MR(麻しん風しん混合)ワクチンを受けていますか?

2019年6月現在、麻しんと風しんの感染者が増えています。

現在、麻しん風しんの感染者が日本国内で発生しています。
母子手帳などでご自身の麻しんと風しんのワクチン接種歴を確認して、ワクチンを受けたことのない方で罹ったことのない方は、是非ワクチン接種をご検討ください。

これは、国立感染症研究所発表資料です。麻しん患者数が増えているのがよくわかります。(※赤丸印は筆者によります。)

風しんも増えています。同じく、国立感染症研究所の資料を張ります。赤丸印は筆者によります。

2018年から風しん患者が増えているのが分かると思います。2013年ほどの流行にしないために、是非今一度、ワクチン接種歴を確認いただきたいです。

恐ろしい病気「はしか」
~約1,000人に1人の割合で死亡する可能性があります!~

通称「はしか」と呼ばれている麻しんは、麻しんウイルスに感染することでおこる病気です。

【どうやってなるの?】 麻しんウイルスは感染力が非常に強く、患者さんと同じ空間にいるだけでも、ウイルスが空中を漂って感染してしまい(これを空気感染といいます)、手洗いやマスクでも予防できません。
この時、麻しんの免疫を十分に持っていないと、10~12日ほどの潜伏期の後、発症してしまいます(症状が出てしまいます)。
感染力はきわめて強く、麻しんに対する免疫を持っていない人が、感染している人に接すると、ほぼ100%の人が感染すると言われています。

【症状は?】 感染すると、38 ℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感があり、咳や鼻水などの上気道炎症状と目の充血など結膜炎症状が出ます。
はしかに特徴的な発しんもまだ出ていないので診断がついていない場合もありますが、この頃が周りにうつす可能性が最も高くなっています。
発熱が少し和らいだ(1℃程度下降した)後、半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5 ℃以上)が出て、発しんが耳の後ろなど頭のあたりから出てし、翌日には顔や体と全身に広がっていきます。
肺炎や中耳炎になることがあり、まれに重い脳炎を発症することもあります。先進国であっても、1000人に1人が死亡する可能性があると言われています。

【どうやって防ぐの?】 麻しんを発症した人が周囲に感染させる期間は、発しんが出現する4日前から発しん出現後4~5日くらいまでと考えられています(学校は、解熱後3日まで出席停止となります。)。
なお、感染力が最も強いのは発しん出現前の期間です。発症してしまうと、麻しんウイルスに対する抗ウイルス薬はないので、症状を和らげる治療法しかありません。ワクチンによる予防が一番大切です。免疫を十分につけるには2回ワクチンを接種することが良いと考えられています。
現在は、1 歳になったらすぐ(第 1 期)と小学校就学前 1 年間(第 2 期)の MR ワクチンの 2 回接種が定期接種として実施されています。
2007年(平成19年)に免疫を十分に持っていない世代を中心とした流行がありました。


侮れません「風しん」
~妊婦さんが感染すると、赤ちゃんに重大な後遺症を残すことがあります~


 通称「三日ばしか」とも呼ばれる風しんは、風しんウイルスに感染することでおこる病気です。

【どうやってなるの?】 風しんウイルスは、くしゃみなどに含まれたウイルスによって感染します(これを飛沫感染といいます)。

【症状は?】 感染から2週間〜3週間後に、発熱や発しん、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。ただし、発熱しない人も半数程度います。
また、感染しても症状の出ない人(不顕性感染と言います)が15(~30)%程度存在すると言われています。そのため、症状からの診断は困難です。
高熱が続くことや、血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)、急性脳炎(1/4,000〜6,000人)などの合併症により、入院が必要になることもありますが、基本的には重症になることなく治ることが多いです。
ただし、大人が感染すると、子どもより熱や発しんが長く続き、強い関節痛もでて、一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。
また、妊娠20週頃までの妊婦が感染して、おなかの赤ちゃんも風しんに感染して、先天性風疹症候群となることがあるので妊婦さんやその周囲の人は風しんウイルスを運ばないように注意が必要です。


【どうやって防ぐの?】 発しんの出る前後約1週間は人に感染させる可能性があります(学校は、発疹が消失するまで出席停止となります)。
診断もついていない場合があるので、感染を防ぐにはワクチンを接種しておくことが重要です。免疫を十分につけるには2回ワクチンを接種することが良いと考えられています。
現在は、1 歳になったらすぐと小学校就学前 1 年間の MR ワクチンの 2 回接種が定期接種として実施されています。
2012~2013年(平成24~25年)に免疫を十分に持っていない世代を中心とした流行がありました。
また、2018年(平成30年)7月下旬頃から関東地方を中心に風しんの患者数が増加していることから、国は感染防止のため、1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日の間に生まれた(今年度初めに40~56歳の)男性を、2022年(令和4年)3月までの期間に限り、風しん第5期定期予防接種の対象者としました。
対象者は、日本全国で抗体検査原則無料で受けることができ、抗体がない場合、原則無料予防接種を受けられます。この予防接種は麻しんと風しんの二つのワクチンが一本に入ったMRワクチンで行われていることが多いので、是非この機会に予防接種をお受けになってはいかがでしょうか。

以下の図は、国立感染症研究所感染症流行予測調査から筆者が作成したもので、元の調査は年齢でなされていたものを、出生年度に置き換えてグラフ化しています。抗体保有率は、95%を目指すのが集団の中で流行が起きないようにするための目標と聞いたことがありますが、日本の壮年男性の風しんへの抗体保有率は75%を切るような状況となっています。

厚生労働省では、以下の目標を掲げているようです。
(1)2020年7月までに、対象世代の男性の抗体保有率を85%に引き上げる
(2)2021年度末までに、対象世代の男性の抗体保有率を90%に引き上げる


現実的な目標かもしれませんが、現在の日本の風しん抗体保有率は、理想的な抗体保有率とはいいがたいように思います。対象年齢以外の方は無料にはならないと思いますが、接種歴や感染歴のない方は、ご自身と身の回りの方の安全のために、ぜひこの機会にMRワクチンをお受けいただければと思います


出典・参考資料:(2019年6月14日現在アクセス可能)
国立感染症研究所 「麻疹とは」 
国立感染症研究所 「風疹とは」 
厚生労働省 「麻疹について」
予防接種に関するQ&A集 日本ワクチン産業界 
東京都感染症情報センター 麻疹 
国立感染症研究所感染症流行予測調査グラフ 
厚生労働省 風疹の追加的対策について
東京都感染症情報センター 麻しん 

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