物書きを目指すきっかけになった小説家・中村航
物語で、文章で、表現で、言葉で、こんなにも人の心を揺さぶれるんだ。
そんな思いを強烈に覚えたのが、中村航、という小説家。
小説家 中村航 公式webサイト
初めて読んだ作品は『あのとき始まったことのすべて』でした。
日常をこんなにも綺麗に切り取れる人がいるんだ、こういう風に世界は見えているんだ、こうやって目に映る景色や想いを表現するんだ、そんなことを思いました。
同じモノを見ているはずなのに、こんなにも違ってその人の目に映っている。
その差に、違いに、ただただ驚き、感服し、こうなりたいなぁ、と当時の僕は思ってしまったのです。物書きになりたいと、物語を紡ぐ人になりたいと思うきっかけになった、そんな出逢いでした。
本との出逢いと、中村航という小説家との出逢い。
たくさん作品を読んでいくうちに、独特な優しい世界観に埋没するように、僕はどんどん虜になっていきます。
中村航という生き方
大切なのは、意思と勇気。
世界で一番熱く、激しく、クールで、ロマンチックで、センチメンタル――。
どうせだったら、そんな小説を書きたいと思っています。
普段、小説を読まない人にも、ぜひ読んでみてほしい。
そのためにできることを、日々、考えながら、一文字ずつ、一文字ずつ。
小説家 中村航 公式webサイト プロフィールより
「大切なのは、意思と勇気。それだけでね、大抵のことは上手くいくのよ。」
デビュー作『リレキショ』の一節です。
センセーショナルな言葉では決してないのですが、ストーリーの中にこうした言葉が組み込まれていて、気づけば読み手の心の中にすっと入ってきている。
そんな中村航さんですが、10代の頃はバンド活動をしており、理系の大学で就職はエンジニア。そこから友人に勧められて、29歳のときに文藝賞を受賞しデビューしています。
その後、芥川賞の候補に『夏休み』『ぐるぐるまわるすべり台』という作品がノミネートされています。また『100回泣くこと』というベストセラーを始め、『デビクロくんの恋と魔法』『トリガール!』など映像作品も多数輩出。
ストーリー原案・作詞を手掛けるメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』というアプリゲームは、ユーザー数全世界2000万人を突破しています。
小説家というジャンルに留まらず、多くの媒体を通して影響を与えているその姿は、僕の中の小説家という生き方の形を、少しずつ変え続けてくれています。
中村航の紡ぐ作品
『あのとき始まったことのすべて』。
何がそんなに衝撃だったかというと、日常の想いや、流してしまいそうな何気ないやりとり、情景、全てがとても鮮明に、美しく表現されていたことでした。
読んでいてた当時、8年ぶりに会う幼馴染の女の子がいました。
小学校卒業以来だから、どんな顔してるんだか、どんな声だったか、記憶の中では12歳のままなのです。
この物語でも、10年ぶりの幼馴染と25歳になった主人公が再会するところから始まります。
そのときの表現が、想いが、見えた景色が、本当にリンクしたんです。
こんなことって人生であるんだ、と思いました。
待っている間は、久々だから誰がその子かわかるかな、化粧とかしてたらわかんないかもな、という情けない不安があるのです。あの人かな、この人っぽいな、でも微妙に違うか……。
なんて思いながらも、実際当の本人が来たら、そのときにちゃんとわかってしまうのです。ばち、っと記憶と結びついてしまうのです。
記憶の中からは成長した顔つきなのですが、見た瞬間、ああ、間違いなくこの人だ、と確信を持てる。
そのシーンに感動しちゃって、なんでこんなにわかるんだこの作者は、と思っていたらファンになっていました。
物語の中で彼らは、会っていなかった10年間を埋めるように距離を縮めていくのですが、僕らはその日限りで、特に用事もないので会うこともありませんでした。
そんなはっとするような、びっくりするような瞬間が、中村航さんの本ではたくさんあるのです。どういう人生を歩んできたら、こんな思いや表現につながるのだろう、なんて思うのですが、そこから僕がめちゃめちゃ影響を受けることになります。
特にオススメは、『絶対、最強の恋のうた』『デビクロくんの恋と魔法』です。胸がぎゅーっとなるような、きゅんとなるような、そんなお話になっています。
さて、僕の電子書籍『小夏のブルペン』も、実は中村航さんが最近立ち上げた投稿サイトからお声をかけていただいたことがきっかけでした。
Web小説投稿サイト ステキブンゲイ
ゲストで呼んでいただいたYouTubeで少しお話もさせていただきました。
嬉しかった。(語彙力喪失)
そんな僕の影響受けまくりの小説家、中村航さん。
ご活躍の場もどんどん広げられていて、自分もその創り上げられ続けている未来の可能性の一部でありたいなぁ、と勝手に思わせていただいています。
一緒にお仕事できれば面白いだろうなぁ。なんて。
僕も物書き、本に留まらず、幅広い世界に挑戦し続けます。
その方がほんの少しでも、世界は楽しくなりそうな気がします。