メキシコ地獄の陸路移動
一部漫画の話みたいな内容が出てきますが、これは紛れもない実話です。
2024/10/6(日)
僕はグアテマラの首都グアテマラシティから直通バスでメキシコのタパチュラという街に向かった。
国境に到着したのは夜の9時。
難なくグアテマラを出国し、メキシコの入国を試みた。
だが入国管理員にいつメキシコを出国するか聞かれ、出国予定日を伝えたら
入国管理員「あなたは入管税を支払わなければならない。しかし入管税を支払うのはここではなく、向かいの受付です。ですが向かいの受付は今日閉まっているからあなたは入国出来ない」
な?なんだとぉー??
人生初めて入国拒否を食らった瞬間だった。
入管税を支払わなければならないのは予め調べていたから既に知っていた。
しかし入管税を支払う場所はイミグレーションの受付とは別の受付という事は知る由も無かった。そして日曜はそこは閉まっている。
とんだ計算外だった。まさかこんな事があるとは。
私「いやいやいや困ります。どうにかならないですか?」
入国管理員「明日来てください。明日は向かいの受付は開いてます。そして明日は出国航空券、全ての滞在先の宿泊予約を証明できるもの、旅程表を用意してください」
な、何ぃー!??
私「明日また来なければならないのはわかりました。しかし出国航空券はわかるけど、他は必要ですか?調べたら日本人は陸路入国の場合ノービザで入出国カードFMMに情報を記入すれば入国出来るとの事ですが?」
入国管理員「今現在は移民の問題が深刻なので、全ての外国人がそれらを提出しなければならない対象となっております」
というやりとりをGoogle翻訳を使用して行った。
女性入国管理員が言っている事を渋々受け入れて引き返してグアテマラに歩いて再度入国し(出国したのに入国スタンプ押してもらうのが恥ずかしかった)近くの宿で一泊した。
そして滞在する場所の目星を付けてbooking.comでキャンセル無料の宿を予約して、メモ帳のアプリで旅程表を作成した(デタラメ)
出国航空券は既に用意していた。
国境沿いにいくつか安宿がある。
150ケツァル(約2900円)の宿に泊まった。
ちょっと高いと思ったがもう値切る気力もなかった。
そして朝になり再度グアテマラを出国し、メキシコ入国を試みた。
入国管理員は昨夜の女性ではなく、おじさんだった。
ドキドキしながらパスポートを提示すると
入国管理員「日本人ね。滞在はどれぐらい?」
私「今月の16日に出国するので11日間です」
入国管理員「オッケー。じゃあこの入出国用紙(FMM)に記入して向かいの受付に入管税払ったらまたここに来て」
え!?それだけ!?出国航空券も見せなくて良いの!??
入出国用紙(FMM)に記入し入管税を払った後スタンプを押してもらい簡単に入国できた。
昨日のあの女性スタッフはなんだったんだろう。
どうやら人によって対応が違うらしい。
滞在期限は15日。短いけど10日後のメキシコシティからバンクーバーへの航空券既に取ってあるから十分。
無事メキシコ入国。
余らしていたグアテマラのケツァルをメキシコペソに両替し、少し歩いた所にタクシー乗り場があったので、タクシーは高いからコレクティーボ(乗り合いバン)に乗りタパチュラに向かった。
タパチュラまでは27ペソ(約220円)
一緒に乗っていたグアテマラ出身のおばちゃんが優しくて癒されました。
タパチュラ到着。
