珊瑚礁とさかな
上の文章にリスペクトを
“泳げないさかなはしんでいくんだよ、珊瑚礁は砕けて灰になるんだよ、星になんてならないの”
フィクションとして希望を遺したい
───
最初の嘘を覚えていますか
忘れてしまいましたか
わたしもそうです
ぼくらは皆、顔色を伺って
目が悪くて色なんて見えないのに
嘘か真実かも分からない
ただ誰かの言葉をなぞって
地雷を避けるように歩くだけ
話す声は小さく、
すずらんの香りに隠れてしまう
あの手を離したのは誰ですか
やさしさはいつも苦しい
泳げないさかなはしんでいく
ぼくらは水槽の底から
砕けた珊瑚を見上げて
その灰を星にはできない
でも、聞いてくれるなら
その声が、少しでも
水面に届くといいね