記憶

僕はくだらないことを記憶するのが得意だ
彼女の話したことなら基本的に覚えている

全く知らないジャニーズの話、狐に襲われた話、好きな香水の話
男から同じことを話されたら「しょうもな」と一言言うだけで会話が終わりそうである
しかし、彼女が話すとまるで人志松本の「すべらない話」を聞いているかのような気持ちになるのは何故だろうか

そして彼女はよく同じ話をするのだ
僕は
「前も言ってたね」
と、ついつい口に出してしまう
すると彼女はきまって
「あれ??そうだっけ??ごめん」
と笑うのだ
普段ならまた同じ話かよ、と思いながら聞いてしまうところだが、流石、人志松本
何回聞いても一つとして全く同じ話はなく、クオリティが上がっている


ように感じる


いつの日かインスタグラムに
「彼が脈ありかどうか見極めるための判断材料!?」
というような見出しの投稿があった
どうせまたバーナム効果みたいなのが書かれてるのだろうと思ったが、そこには「何気ない話も覚えている」と書かれていた
完全に自分のことを言っていると思うと共に、想いが一方通行なのを思い知った。


そんなことを思い出していると、彼女は狐に襲われていた。
「前も言ってたね」
また口に出してしまった
すると彼女は
「何回でも聞いて」
と笑った


一方通行だと思っていた道だったが、工事する可能性があるのかもしれない

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