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オフィシャル・キャラクター全国生息分布図

西島大介です。

マンガ業の傍ら、全国各地の放送局、美術館、アプリなどの公式キャラクターを手がけることが多く、それらはマニア向け過ぎる僕のマンガよりも、全国各地に散らばり、深く地域に届いていることがあります。「ビュフェくん」そして「無題さん」という美術館のキャラクターの「ミュージアム・キャラクター・アワード2021」(毎日投票できます!)への参加をきっかけとして、これまで詳細には紹介してこなかった公式キャラクター、そのデザイン、活動地域、施設などについてご紹介します。

広島代表「無題さん」(2020)広島市現代美術館

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「無題さん」は、広島市現代美術館の「リニューアル休館」期間のオフィシャル・キャラクター。2020年12月27日のクロージングイベントで初公開。自らは進んで言葉を話さないが、現代美術作品の声を聞くことができる媒介者にして、良き紹介者。後述する「ビュフェくん」と異なり、特定作家は存在せず、美術館にコレクションされた「現代美術作品全般」を代表する。ゆえに性別はない。頭部にかぶった緑色の帽子は、長く地域に馴染んでいるロゴデザイン(比治山と美術館)がモチーフ。カラーリングもロゴの色彩設計に基づく。美術館の設計はメタボリズムを牽引した建築家の黒川紀章で、「無題さん」が乗って飛ぶUFOはその建築の印象的な一部分。「休館だ。さぁ、みんなの元へ!」という美術作品を外部に展示していく休館期間の催しに対応し、無題さんはこのUFOに乗り広島市内を移動する。休館期間、紙&電子で定期的に発行されているニュースレター「Untitled」にて、美術館所蔵作品を紹介するマンガ『美術は無題さんに静かに語りかける。』を連載中。ヘンリー・ムーア、オノ・ヨーコなど、「作品の声を聞く」形式で現代美術作家を紹介している。

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リニューアル開会まであと少し・・・。働け「無題さん」!

【2023年11月追記】
無事リニューアルし、お役御免と思っていた無題さん、様々な経緯を経て、休館プロジェクトを再考する展示「再現場」にて、美術館館内に展示されています。

お・・・おかえり、無題さん。


静岡代表「ビュフェくん」(2018)クレマチスの丘ベルナール・ビュフェ美術館

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「ビュフェくん」は、静岡県長泉町の複合美術施設「クレマチスの丘」、ベルナール・ビュフェ美術館45周年を記念するオフィシャル・キャラクター。ビュフェの作品と人物像を紹介する月刊新聞『月刊ビュフェくん』全12号の企画とともに誕生。ビュフェくんは、ビュフェの妻・アナベルが美術館正面に植樹した木の妖精であり、ベルナール・ビュフェ自身。ベレー帽、シャツ、ソックスというファッションは少年期のあどけないビュフェの母子写真に基づく(しかし年齢は45歳)。手に持つ凶悪にも見える「鞭」は、ビュフェの代表作の一つ『キリストの受難:笞刑』(1951)より引用。新聞『月刊ビュフェくん』は、豆新聞として2018〜2019年にかけて美術館入場者限定で無料配布された。その後、コロナ禍を受けて2020年よりウェブにて全エピソードを段階的にPDFで公開。現在ビュフェの伝記マンガ全12話は、いつでも閲覧可能。『月刊ビュフェくん』制作のための生原稿は美術館に寄贈された。

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テーマソングも緊急配信!

【2023年11月追記】
そして、ベルナール・ビュフェ美術館50周年を記念するこの秋、電子単行本化されます。12/15リリース!! 50周年おめでとうございます。


大阪代表「シノビー&ニン丸」(2018)ytv(読売テレビ)

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「シノビー」読売テレビ60周年、本社移転を記念して制作された公式キャラクター。新社屋の近くにある大阪城に暮らし、ytvに仕える「忍者」ならぬ「社忍」という設定。お供は、忍犬の「ニン丸」。キャラクターの浸透のために、新入社員入社式に出席するなど、視聴者には届かない企業のための催しも「影」で行われた。ほっかむり&スカーフの色彩設定はytvのコーポレイト・カラーに基づく。コレクションに大きな変化が発生し得ない美術館と比べてると、放送局は日々変化する「なまもの」であるため、追加設定が発生し、キャラクター像・設定は随時チューンナップされている。インスタグラムyoutubeチャンネル、深夜の冠番組、主題歌、お菓子、ぬいぐるみ、コンビニのラッピングなど、全方位で展開。専属のアクター、声優が存在し、着ぐるみがほぼ毎日稼働中。

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アプリ代表「ハコベルくん」(2019)ハコベル

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デジタル流通プラットフォーム「ハコベル」のアプリ内キャラクター。マップの使い方、領収書の提出など、アプリを使うドライバー、配達員に向けて、必要な工程をわかりやすく伝えることが役目。「運べる」→「ハコベル」→「箱」というサービスのコンセプトを継承し、まま頭にダンボール箱を装着。ダンボールやボディの色彩設定はコーポレイト・カラーに基づく。


以上、最近のキャラ仕事のご紹介でした。客観的に西島のデザインの方針をするならば、基本的に「盛らない、いじらない」「コーポレート・カラーを生かす」「歴史&物語(ナラティブ)を掘り、引き受ける」、「場合によってはマンガで補完&解説」、「顔いつも一緒?」という感じでしょうか。思い出せばキャラクター仕事、古くは文学フリマ(2002)や、ケーダブ&宇多さん「第三会議室」(2005)など多々あります、こちらを参照。デザイン・設計のご依頼、全国各地、いや世界、いつでもお待ちしております(メール)。そして、結果同門対決となった「無題さん」「ビュフェくん」に清き一票を〜!

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