8Mile エミネムが主演した自伝的HIPHOP映画
あらすじ
1995年、ミシガン州デトロイト。プレス工場で働き、思いつくままに歌詞を紙に書き綴る白人青年ジミー・スミスJr.(エミネム)。彼はラッパーとしてのプロ・デビューを夢見ているが、黒人ばかりが出場する街のラップ・バトルにはプレッシャーを感じ、棄権を続ける日々。
一方、母親のステファニー(キム・ベイシンガー)は、ジミーのハイスクール時代の先輩グレッグ(マイケル・シャノン)に溺れており、彼を頼ってその日暮らしをしていた。
そんなある日、ジミーは、モデルになることを夢見てウェイトレスとして働いているアレックス(ブリタニー・マーフィ)と出会い、恋に落ちる。
だがステファニーは住居のトレイラー・ハウスからの立ち退き命令が届いても働こうとせず、アレックスは業界にコネがあるというウィンク(ユージン・バード)に抱かれていた。
身も心もボロボロになったジミーは、ついにラップ・バトルのステージに上がる。そして最高のパフォーマンスを見せるのだった。
感想など
ヒップホップ界のスーパースター、エミネムが、彼自身の半自伝とも言えるドラマで映画初主演。全編、観る者を射抜くような鋭い眼差しで、役者としてもカリスマ性を発揮している。ヒップホップに興味がなくても、あるいは苦手でも、物語自体に共感でき、心にズシリと響く一作。
掃き溜めのようなデトロイトから抜け出してラップで成功することを目指すジミーが、仲間の励ましを糧に恋人の裏切りや挫折を乗り越えながら、自分の夢に目覚めて、自動車プレス工場で働きながら自分の思いをリリックに託して夢に向かって、一歩一歩成長していく姿を、丁寧に描いていて心が熱くなり、勇気をもらいました。
デビュー前の自分をモデルにした主人公ジミーをリアルに演じるエミネムが、ギラギラしていてかっこいいです。
ヒップホップが生活の一部として溶け込んでいることが、仕事の愚痴をラップで表現して仲間内でやり取りしているシーンなどでよく分かるし、ラストのラップバトルで、エミネムが自分の境遇やコンプレックスを、絶妙に韻を踏んでユーモラスに即興のラップで表現して自分の殻を破って、相手を打ち負かすところは、痛快です。