測の形式の変更に戸惑う方も多いと思います。
ユニバーサルアナリティクス・計測単位『ページ』計測形式『セッション』
GA4・・・・・・・・・・・・計測単位『イベント』計測形式『ユーザー』
に変更されています。Webサイトのページを最後までスクロールし読了したユーザーの行動を計測しようとすると、ユニバーサルアナリティクスでは、ページソースとトラッキングコード(計測タグ)へ専用の設定を実施するか、Googleタグマネージャーの設定によってイベント計測できていましたが、GA4ではよく利用されるイベント計測は自動計測によってデータ取得できるように変更になっています。例えば、ページのスクロールやPDFのダウンロードも自動で計測されるようになりました。ユーザーの細かな操作や行動を自動で計測できる点はとても便利になったと言えるのではないでしょうか。
しかし、自動で計測されない高度なイベント計測をデータ取得したい場合は、GA4の管理画面やGoogleタグマネージャーを駆使して設定する必要があります。その際によく起きる注意点は、すでに自動で計測されているイベント計測をGA4管理画面やGoogleタグマネージャーで設定しまい重複カウントしてしまうことがあるので、自動で計測されるイベント計測を把握しておく必要があります。
③アップロードされた機械学習を活用した予測指標
GA4には『予測指標』という機械学習の分析機能がアップデートにより追加されています。
GA4の機械学習でできる予測指標
予測指標の3つの前提条件
・購入ユーザーまたは離脱ユーザーのポジティブ サンプルとネガティブ サンプルの最小数。関連する予測条件をトリガーしたリピーターが過去 28 日の間の 7 日間で 1,000 人以上、トリガーしていないユーザーが 1,000 人以上必要です。
・モデルの品質が一定期間維持されていることが要件になります。
・購入の可能性と離脱の可能性の両方を対象とするには、プロパティは purchase(収集が推奨されるイベント)と in_app_purchase(自動的に収集されるイベント)の少なくともどちらか一方を送信する必要があります。
前提条件があるものの予測指標を利用できるようになると予測オーディエンスを作成することができるようになるため連携しているGoogle広告アカウントでユーザーをターゲットにすることができるようになります。
購入予測
・7日以内に初回購入を行う可能性が高いユーザー
・7日以内に購入する可能性が高い既存顧客
解約・離脱予測
・7日以内に離脱する可能性が高いユーザー
・7日以内に離脱する可能性が高い既存顧客
売上予測
・28日以内に利用額上位になると予測されるユーザー
予測指標について
https://support.google.com/analytics/answer/9846734
④アップロードされた機械学習による自動レポート機能
GA4のレポートでは、自動でユーザーの獲得、エンゲージメント、収益化、ユーザーの維持に関する目標到達プロセスの状況を反映し、以下の項目に関するビジネス情報をまとめた概要がまず提供されます。
GA4プロパティのレポートについて
https://support.google.com/analytics/answer/9212670
⑤アップロードによってBig Queryと連携した分析が可能に
Big Queryとの連携は、Google Analytics360(有料版)で可能でしたが、GA4では無料で連携することが可能になりました。Big Queryとは、通常では長い時間かかるクエリを、数TB(テラバイト)、数 PB(ペタバイト)のデータに対し数秒もしくは数十秒で終わらせることができるGoogle Cloud Platformで提供されているビッグデータ解析サービスになります。一定量の無料枠が用意されていますが、基本的には有料でデータ保存や抽出が一定量超えると課金されます。
Big Queryの料金について
https://cloud.google.com/bigquery/pricing?hl=ja
⑥アップロードによってApp(アプリ)とWeb(ウェブ)を統合した解析・分析が可能に
アプリ内の計測とウェブサイトの計測は別々に行われていたため、同じユーザーでも異なるユーザーとして計測されていました。GA4では『ウェブ』『iOSアプリ』『Androidアプリ』のデータを集約するデータストリームという概念が新しく追加されたことによって統合した解析・分析ができるようになっています。
Googleシグナルを有効にすることでユーザーを特定でき、異なるデバイスやプラットフォームを利用したユーザーでも紐づけできれば同一のユーザーによる操作と行動のイベントとして計測できるようになりました。
参考:1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本
著者 窪田望 他
まとめ
ユニバーサルアナリティクスと大きく変更されているアカウント画面のUIや計測形式、分析機能が特徴でもあるGA4。また、ユニバーサルアナリティクスでは困難だったアプリとウェブサイトの横断を同一ユーザーとして解析・分析できるようになったことで、よりマーケティングに活用できるデータ収集が可能になったのではないでしょうか。しかし、ユニバーサルアナリティクスのアカウント画面や操作、レポート分析に慣れている方からするとGA4をイチから学習することに懸念が生まれるかもしれません。ですが、現状はGA4アカウントを作成してもユニバーサルアナリティクスは今まで通り使用することができ、並行してデータ収集することが可能です。Google Analyticsはトラッキングコード(計測タグ)を設定してからデータ収集が始まるので、GA4による計測も開始してみるのもよいと思います。普段はユニバーサルアナリティクスを使用しつつ、時間があるときにGA4の操作やレポートなどに慣れてみてはいかがでしょうか。
今回のPart1ではお伝えできなかった『違い』についてPart2では深掘っていきたいと思います。