バス会社が3ヶ所程近くに集中していた。
オアハカに行く前に海沿いのマイナーな小さい街を見てみたいと思い、海沿いを移動しながらオアハカに行こうと決めていた。
だがこの考えが地獄の落とし穴にハマることになる。
とりあえず海沿いのアリアガという街を目指そうと思い、僕は上の写真の二社に行ってアリアガ行きを確認したところTITANIUMはアリアガ行きは無く、OCCは電光掲示板で行き先と料金が表示されていてアリアガ行きは480ペソと表示されており高かったので、二社の近くにあるボロいバス会社でアリアガ行きのチケットを300(約2400円)ペソで購入した。
バス会社の名前は忘れましたが赤いバス。
15時出発と言っていたが、17時に出発した。
バス乗車中は何回も検問があってビックリした。アフリカ以上かもしれない。
後少しでアリアガに着くと言うタイミングでスタッフが慌てていた。
どうやらアリアガは今道が閉鎖されていて迂回しなきゃならなくなったらしい。
だから手前のトナラで降りなくてはならないとの事。
300ペソ払ってアリアガ行きのチケット買ってるから無理だと訴えたら50ペソ返金するとの事だったので距離を考えればアリアガまでは直ぐ近くだし別にアリアガにこだわっていた訳ではなかったから納得した。
海外あるあるかも。
宿予約してる訳じゃないしこれはこれで面白そうだから別に良かった。
夜10時ぐらいにトナラに着いて腹ペコだった為周りが閉店してる中唯一やっていたレストランでハンバーガーを食べた後宿を探して、良さそうなモーテルを見つけたのでそこに宿泊。
値切って600ペソ(約4800円)だった。
田舎の宿は高い。あまり人が集まらないからしょうがない。しかし結構綺麗で快適だった。
そして翌朝
トナラは何もない町ですが居心地は悪くない。
朝ごはんで屋台のエンパナーダを食べた。
もう少しこの街に居たい気持ちがあったが宿代がどこも高い為、相部屋があるオアハカに向かおうと思いバス会社が集中するターミナルに行った。
が!
なんと…
どこのバス会社も外国人にはバスチケットは売れないと言う…
え?何?どういう事?
僕はとあるバス会社のカウンターで何で外国人にチケット売れないんですか?と聞いたら、この地域は現在移民問題があるので外国人にバスチケットは販売出来ない現状ですとの事。
いや俺ただの日本人旅行者だし。移民じゃないし。だがそんな事すら通用しないのがここの現状。
自分は確かに事前にあまり計画を立てずに周遊するタイプなのですが、地域の危険情報や現状、閉鎖されている国境や道路は流石に身の安全の為調べているので、今まで計画を立てなくても割とスムーズに旅を進行させていたのですが、この場所のみは例外であった。初めてのケース。
メキシコから陸路でアメリカに不法入国している移民が深刻化していると言う話は知っていたが、まさか全ての外国人を対象に移動手段を塞がれている現状だとは全く知らなかった。
嘘だろ…。
タパチュラのボロいバス会社は外国人でも乗せてくれたから、もしかしたらタパチュラからならオアハカに行けるかもしれない。
しかしもう遅い。ここからではどの会社の大型バスにも乗れないから遠くには行けない。
仕方ないからコレクティーボに乗り元々行く予定だった隣町のアリアガに行く事を決めた。
宿の人にアリアガ行きのコレクティーボ乗り場を教えてもらい乗り場に向かった。
だが全然乗せてもらえない。
どうなってんの?
