将来の夢扉

私はなんでも出来た。私には多彩な才能があった。故に何も出来ない人間には当然、それ相応の対応をするし、罪悪感もない。そいつらを視界に入れるだけで嫌悪感を感じる。
ある時から私の家には扉が届くようになった。それは連続して届いたり、数日空いて届いたり様々だ。その扉に入ると大学生の、今の自分が体験出来ない様な事が沢山体験できた。海外への就職や、事業の成功。海外旅行やカジノ、数え切れないほどの体験を、その扉は与えてくれた。だが気がついた頃には遅かった。何故気が付かなかったのか、其れを認識できなかったのかは今この瞬間も不明である。大学生だった私の姿は老いぼれ、見るに堪えない醜悪な姿になっていた。私が成し遂げたかった事、真っ当に生きていれば体験出来た事はもう不可能。夢だけを見た人生だった。

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