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知識の記録方式(52) BOMと知識記録

なぜ知識とBOMの関係を考えることが必要なのかであるが、それは、最初のデジタル化される情報は設計が作成するBOMであるからだ。これが、ものづくりの情報の原点であるからだ。そして、この原点を起点に企業の関係組織のデータへと拡大されていくからである。

 もちろんBOMが完成するのは設計が図面を描いた後半分の期間であるとの意見も出るだろう。しかし、部品の共通化、加工工程の改造をミニマムにして投資を押さえる、既存の加工技術を採用することで素早い製品化と品質の安定を狙うなどを考えるならば、既存のBOMのデータを活用して図面を作成する手続きが自然である。

 既存のBOMを設計者が活用するならば、部品表の品番や品名だけでなく、生産の状況や市場での品質、製造原価などを知りたくなるはずである。

つまり、大きなPDCAが部品表に始まり、デジタルレビュー、試作、生産、市場品質を経て、次期製品開発にフィードバックされなければならないはずである。BOMは企業で用いられる基本的な分類なのである。

 無機質な英数字を主とした表記のBOMを見ただけで、その形状や工程を想像することは誰でも可能ではない。自分の専門分野のことしか想像できない。そこでものづくりの知識や品質の問題をどのように記録するかを考える必要が出てくる。誰でも書き込むことのできる方法はなんだろうか。それは図面になる。CADではない。この理由については後述する。どんな機能の役割の人であろうとも、その図面にその知識を書き込むことはできるはずである。製造現場の人が図面に書き込みながら作業をする姿を見たことがないだろうか。

 些細なことかも知れないが、ものづくりに対して、現場の作業がどのような配慮により図面に忠実に行われているかを知ることは、図面を描いた設計者は知らなければならない。しかし、海外の生産など場所の遠いところでの現場に仕事は知ることも難しい。それを知りたいという意識を持てば、そのことを実現する方法を考えるようになるはずだ。企業の知識継承をするならば避けて通れないことでもある。

 結局、エンジニアがニーズを発見するには、現場で起こっている問題を知ることであり、問題を知ったら、その原因を究明することであり、原因が分かったら、その対策をすることである。そして、設計者は二度と同じ失敗を繰り返さないことである。良い設計者とは、人としての倫理観をしっかりと持った者であって欲しい。それには過去の失敗を社内で共有していなければ、安全と品質のマネージメントは機能しないであろう。

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