仕方ないから普通車に対してヒッチしながらコレクティーボを待った。
ダメだ。普通車は全然止まらないしコレクティーボは一瞬止まって運転手がこちらを見て何?と言うがアリアガ行きなら乗りたいと言ってもあーダメダメと言われる。
恐らく外国人だから。
コレクティーボにも乗れないのかい。
諦めかけてたら一台だけ止まってくれた。
アリアガ行き?乗れそう?と言ったら運転手は面倒くさそうな顔をしていた。
乗車客の女性がそうだよ!と言ってくれて乗る事が出来た。ありがとう。
(50ペソ/約400円)
一時間ぐらいでアリアガ到着。
アリアガはもトナラ同様小さい町。
コレクティーボ乗り場から歩いてすぐ近くの所にバスターミナルがあったので歩いて向かいオアハカ行きのバスを探す。
やはりダメだ。どこのバス会社にも断られた。
しかしバス会社が並んでるカウンターの裏にSURと言うカードを購入しバスに乗車するシステムのバス会社の小さな受付があった。
受付にいたお兄さんにオアハカまで行けるか?と聞いたら行けないと。
落胆していたらオアハカまでは行けないけどフチタンと言う街なら行けるよと。
フチタンならアリアガよりは大きい街だし、オアハカに近づくから良いと思い行く事を決めた。
このお兄さんは結構優しくて、検問で賄賂請求されるかもしれないとか、移民局は30km進んだ所にあって荷物検査や事情聴取されるかもしれないなど色々教えてくれた。
フチタンなら少し大きい街だから何とかなるかな…と多少の希望があったがこのフチタン、とんでもなく最悪な街であった。
カードを購入しバスに乗りフチタンに向かい検問は特に何も聞かれる事は無く、移民局に寄ることも無かった。
夜10時頃無事にフチタンに着いたのだがどことなく嫌な雰囲気が漂っている様に感じた。
フチタンは前に訪れたトナラやアリアガより拓けているのにその2ヶ所よりバス会社が少ない。
時間が遅くバス会社はもうチケットを販売してしていないので宿にチェックインして荷物を置いてタコスを食べに行った。
タコスが唯一の癒しだ。
翌朝。ちゃちゃっと洗濯をし、宿を出てバスターミナルに行く。
ターミナルにはOCCとSURのカウンターがあった。
OCCにオアハカ行きは無いかと聞いたらやはり外国人はチケット買えないとの事。
SURですらフチタンでは外国人は利用出来ないと言われた。その上SURはオハアカ行きはないとの事。
恐らくアリアガでもSURは本当はダメだったんだけど、受付の人が優しかったから何とか乗せてくれたんだと思う。
二社とも断固乗車拒否。OCCの受付の人に賄賂を払うから乗せてくれと言ってもダメだった。
じゃあどこからだったら乗れるんだ?と尋ねたら裏にもう1ヶ所バスターミナルがあるよと。
裏にあるバスターミナルに向かった。
裏のバスターミナルはOCCがあるターミナルよりかなり老朽化しており異様な雰囲気が漂っていた。
しかもターミナル内部には無数のテントがあり小さな子供がテントを出入りしていた。
恐らくよその国の移動難民であろう。
アメリカを目指しているのだが、移動手段が無くそこに家族で滞在している。
他の街では見なかった光景だ。
バス会社のカウンターが2ヶ所あったからオアハカに行けるか尋ねた。
1ヶ所は他と同様断固拒否、もう1ヶ所は異様な雰囲気のカウンターで、バス会社のポスターで埋め尽くされている窓と窓の10cm程度の隙間から女性スタッフが顔を覗かせていた。
オアハカに行きたいと言ったらボスに電話するからちょっと待っててと言われた。
もしかしたら行けるかも?と微かな期待を抱いた。
しかし女性ボスと思われる人間と電話した後、ボスが5000ペソ(約40000円)支払えるならあなたをオアハカまで連れて行く事が出来ますとの事。
何じゃそりゃ!高過ぎる!
もっと安くならないのか?と聞いても無理と言われる。
どんな詐欺だよ。ありえないと思って断ってそのバスターミナルを後にした。
この時点でうっすらとこの街には外国人がバス会社を利用できない事を利用して高額な料金で移民を目的地まで連れていくビジネスがあると言う事に勘付く。
一旦宿に戻りどうするかを考えた。
