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新・桃太郎1

時は2025年

先月71歳を迎えた新造(しんぞう)は日本東京都最南の島小笠原諸島の無人島「媒島」(なこうどじま)で生活していた。


18年前、新造は胃と腸が弱っており、精神的にも肉体的にもあまり人と関わりたくないと思っていた。そして兼ねてから仕事がひと段落して引退した暁には妻の亜姫(あき)と何処か誰も居ないところで過ごしたいと思っていた。

そんな折ちょうど良いところに空き島があると言う情報が新造の元へ入った。それが媒島(なこうどじま)であり現在住人3名の限界集落である。

住人のうち2人は新造と亜紀である。そしてもう一人が「太郎」である。

「太郎」は新造と亜姫が引越しして来てから3日後の朝に遭遇した



2025年5月14日9:00

「ここに引っ越して来てからまだ3日と言うのに緊張のきの字もないそんな僕に僕自身が動揺しているよ。」

『あら、私は来週ここを出て旅行にいくからもうそっちの事で頭いっぱいよ。半分あなたのわがままでこんな辺境の地に連れて来られたんだから私は残りの余生好き勝手させてもらうわよ。』

「いやいや、そんな喧嘩腰にならなくて良いじゃないか。僕は君の持病も気づかって自然いっぱいのこの島を選んだんじゃないか。」

『ちょっと頭に来たんだけど、私はあんたの奴隷でも無いし、家政婦でも無いのよ、まぁ今度の旅行は1年は出ていく予定なので帰ってくるまでに生活環境はちゃんと整えておいてください。』

「あぁ…わかったよ。」

寂しそうな新造を他所に亜紀は悠々と媒島(なこうどじま)から出ていく準備をしていた。

そして、亜紀の準備が終わり、新居の玄関から出て行こうとする時

「ぼぎゃーぼぎゃー」

と、救急車のサイレンよりも大きく、声楽のバスよりも低い声が未舗装の道路の方から聞こえてきた・・・・



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