歯を同時に5本抜いた女の話③
前回の話の後(上部リンクから飛べます)
入院と手術日そして全身麻酔を使用する際に使用しても身体に問題無いかの検査をしなくてはならないようで検査日も決めてその日は帰宅。
全身麻酔の検査日までにはまた1ヶ月程、そして手術日は11月の下旬…12月に入ると繁忙期に入るため仕事の休みが取りにくいのでそこでお願いした。
検査日を待つ間、地元の歯科でひたすら虫歯をウィンウィン(歯が削られる音)され歯石をゴリゴリされる日々。やはり診察に行く度に前回は指摘されなかった謎の(?)虫歯が見つかり、またウィンウィン削られる。余計な部分まで削ってんじゃないのか?って位削られる(全国の歯科勤務の皆さんすみませんその2)
そうしてようやく検査当日。色んな検査をするため時間が結構かかりますよと言われていたので仕事に間に合わないと判断し、有給を取って病院へ。
歯科の受付でお姉さんからここに行ってこの検査、次はここです、その次はここですと説明を聞きながら内心思っている以上に検査項目があり、うげえとなっていたが、検査しなければ歯は抜けん!とまず初めに説明された採血室へと向かう。
しかし…今日も今日とて混んでるなあと待合室の端っこの椅子に座っていると、後ろに座っていた常連…常連?と思わしきおじさまが
「混んでる火曜日と混んでない火曜日があるが、今日は混んでる火曜日だなあ!」
と言っていたので、ほう。やはり今日は混んでるんだと確信する。というかお前誰やねん。
面白い人ってどこにでもいるよなと思っていると名前を呼ばれたので採血室へ。
そこには採血のスペシャリストと思わしきお姉様達が机の前に座って次々と患者さんの採血をしている。
そして、私もスペシャリストの前に座るがこれまた生きむず体質。私は18歳の時にはしかの検査の為、採血をした際に迷走反射神経と呼ばれる反応を起こし、それからというもの注射後に気絶してしまうという技を不本意ながら手に入れてしまったのだ。
その為、今回もすみません…ちょっと具合悪くなるので採血寝ながらでも良いですか?と近くの簡易ベッドへ移動して採血をしてもらったのだが、その際になんで具合悪くなるの?血が怖いの?と聞かれたので、いや…針が腕に刺さるのが駄目でして…と言うといやー!注射しないと採血出来ないでしょ!と言いながらブスっと刺され小さい試験管5本分の血を抜かれた。
恐ろしい。恐怖を感じる前に刺され、すばやく採血が終わった。さ、さすがスペシャリスト…小粋なトークで怖さを紛らわせ、スムーズに採血をするという技。
みんなあのお姉様のような方なら私も気絶せずに済むのかしら…とお次はレントゲン室へ。まあ、レントゲンはね。レントゲンです。
そして次、肺活量を検査するためにまた違う科へ移動。なんで肺活量…?と思ったのだが、全身麻酔中にちゃんと呼吸出来ないと危ないからなのかなとか色々考えたが未だによく分かりません。
もし全身麻酔の検査で肺活量の測定をされる方いましたら先生に聞いてみて下さい(丸投げ)
診察の為、受付にカルテを出しに行くと肺活量のところも激混み。…なんで?と思いながらも廊下に設置してあるイスに座っていると近くの診察室から
はい!吸ってーーーーーー!!!!一旦止めて!はい!!吐き出す!ふぅううううううううう!!!
という女性の看護師さんのクソデカボイスが響き渡る。え、?怖い怖い怖いとその診察室の方を覗くと診察室のドア全開。いや、閉めたほうが…。みんなびっくりしてますって。とふと隣を見ると老夫婦とばっちり目が合ったのでやはり同意見と謎の仲間意識。
その後も看護師さんのクソデカボイスは廊下を物凄い勢いで駆け抜けていく。
ようやく納得のいく肺活量の数値が出たのかお疲れ様でしたとともにご高齢の方が出てきた。
あ、もしかして耳が遠くて聞こえにくいから声を張っていたのかしらと思っていたら、名前を呼ばれたのでその方と交代して部屋に入る。
先程の女性の看護師さんではなく男性の看護師さんに変わっていた。イスに座るやいなや、まずはこれを咥えてもらいまして。と機械につながれたホースに紙のマウスピースみたいなのを装着してそれを口に含む。
僕が指示しますのでその通りに呼吸をしてください。ちょっと苦しいかもですが諦めないで最後までしっかり吸って吐いてくださいと言われ、先程の事もあり少々緊張気味で検査を開始する。
はい!普通に呼吸して!!そうそうです!そこから思い切り吸ってーーーーーーー!はい!一旦止めて!吐き出して!もっともっともっともっと吐き出して!!