翌日もう一度5000ペソと言っていたバス会社のカウンターに行き何とかもっと安くしてくれる様にお願いしよう。
それがダメならヒッチだな。
なぜかこの街はコレクティーボが走ってない。
コレクティーボは走ってないが、ローカルバスは走っている。
ローカルバスはここから近いサリナクルスと言う小さな街に行くようだ。
ローカルバスに念の為バスに乗れる事を確認したらやはりダメだと言われた。
だが仮に奇跡が起きてそのローカルバスに乗ってサリナクルスに行っても今まで全滅だったからどうせ断られるから意味ないと思った。
金と滞在期限に余裕があるわけじゃないから非常に焦る。早くオアハカに行きたいと言う気持ちが強過ぎた。
翌日とんでもない事件が起こる。
前日訪れた5000ペソバスターミナルに行き、受付の人に交渉しようとしたら、おっさん三人近付いてきて、何人?と聞いてきたから日本人と答えるとGoogle翻訳を使いどこに行きたいですか?と聞かれてオアハカと答えると、4000ペソであなたをオアハカまで連れて行く事が出来ますと言われた。
5000ペソよりは安いがそれでも高過ぎるので無理だと断って離れようとした。
その瞬間Google翻訳を使用していた男の隣にいた一人の男が何かを上着の中から取り出した。
見てみると拳銃だった。
だがその時点では俺は拳銃なんて見慣れてないので、あれ?そんなもん取り出してどうしたんだろう?と呑気な事を考えてた。
男はすごい速さで弾丸を入れスライドを引き、俺の身体に拳銃を突き付けた。
そこでようやく
俺強盗されてる。
しかも白昼堂々こんな人がいる場所で。
と気付いて急に血の気が引いた。
しかもその拳銃は異様にゴツい上にかなり使い古されてる見た目だったから怖さが半端なかった。恐らく軍用の拳銃だろう。
周りにそいつら以外にも普通のターミナル利用者と思われる人間が少しだけいたが皆無視。
しかもそのバスターミナルは人気(ひとけ)が無く寂れているが大きな道路に面している。
何なんだここは。
もう何も出来ずにただただ手をあげた。
でも意外と自分は自分でも不思議なぐらい冷静だった。
運が悪かったらどっかでいつかこうなるんじゃないかと覚悟をしていたからかもしれない。下手に相手を刺激しない様にしていた。
財布とスマートフォンを取り上げられた。
パスポートやカードは宿に保管していたのでそこは良かったと思った。
すると男達は何やら言い合いをしだして、拳銃を突き付けた男は何かを納得し、俺のスマートフォンをチラッと見た後スマートフォンを返してきた。
更に財布から4000ペソだけ抜いて財布と残りのお金は俺に返してきた。
俺が???となっている時わかりやすいスペイン語で。
「明日の夜9時にここ。オアハカ行く」
と。そう言い残してその男は一人で車に乗りどっか行った。
いや連れてってくれるんかい。
早急に宿に戻り恐怖と緊張による疲れがどっと来て横になった。
謎に律儀で変わった強盗だった。
しかし4000ペソ以上持っていて良かった。持ってなかったら何されていたかわからない。
スマートフォン取られなかったのは不幸中の幸い。
恐らく彼らは根はそんなに悪い奴らじゃないかもしれない。
生きる為に犯罪組織にいるのであろう。
だがそんな危ない奴等の車でオアハカまで行きたくないから頑張って明日ヒッチしてオアハカに絶対行こうと決めた。
この街は異様だ。
ライフルを持った軍人が乗っている軍用車がしょっちゅう巡回しているのだが、そんな事お構い無しに白昼堂々軍用車が目の前を通る場所で拳銃を突きつけられる。
軍用車が目の前通ったらどうするつもりだったんだと思った。
そして翌日。
まさかまさかのビックリする事にまた大きなトラブルが発生した。
朝宿をチェックアウトしてヒッチハイクしに外に出たんだが、同じ宿に泊まってたエクアドル人の移民の家族のお母さんが俺にオアハカまで行くなら一緒に行きませんか?と言っていたので一人でヒッチハイクするよりマシだと思って一緒に行く事を決めた。
しかも移民なら安全な行き方を知ってるかもしれない。
お父さん、お母さん、中学生ぐらいの男の子、小学1年ぐらいの男の子の4人家族。
オアハカまでダイレクトで行くのは大変だから隣町のサリナクルズを経由してオアハカまで行こうと言う事になった。
