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アルくナマポ 〜3〜

その日も、モンゴル獄長は
いつものように仕事が終わったあと
家の近所のお気に入りの飲み屋で
仲のよい呑み友達と
いつものように飲んでいた
当然、次の日も仕事だったが
ブレることなく綺麗に泥酔した様である

次に目を覚ましたとき、彼は
病院のベッドの上にいた

半分酔ったままなのと、慣れなのか
焦ることなく彼は

あー、またやってしまったな。。

としか思わなかった
だが、いつもと少し状況が違うことに気付く
携帯、バッグ、財布、家の鍵、靴、果ては眼鏡まであらゆるものを身に着けていなかった
唯一、服は身に着けていたみたいだが
それもおしっこや泥で汚れていたようで
脱がされて病院支給のオレンジのシャカシャカに
変わっていた

だが、まだだ
まだ焦ることはない
なくしたものはすぐに出てくるだろうと
非常に楽観的に考え、看護師さんに

もう帰ってもいいですか?と聞く

もう酔いも覚めただろうからいいわよ、と
彼女は答える

病院の使い捨てスリッパみたいなやつをもらい
仕事があったので職場へ向かう
店のユニフォームをオレンジのシャカシャカの上から重ね着して裸眼のまま(視力0.01)
仕事をし、歩いて帰る

翌日が、オーナーのいる本店のランチのヘルプに入っていた気がした
本店までの電車賃分しか入っていない小銭入れはドロドロの自前のズボンから回収して持っていた
とりあえず出勤したらオーナーから給料を前借りさせてもらおうと思っていた

とにかく、何とかなるさと
思いながら家のドアの前に座りこんで寝た

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