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身に纏う慣性の奔流が僕らを生かしている

身に纏う慣性の奔流が僕らを生かしている

身に纏う慣性の奔流が僕らを生かしている。適度に勢いを保たせた、慣性の水流を漂う矢印が紛れもなく僕らで、ひとたび慣性のネジを緩めれば、僕らを僕らたらしめていたはずの〈日常〉の所作たちは静かにはがれ落ちていく。

〈健全〉な1日のタイムラインに千切られて、追いすがっていくことさえやめてしまったとき、10才の何の考え無しの僕が成し遂げ処理していた〈日常〉の所作の、その膨大さに驚きを覚える。

それら〈健全〉なニンゲンの維持補修行為を、投げ出さずに成し遂げることが、いかに雑多で膨大な〆切とその処理によって支えられ、そしていかに繊細であったかを、目が覚めるような驚嘆を持って受け留める。

そうしてそれを今度は、終わりなき日常を生きる〈覚悟〉をもって引き受け直す。そんな、紐を緩めては締めて生き直すことが何の代償もなくただ許されている、この時間の余白を想う。

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