家族にヒッチハイクをして向かわないか?と提案したが、絶対無理との事。
ヒッチハイクが可能ならば移民みんながやっていると。
確かに現状が現状だからみんな外国人を乗せたがらないのは当然だ。
その家族のお父さんがサリナクルズまで行きたいとタクシーに交渉したがタクシーですら外国人は乗せれないと言う結果になり、近くのコンビニに三輪バイクのドライバーが溜まっていたからみんなでそこに向かった。
三輪バイクのドライバーにお父さんが交渉したら小学1年ぐらいの男の子は小さいから無料だが、一人680ペソ(約5400円)だと。
三輪バイクで一時間ぐらいしか走らない距離で680ペソは異常に高過ぎる。ボリすぎだろ。
三輪バイクのドライバーも移民を利用して儲けている。
こいつらも信用できないと思い嫌な予感がして俺は乗らないよとお父さんに伝えた。
そしてその場を離れようとしたが、奥から警棒を持った三輪バイクのドライバーのボスみたいなデブのオッサンが威嚇しながらお父さんに詰め寄った。
流石にお父さんが心配だからこのタイミングでは離れられない。
お父さんは何とかそいつを宥めて我々は乗るから大丈夫だよとみたいな事を恐らく伝えていた。
警棒男は納得し警棒をしまい、まず俺を三輪バイクに乗せようとした。俺は乗りたくないと言いさり気なくその場を離れようとしたが、怒り狂いながら無理矢理俺を乗せようと俺を身体で体当たりして押した。
俺はオッサンに抵抗し押し退けてコンビニに入った。
そのコンビニはOXOXというコロンビアやメキシコでよく見かける結構しっかりしたコンビニだ。日本のコンビニに結構似ている。
後ろに重いバックパック、前にリュックがある状態では走れないから咄嗟にコンビニに入らなくてはと思った。監視カメラもあるし。
オッサンの動きは一瞬止まったかに思えたが、すぐにオッサンとその仲間がコンビニに押し寄せ五人ぐらいで俺を取り囲み俺を掴んだり身体を殴りながら無理矢理外に出して三輪バイクに乗せようとしてきた。
おいおい嘘だろ?
世界丸見えとかで観る海外の監視カメラに映った集団暴行事件の光景だ。
俺は抵抗してもがいた。
だけど警棒持ってる奴いるし、何を出してくるかわからないから反撃しないようにしていた。
そしたら前に居たやつに顔面を思いっきり殴られて鼻血が出た。打ちどころが悪かった。今も鼻の中が切れてる。
自分でも不思議だがその瞬間気が付いたら殴ってきたやつの事を殴ってしまった。
この野郎と言う気持ちで殴り返した訳では無く、気が付いたら。防衛本能かもしれない。
手応えはあったけど必死だったから俺に殴られたやつがどうなったかは知らない。
視界には無かった。
変わらず奴らは俺を掴んだり殴ったりしてくる。
恐らく思いっきり攻撃してるつもりだが、前と後ろに荷物があったから攻撃しにくそうだった。
その上別に痛くなかったので、その時点でお互い丸腰で一対一だったら俺の方が強いだろと思ったら恐怖より怒りが増して渾身の力を振り絞って店の外に出ながら声を出してもがいて振り払おうと暴れた。
外の人達は不思議そうに鼻血をダラダラ流してる俺と俺を無理矢理三輪バイクに乗せようとしている奴らを見ているががみんな何もしない。見てるだけ。
そして奴らは手を止めない。
ここは狂ってるとしか言いようがない。
だが一応公衆の面前だし、あまりにも俺が声を出して暴れるものだから奴等はとうとう諦めた。
俺は荷物が重い為ヨロヨロとその場を離れた。
目の前にいた売店のおばちゃんが心配してティッシュをくれた。
多分奴らは俺を三輪タクシーに乗せた後俺だけ別の所に連れて行き身ぐるみを剥がそうとしたのだろう。
拳銃強盗の時もそうだが、普段の旅中なら見た瞬間関わらない様に離れる相手と少しでも関わってしまったのが問題だった。
状況が状況であった為街から出るのにそれだけ必死だった。
必死だったからこそ盲目になっていた。
今かなり反省している。
一旦OCCがあるバスターミナルのベンチに行き呼吸を整えた。
OCCがあるバスターミナルは銃器を持った警備員が一応いるから多少は安心だ。
