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スーパー戦隊の主人公とは誰なのか? 今話題の「桃の園」初回を読んで思ったこと。

今話題の「桃の園」という漫画の第1話を読んだ。

無料なのでこの記事を読む前に皆さん読んでみてください。ちなみに次回の更新は8月13日らしい。

「こんなの読みたくねえッ」というのために一応あらすじだけ書いておきます。

ヒーロー『ゴクレンジャー』に憧れる少女・花岡さくらは『ピンク』の育成学校『桃の園』へ入学する。

幼い頃に怪人から守ってくれた『レッド』のように、率先して人を助けられるヒーローになりたいさくらだったが、そこには大きな壁があった。
女は『ピンク』にしかなれず、ピンクに許されるのは戦闘のサポートだけだったのだ。

これは、夢見る少女・花岡さくらが『レッド』を超える『ピンク』を目指す、反抗の物語

「桃の園」作品内容 より


本作はありえないぐらいスーパー戦隊に対する解像度が低く、案の定Twitter(現X)で特オタがブチ切れているのだが、一方の特オタも姫シンケンレッドだのキジブラザーだのバカバカしい反論ばかりで正直「特オタが舐められるのも当然だな」と思った。

まあとにかくツッコミどころが多すぎて怒るに怒れない状況なのだが、できるだけ要点を搾って怒っていきたいと思う。



戦隊の主人公は本当にレッドか

最近の変化球な戦隊はともかく、昭和の戦隊は「全員が主人公」なのが大前提である。そもそもの企画の始まりが「五人の仮面ライダー」であるため当然である(この辺は各々調べてください。私は一般常識だと思ってるので…)。
中でも「バトルフィーバーJ」のミス・アメリカ/ダイアン・マーチンや「電子戦隊デンジマン」のデンジピンク/桃井あきらはレッドと同等かそれ以上の存在感を示すれっきとした主人公であった。
そもそも「戦闘のサポート」って何?どの戦隊ピンクも戦闘員をしばき倒して怪人にもガンガン攻撃を当てているでしょ。
フィニッシュも全員の力を合わせた必殺技(バズーカやロボ)が圧倒的に多数派なのだから、この漫画が言うところの「周りがサポートしてレッドがトドメを刺す」というパターンの戦隊は東映公式のスーパー戦隊に存在しないでしょ。
ギンガレッドがブドーを一騎打ちで倒したのはイベント戦みたいなもので、毎回やってるわけじゃないし…。
存在しないものと必死に戦っているさくらちゃん、本当に哀れだ。



三人が主人公!?戦隊の雛形・ゲッターロボ

「サイボーグ009」「科学忍者隊ガッチャマン」「忍者部隊月光」など集団ヒーローはスーパー戦隊以前にもたくさん存在する。
その中でもゴレンジャーの前年にあたる1974年かつメインライターが同じ上原正三先生(以下敬称略)の「ゲッターロボ」の話を少しだけさせて欲しい。
ゲッターロボは三人揃わないと100パーセントの力を発揮できないロボットである。命懸けの信頼関係で結ばれたリョウ、ハヤト、ムサシという対等な三人の若者が操縦する。そう、ゲッターチームは三人とも主人公なのだ。

リョウ(中央)、ハヤト(左)、ムサシ(右)

上原正三はダイナミックプロの示した「三人が主人公」というコンセプトに非常に惚れ込んでおり、これは後のゴレンジャーの作風に直接影響していると言っても過言では無い。
スーパー戦隊第0作はゲッターロボである。



ピンクという色が持つ属性・意味

ピンクという色に与えられた属性や意味について考えた事があるだろうか?女の子らしい?可愛い?まあこれも間違いではないが、私はもう一つ大きな意味を見出している。

それは、第二のレッド

赤色を白く薄めるとピンク色になる。
仮に例のクソ漫画が言うようにレッドが絶対的な主人公だと言うのなら、ピンクは最低でも「準主人公」になる
「そろそろ女性レッドを」みたいな声がたまにTwitterなどで上がることがあるが、そんなものは愚の骨頂である。
姫シンケンレッドが出てくるずっと前、ゴレンジャーの時点で既に女性レッドは存在する。
なんならランドセルやトイレのマークの赤色は未だに女性の色というイメージが強く、男性が赤を担当するスーパー戦隊はむしろポリコレ的に正しいまである。



「桃の園」というタイトルを見て真っ先に思った事

スーパー戦隊で「
思い当たる人物はいないだろうか?

そう、「大戦隊ゴーグルファイブ」ゴーグルピンク/桃園ミキ である。

彼女はゴーグルファイブ作中でブラックともども主役級の扱いを受ける。ハッキリ言ってレッド以上だ。中でも第39話「悪魔の人食い絵本」のミキは本当にかっこいい。

なんだ、とっくにいるじゃん、レッドを超えたピンク。
しかも正真正銘の本家スーパー戦隊で

まさか、ここまで知った上でこのタイトルを…!?
…だとしたら悪趣味だし、知らなかったとしたらリスペクトに欠けるしどちらにしても最低だなァと思った。



最後に

五つの力を
一つに合わせて
叫べ勝利の雄叫びを
秘密戦隊ゴレンジャー

秘密戦隊ゴレンジャーOP「進め!ゴレンジャー」
作詞・石ノ森章太郎

三つの心が一つになれば
一つの正義は100万パワー
悪を許すなゲッターパンチ
ゲット ゲット ゲッター
ゲッターロボ

ゲッターロボOP「ゲッターロボ!」
作詞・永井豪

主人公が誰かなんて、無粋ですよ。
三人でも五人でも十人でも赤色でも桃色でもいい。
命懸けの信頼関係で結ばれた戦士たちの悪を許さぬ正義の心はいつだって一つなのだから。


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