【大事な事】Excelマクロ・VBAと関わるマインドについての話
あなたは何を目的として Excelマクロ及びVBAを勉強していますか?
これは、エンジニアではないのにも関わらず、独学でマクロの作り方を勉強している全ての人に、勉強を初めてできるだけ早い段階で1度は考えてほしいことです。
当記事で読者様に伝えたいのは、自分の仕事の負担を軽減することが勉強の目的なら、極力社内では周囲に公にしないことが大切ということです。なぜなら、自分だけが組織の中でマクロを組める状況になると、思いがけないリスクが生じるからです。
マクロを勉強する目的は?
仕事を減らしたいのか / 仕事を獲得したいのか
冒頭の質問の話に戻ります。あなたが Excelマクロを勉強する目的は何でしょうか。
単純作業を自動化して、他の仕事に時間を割けるようにしたい
残業を減らして、趣味の時間や家族と過ごす時間を増やしたい
こういったことを目的として独学でマクロを勉強されている方は、非常に多いと思います。筆者も似たような経緯で Excelマクロを勉強しようと思いました。
また、別のところに目的がある人もいらっしゃるでしょう。例えば、マクロを扱える人がいない会社の中で、自分だけが使えるようになることによって、
社内での自分の価値を高めたい。どんどんマクロを開発して業務改善の分野で結果を出したいので、自分に仕事を振ってもらえるようになりたい。
というような方です。
どちらも非常に素晴らしい心がけなのですが、残念ながらこれらは両立することが難しいのです。自分の目的は仕事を減らすことにあるのか、自分の仕事を獲得する(増やす)ことにあるとかというのを、分けて選ばないといけないのです。
これらを混同してただがむしゃらに Excelやマクロの勉強をしてしまっていると、十中八九、あなたの仕事量や残業時間は増えてしまいます。
知っておくべき残念な現実
Excelの理解度と残業時間の相関
実は、 Excelを勉強すればするほど自分の業務にかかる時間が減っていき、負担がなくなっていくというわけではないのです。
経済産業省の他、数多の大手企業の業務改善を手掛けてきた(株)すごい改善(東京都中央区)が2022年5月に興味深い調査結果を公表しました。
20~50代の社会人男女350人を対象とした「バックオフィス業務とExcel」という名前のその調査では、Excelができる人ほど残業時間が増加する傾向が明らかになったというのです。
同社は、Excelで使用する代表的な7つの関数(IF・SUM・SUMIF・COUNTIFS・VLOOKUP・INDEX・MATCH)の難易度と理解度、残業時間の関係性、相関に関しても分析しています。
その結果、Excelで重要度が高いと言われるSUMIF関数を「何も見ないで入力して使える」人ほど、残業時間が多いという結果になったとのことです。
この調査ではマクロの理解度や開発能力と残業時間の相関を調べたものではありませんが、マクロはSUMIF関数などの 勉強の延長にあるものです。
同記事でも言及されているように「関数の知識だけで無理やりやりくりしている」という側面ももちろんあるとはいえ、やはり「仕事ができる人に仕事が集中している」ということが明らかといえ、マクロを開発できる人には仕事が集中する可能性が高いこと示唆している結果といえるでしょう。
「効率化はズル」という風潮
そしてもう一つの落とし穴は、
「マクロなどを使って自分の負担を減らすのはズルだ」
「みんなと同じように頑張るべき」
「自動化してしまうと注意する意識が減り、ミスにつながる」
といった、業務効率化を否定する風潮です。
残念ながら日本企業ではまだまだこういう風潮が残っているのが現実です。筆者は幸いにも職場でこういうことを言ってくる人にはまだ出会ったことはありませんが、たぶん弊社内にもいると思います。
そういった主張のツッコミどころについて一つひとつこの記事で言及しているとキリがないので触れませんが、せっかくマクロを勉強して人材価値が上がったのに、周囲からの評判や人事評価を下げられてしまうなんて、あまりに理不尽なことです。
しかし、そういった状況に直面するリスクも往々にしてあり得るとあうことは、覚えておいていただきたいです。
リスクを回避するために重要なマインド
こういった日本の現実を踏まえて、マクロを勉強する我々が大切にするべきは、冒頭で申し上げたとおりの以下のマインドです。
自分の仕事の負担を減らしたいのか/増やしたいのかを明確にする
自分の仕事の負担を減らすことが目的なら、社内では極力公にしない
仕事を獲得して自分の価値を高めたいなら、どんどんアピールしていく
マクロに限らず、独学での勉強はなかなか苦しいものです。どんな勉強でも、必ずあなたの人材価値は上がっています。しかし、それによってあなたの意図に反して余計に苦しむ状況になったり、あなたが会社から正当に評価されないというようなことを招いたのでは、本末転倒です。
自分の仕事の負担を減らしたいのであれば
、現実は現実として受け入れ、あなたが楽をするためにマクロを身につけるので十分なのです。
逆に、マクロを開発する能力を高めて自分の価値を高めることが目的なら、ぜひどんどんアピールしていき、仕事を獲得していくと良いでしょう。自分の業務負担は増えますが、あなたの評価の上昇につながる可能性は十分あるでしょう。
ぜひ、マクロの開発力を自分に合った方法で役立てていきましょう。
参考文献
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