俺の怪我なんか全然大したことないし、もう絶対あんな奴らと関わらないから良いんだけど、あのエクアドルの家族はずっとあんな怖い思いをしながらアメリカを目指すのかと考えるとモヤモヤする。
毎日あの家族の事思い出す。
不法移民なのか何なのかはわからないけど、とにかく無事でいて欲しいです。
とにかくこの街から出たい俺は意味無いかもしれないがサリナクルズに行きたかった。
こんな所に居るよりマシだ。
鼻の出血が止まったので一か八かで思いついた方法でサリナクルズに行こうと決めた。
結構バカバカしいのですが、スペイン語のサリナクルズの発音を練習した後ローカルバスに乗る際どこに行きたいか聞かれた時に顔を見せない様に、サリナクルズと言いさりげなくバスに乗ると言う方法だ。
だが勿論ことごとく失敗した。
諦めずに何回もやっていたら何と呑気そうなバスドライバーが普通に乗せてくれた。
助かった。最初からこうすれば良かった。
まあしょうがない。
バスの中ではずっと顔を伏せていた。
だけど僕の作戦はそう上手くはいかなかった。
ドライバーの他に一人スタッフがいたのだが、そのスタッフがチーノ(中国人)がどうたらこうたらと言いだし、バスは途中で止まり
スタッフに肩を叩かれて外国人は乗せれないからここで降りろと言われた。
俺は最後まで連れてってくれとお願いした。
何を言っていたのか殆どわからないけど、リスクがあるからダメとか何とか言っていたと思う。
俺はここまで来たなら絶対に降りないと決めていたから降りなかった。
痺れをきかしたスタッフは500(約4000円)ペソ払ってくれと言った。
もうサリナクルズに行ければ別に良いと思い500ペソ払い再出発。
サリナクルズに到着。
とにかくフチタンから離れられて良かった。
サリナクルズは海に面している小さな街で雰囲気はフチタンより全然マシ。
歩いてバス会社OCCのオフィスに向かった。
オフィスに到着し、全く期待していなくダメ元でオアハカまで行きたいと言ったら何と普通にバスチケットが買えた。
パスポートの提示すら求められなかった。
え!?本当に!!?
難なくチケットが購入出来て嬉しさのあまり泣きそうになった。
出発は12時間後の夜11時。
普段ならなげーよと思う時間でも喜んで待つ。
諦めてたら今でもあの辺から抜け出せてなかったかもしれない。
でもガムシャラに行動したおかげでどうにかなった。
無事バスに乗る事が出来て翌日の早朝オアハカに到着する事が出来た。
この感動と言ったらもう…。
とにかく色んな方に心配と迷惑をかけました。
心配して頻繁に連絡をくれる旅仲間もいましたし、家族や彼女にも大分助けられました。
ありがとうございました。
そしてすみませんでした。
自分は何ヶ国も旅をして来ましたが、決して旅が上手い訳では無いと今回の件で強く実感しました。
本当に旅が上手い人は、無理をせずに確実に進んで行けるルートを調べて楽しめる周遊の仕方が出来る人だと思います。
恐らく調子に乗っていたバチが当たったんだと思います。
オアハカやメキシコシティではフチタンにいた時の事が嘘だったんじゃないかと思う程、楽しめ地獄から天国の気分を味わいました。
色々ありましたがメキシコも大好きな国のひとつです。
しっかり危険を懸念すれば楽しい旅が出来る国だと思います。
これから中南米を旅する人、もしくはしていてグアテマラから陸路でメキシコに入国しようとしている人に言いたいのはグアテマラシティから行きやすいとは言えグアテマラの南El carmenからメキシコに入国し海沿いを移動しようとするのは絶対にやめてください。
いつかは状況が変わりどこでも外国人でもチケットが買える様になるかもしれませんがいつになるかわかりません。
自分が通ったルートだけでなく、もっと沢山の場所で外国人がチケットを買う事が出来ないと思います。
オアハカからメキシコシティのバスチケットは簡単に買う事が出来たので、国際空港があるような街から街は外国人でもバスチケットは問題無く買えると思いますが。
本当はこんな自分が言えることでは無いですがみなさんも安全第一の旅をしてください。
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