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AWS SAP合格記
AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル(通称SAP)に合格したのでその記録をつらつらと書いていきたいと思います。
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念願のAWS SAPを取得することができました。
学習期間中に何度か心が折れましたが、それだけに取れた喜びはとても大きいです。
学習開始時のスキルセット
・AWSを業務で触り始めておよそ2年ちょっと
・AWSを用いたよくある三層アーキテクチャやWebアプリのインフラ設計やAPIの開発に必要なサービスは一通り理解して触れる
・AWS SAMを用いたサーバーレスバッチの設計・構築経験あり
・SysOpsの領域はノータッチ
・最近AWSブログやその他の記事などをよく読むようになった
Webアプリの開発で用いるようなサービスはだいたい理解して設計・実装・レビューを行える程度のレベル感です。
OrganizationsやIAM管理、オンプレミスからの移行、分析全般などは業務経験もなくからっきしでした。
学習期間
勉強開始:4月中旬
AWS SAP対策本、Web問題集など:〜5月末(約90時間)
Black BeltやAWS Summitなどの資料読み込み:上記と同時進行(約20時間)
公式の模擬試験&最後の追い込み:6月頭
受験日:6月2週目
当初はできれば5月中には取得したいと思っていたので、それを前提にしたスケジュールを立てていました。
ですが予想以上に問題が難しかったため進捗が全く出ず、平日だけでも毎日3時間以上取り組んでも予定通りに進まなくなったあたりで諦めました。
ただ同時に「これ時間かけすぎると絶対に泥沼にハマるな」と確信したので2ヶ月以内に取得する方向に修正しました。
それでも途中3回ほど心が折られましたが、結果的には正解だったと思います。
学習方法
・問題集編
まず最初に軽く公式の試験ガイドを読んで範囲を確認したら、いつも通り問題を解く→わからないところはドキュメントやブログで調べるというテストドリブンで進めました。
今回はAWS SAP対策本(AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説)とWeb問題集を使用しました。
特に対策本の方は問題の解説が充実しているのも大きいですが、それ以上に演習問題と模擬試験ともに問題の完成度が非常に高く、試験に必要な範囲と難易度を全てカバーしているのもポイントです。
この対策本で出題される内容を自分の中でしっかりと知識として定着させ、安定して8~9割解ければ十分合格を狙えると思います。
また模擬試験ですが初回は本番を想定して時間を計測&離席禁止で挑戦してみるのをおすすめします。
本番は3時間フルで使い切ることになると思うので、(本番試験よりは簡単なものの)ベストなパフォーマンスを出せるようにするための訓練はしておいた方が良いです。
いつもおなじみのWeb問題集にもお世話になりました。
AWS SAPの問題は1~29番まではそこまで難しくありませんが、30番以降はかなり難しいです。
でも本番はそれ以上に難しいです。
なのでこれらの問題が完璧に解けるぐらいまでは何度も繰り返し学習した方が良いです。
自分は三周しましたが、1単位(7問)で20~30分ぐらいはかかるので単純計算でこれだけで60時間以上は使ってますね。
これら問題集を使った学習全般に言えることですが、自分がその問題を何故間違えたのかを把握するのが重要です。
AWSサービスの概要や詳細な機能を知らなかったからなのか、ベストプラクティスや代表的なアーキテクチャを知らなかったからなのかなどを把握し、それをきっかけにして知識を補強していきました。
また自分の場合は今までのアソシエイトの試験や実務のおかげで設計周りに関してはあまり困りませんでしたが、オンプレからの移行、コスト管理などSysOpsの範囲の学習に関してはとにかく大変でした。
こういった分野は公式ドキュメントが他のに比べ難しく、また資料もそこまで多くありません。
なので問題集の解説を読み込みつつ、各サービスの詳細や実装・設定方法を調べていく必要がありどんどん時間が溶けていきました。
・ドキュメント読み込み編
問題集を解いていてわからないことがあれば公式ドキュメントやBlack Beltなどを用いるのが一般的かと思いますが、正直それらですら馴染みがいない一部のサービスや分野ではかなり難しく感じます。
そこでDevelopers IOというクラスメソッドの技術メディアで各種サービスの全体像をサッと把握してからその他のドキュメントを読むと一気に理解しやすくなります。
特に定期的に投稿されている「AWS再入門ブログリレー」シリーズはそれぞれのサービスが丁寧な図解とともに解説されていて是非ともおすすめしたいです。
またちょうどAWS Summit 2021が開催されており、いつもはあまり触れられないような技術やそれらを用いた事例のセッションが多く学習の助けになりました。