いや、お前もクソデカボイスなんかい。
まさか自分もそうなると思っておらず、びっくりして1回目の検査は少し呼吸が乱れたので結局3回ほどクソデカボイスお兄さんと検査をして、最後はいや!初めてにしては凄くお上手でした!と褒められ次は歯科で検診ですね〜とカルテを渡された。
何が合格点でどうお上手だったのかは分からなかったがとりあえず肺活量の検査というのは看護師も患者もお互い大変だということだけは分かった。
歯科へと戻ってきて、約1ヶ月振りの鈴木先生(俳優の鈴木浩介さんに似ているので勝手に鈴木先生と読んでいます)は相変わらず癒やし系。今日もおめめぱっちり♡
口の中に腫れや虫歯など抜歯手術に影響を及ぼすようなものは無いかチェックしてもらったのだが、銀歯の部分の歯茎が腫れていた為、なるべく腫れている部分が手術の時に支障が出ないように抗生物質飲もうかと1週間分、毎食後に飲むバカでかいカプセルの薬が出た。
飲むたびに喉に詰まるかと思った。そしてその抗生物質、副作用がなかなかで飲んでいる間ずっとお腹の調子が悪くて1日に6回位トイレとお友達になるという頼んでもいない快便サービス付きだった。(私は元々副作用が出やすいので何の薬を飲んでもほぼ副作用が出る生きむず体質)
こうして歯科での検診が終わり、次は麻酔科にお願いしますと言われまたまた移動。この時点で2時間半程経過しており、あまり大きな病院慣れしていない私は若干の疲れを感じ始める。
麻酔科に移動すると待っている人が居ない割に全然呼ばれない。肺活量からの口の中検査で喉渇いたんだよななんて思いながら、ぼけっと待っていたら気付けば30分経過。いや、遅っ。何してる?と段々待つことに飽きてきて眠くなってきた頃にようやく呼ばれ、診察室へ入る。
そこにいたのは女性の先生でにゃんこスターの
アンゴラ村長みたいな声の方だった。(以下村長と呼ぶ)
村長はまず、全身麻酔についての説明をしてくれた。全身麻酔の際は鼻から気道を確保?する為に喉の方まで管を入れるので数日喉が痛くなるかもしれないですが、管を入れる時はもう既に麻酔で眠っているので痛くありません。
これは眠った後の話ですよ〜と優しい口調ながら何か怖い事を言ってくる。
そして、まれに呼吸困難などの重篤な症状が出た場合は大変ですよ!起きてくださーい起きてくださーいってお声がけはせず、いきなり処置しますからねと言われたが…それは多分お声がけせずに普通に処置してくれて良いと思うんだ。命に関わるから。
そうして最後に全身麻酔についての説明書を読み同意書にサインをし、村長とお別れ。
んー、なかなか個性的で面白い人が多いなと入退院センターに高額医療費の話などをしに向かう。よし、これであと再度歯科でこれまで検査したやつの結果を聞いたら帰れる!もう少し!と言い聞かせ入退院センターへ。
入退院センターのお姉様もこれまた気さくな方だった。何だこの病院、気さくな人しかいないのか?
高額医療費の説明を受け、私の場合はどれだけかかっても60000円以下で収まるとの事だった。マイナンバーカードを持参しているとわざわざ市役所へ行かなくても手続きしてもらえるらしく、そこで簡単に手続きしてもらえた。マイナンバーカード…ここで役に立つんだな。
それから入退院までのスケジュール、必要な持ち物など細かく教えてもらい(ここの病院は入院グッズをレンタルか持参か選べたのでどうせ2泊しかしないからと私は持参する事にした)
途中何故かお姉様が私、年甲斐もなくキスマイのファンやっててね〜と推し活の話を挟んだりして、入院当日お待ちしていますとにこやかに言われ、ここを後にした。
そうして本日最後の歯科!2回目!
鈴木先生から今日1日の検査結果を教えてもらい、無事問題なく全身麻酔が使用出来る事に。
何故かボソッと一応性病の検査もしなきゃならなくてしたんですけど全部陰性でしたので大丈夫ですと言われた。
全身麻酔と何の関係があるのかは分からないが今まで性病の検査というものをした事が無かったので、ほう…そうですかという感じだった。別にこっそり教えてくれなくても大丈夫だよ先生。もっと自信持って教えて!
私はそれより中性脂肪が若干高かった事に自分自身への怒りを感じていた。ダイエットしてるのになんで中性脂肪…筋肉が落ちているということか。タンパク質が足りないようだとかるく落ち込む。
それはさておき、こうして後は入院と手術のみとなった。
個人的には全身麻酔への抵抗は無くむしろ初めての経験のため、こんな事を言って良いかは分からないが少し楽しみだった。それに親知らずを抜くと顔が小さくなるらしいとネットで見かけたこともあり、昔からエラが張っていてコンプレックスだった私はさっさと抜いてもらってエラが無くなれば良いなと、お腹が空いたので売店でパンと飲み物を買って家路に着いた。