皐月①物語との邂逅
サツキ。
響きが綺麗ですよね。
音もいい。
好きな言葉です。
僕は5月に生まれました。
新緑一歩手前。という季節感がとても好きです。
「皐月」という字面もスマートでいい感じです。
皐月とは、厳密には旧暦の5月を指すので、
僕の誕生日は実はちょっと外れてます。
そこはまあ、ご愛嬌。
さて、僕の物語のスタートは、初めて物語に触れた頃の記憶から。
物語との邂逅、なんてタイトルでかっこいい言葉使っちゃってますが、単に親から一冊の本を与えられただけでした。
「長男には本を読む人になってほしいから」
小学校低学年の頃、そんなことを言われた記憶があります。
ただ、両親は特に本を読みません。
妹も二人いますがどちらも特に読みません。
結果的に、本の世界では家族内でえらく孤立するのですが、それに気がつくのは十年後とかのお話です。
「これ読んでみたら?」
そう言って母親から渡された本が、僕を物語の世界へと引きずり込むきっかけとなった本でした。
『デルトラクエスト』
表紙がキラキラしてて、とても綺麗でした。
小学生の頃なので、小学生のような感想を抱きました。
ぺら、とページをめくります。
それだけでハマるわけはありません。
そんなに物事都合良くないです。
また、ぺら、と紙をめくります。
この感触を教科書以外で味わうのは初めてでした。
それまでは『ぐりとぐら』を始めとするでっかい絵本しか、ぺらぺらとめくったことはありませんでした。
紙の向こうで、文字の世界で、主人公の男の子が何かを一生懸命頑張っていました。
それは目に映る世界とは違う、自分の頭の中だけに広がる新しい世界だったと思います。
最初の半分は何となく読み進めた覚えがあります。
半分を過ぎた頃、これは面白いのではないか?などと思い始め、そこから読む速度が上がります。
城とか国とか、魔物とか、特殊な力のある宝石とか、児童書ファンタジーでワクワクする要素をふんだんに詰め込んだ名作でした。
多分今読んでも結構好きになる自信あります。
冒険を通じて仲間が増えます。
大きな困難も乗り越えていきます。
えっ、と思うような展開にも見舞われます。
何が起こってもなぜだか諦めずに突き進む主人公たちの姿は、
まるで自分も一緒に戦っているかのような、
共に空想の世界で生きているかのような、
そんな錯覚を感じられた体験だったのを強く覚えています。
当時は友達に貸し出して一緒に読んでました。
僕の小学生時代は、児童書と呼ばれるジャンルオンリーで創られています。
『ダレン・シャン』、『バーティミアス』、『ドラゴンラージャ』などなど。
ちなみに僕が最初に書いた小説は、まさに厨二病をこじらしたようなファンタジーモノでした。
そのあと結構読んでもらった作品が、超能力モノでした。
この辺の読書が原体験となっているんでしょうね。
ファンタジー万歳。
空想妄想万歳。
そうやって、現実と空想の狭間を行ったり来たりしています。(今も)
児童書ファンタジー好きだったなぁ……!
影響受けた作品でも、次でいくつか挙げてみます。
皆さんにとっても、懐かしい!っていうのがあればいいな。
邂逅は終わり。
原体験は、もう少し続きます。