他にはちょうど受験日の数日前に公開されたこちらのブログを流し見して自分の知らないサービスや機能があればドキュメントを読みにいきました。
・公式の模擬試験&その他
公式の模擬試験は上記の問題集と同じかちょっと難しい程度の難易度です。
これで7~8割安定するようなら本番試験を受ける準備に移るのがおすすめです。
逆に言えば本番試験はこれよりも数段難しいので、解けなかった問題や自身の無かった問題のどこがわからなかったのかをきっちり理解しましょう。
公式の模擬試験以外にもサンプル問題(10問)やEラーニングなどがあるので、こちらも積極的に活用しましょう。
特にEラーニングではサンプル問題を通して実際にどのように問題文の中から課題を抽出し、それに適した解答を選択するべきかというプロセスが一から丁寧に解説されているので一度は目を通すのがおすすめです。
心が折れそうになった時は
AWSの資格全般に言えることですが本番試験では実際にどんな問題が出題されるか予想しづらく、また各種教材と比較しても一番難易度が高いためどれだけ勉強してもなかなか不安を拭い去ることはできません。
特にAWS SAPではどの問題も難しく範囲が広いのもあり、なかなか進捗が出ないため何度も心が折れそうになります。
かく言う自分もWeb問題集の2周目をやってたころに一週間ほど全く手が付かなくなってしまったことがありました。
そんな時は先人たちの合格ブログを読みあさることで、「実際に合格した人はこんな勉強をしていた」「この範囲は抑えた方が良い」のようなノウハウや「この回答率&時間をかけた人は合格している」のような安心感を定期的に摂取することでモチベーションを保ち、精神を安定させていました。
こうやって書くとかなりの不審者ムーブですが、実際やってみると結構効果あります。
精神安定剤として活用させていただいた記事(ごく一部のみ紹介)
・AWS認定全冠を維持し続ける理由と12冠(13冠?)までの学習方法・資格の難易度まとめ -How to become an ALL AWS Certifications Engineer-
・「AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル」に一発で合格する技術(2020/11版)
・AWS SAP試験 合格後の反省と勉強したこと
・Web問題集の合格記ページ
本番試験
最近は自宅からリモートで試験を受けられるようですが、何度も通い慣れている会場の方が集中できると判断して銀座歌舞伎座のテストセンターで受験することにしました。
(途中でトイレに行くこともできますしね)
時間配分としては120分かけて一周し、軽く休憩を挟んでから残りの60分で見直しを行いました。
難易度の主観としては想定していた通り今までで一番難しかったものの、難しすぎて無力感に打ちひしがれるようなレベルではなく、歯を食いばればギリギリ耐えられる程度の難易度でした。
少なくとも試験中に燃え尽きて諦めモードに入るようなことは無かったです。
ただ今回は少し悩んでもわからない問題はとりあえず適当に解答して後から見直す作戦を取ったのですが、一周した時点で見直しフラグのついた問題が43/75個あったのでだいぶ焦りました。
中にはいくつか日本語が怪しい問題もありましたが、英語に切り替えてみても正直問題文が複雑であまり理解できなかったので結局全て日本語ベースで解答しました。
結果
結果は合格で試験直後に画面に合格の文字が表示された時は感情が事実に追いつかず、数分間画面を眺めたまま硬直していました。
点数も902点と予想していたものよりも数段高く、嬉しさよりも驚きの方が勝りました。
ふりかえってみると、最終的に2ヶ月間のうちに合計120時間以上は学習に費やしました。
時間的にも内容的にもかなりハードなので、いかに自分のモチベーションを保ちつつ短期集中で終わらせるかがポイントになってくるんじゃないかと思います。
まとめ
今回のAWS SAPを取得して感じたのは、いかにしてWell-Architectedフレームワークを体に染み込ませることが重要であるということです。
各種AWSサービスの把握も大切であるものの、試験全体を通してそれらを用いてどのような要件の時にどのような設計を行うかが問われます。
似たような設計でも信頼性やパフォーマンス、コストなどどれを優先するかによって大きく解答は変わってきます。
これと同じことは実務においても言えるでしょう。
その中でベストプラクティスを導き出すのは経験とそれ相応のスキルが要求されます。
人類誰しもホワイトペーパーを丸暗記できるわけではありません。
設計の経験を積むのも大変です。
そうなった時に初めてAWS SAPの試験対策を通じて大量のベストプラクティスに触れることのありがたさを実感することができました。
(でもしばらくAWS SAP関連の問題は見たくないかな…)
最後に
正直AWS SAPは取得したからといってすぐに即戦力になれるような資格ではありません。
ですが自分の中ではこれを取得したことで初めてスタート地点に立てたという強い実感があります。
今後プロフェッショナルとしてどうしていくかが重要ではありますが、それでも大きな一歩を踏み出すことができたという想いとともにこれからも励んでいきたいと思います。