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シン・ゴジラ 令和日本は、ゴジラにどう立ち向かうのか

あらすじ

東京湾羽田沖で、漂流中のプレジャーボートが発見される。
生存者は確認されず、残されたのは僅かな遺留品だけであった。
その時、海面が変色すると同時に激しい揺れが発生、大量の水蒸気が噴出する。
直下の東京湾アクアラインの海底トンネルにて崩落事故が発生し、数台の車が巻き込まれる。
これを受け、大河内清次内閣総理大臣以下、閣僚と関連省庁関係者が招集され、緊急会議が開かれる。
会議参加者の多くは「事故の原因は海底火山の噴火か熱水の噴出によるもの」との仮説を支持し、その方向で対応を協議しようとする。
しかし矢口蘭堂内閣官房副長官(長谷川博己)はこの仮説に疑問を呈したうえで、「海底に未知の巨大生物が潜んでいるのではないか」と主張。
赤坂秀樹総理大臣補佐官(竹之内豊)らはそんなものがいるはずはないと矢口の主張を一笑に付すが、その直後、足の生えたオタマジャクシに似た巨大生物が海面に浮上し、陸地に向けて移動を開始する。
想定外の事態に混乱する日本政府は有効な対策を打ち出せない。
矢口はそうこうする内に巨大生物は東京湾から呑川に入って遡上、さらに水中生物だと思われた怪物は大田区の蒲田に上陸し、地面を這いながら内陸に侵攻する。
やがて巨大生物は市街地に突入、建物が破壊され、市民に犠牲者が続出する。
今まで決断を先延ばしにしていた大河内総理(大杉漣)も、花森麗子防衛大臣(余貴美子)に促されて「巨大生物の駆除」を自衛隊に命令し、対戦車ヘリコプターの編隊が飛び立つ。
しかし攻撃が始まる直前、巨大生物の外見に不気味な変化が起き、巨大生物は立ち上がろうとする動きを見せる。
自衛隊は攻撃を行おうとするが近隣住民の避難が完全に行われておらず、攻撃は中止され、その隙に巨大生物は海に戻っていく。
海上自衛隊が捜索を行うが巨大生物の位置はつかめず、矢口率いる対策チームの調べで巨大生物はまだ進化する兆候を見せていることが分かる。
その巨大さからどうやってエネルギーを得ているのかという疑問に対して巨大生物の通った個所の放射線量が増加していることから核物質による核分裂をエネルギーにしているという推測がなされ、海に戻ったのは自身を冷却するためであるという仮説がなされる。
事後処理に追われる官邸一同だったが、そこに米国大統領特使である日系アメリカ人のカヨコ(石原さとみ)が来日し、ある生物学者を捜索してほしいという依頼をする。
牧教授は、物語冒頭に発見されたプレジャーボートの持ち主であった。
彼は古代生物の研究を行っており、米国ではその生物がかつて海底に破棄した核廃棄物を吸収して進化していった生物であるという見立てを行っていた。
ゴジラの放つ放射性物質は未知のものであり、米国はその新たなエネルギーとなりえる特性を持つ生物に目をつけていたのである。
学者は故郷であるの伝説の海神「呉爾羅」とそれを呼称していたことから以後、政府は巨大生物を「ゴジラ」と呼称するようになる。
政府がゴジラの再上陸に備えての法整備と自衛隊による迎撃の作戦を練る一方、矢口の率いる対策チームは学者の残した資料からゴジラに対する対抗策を模索していたが難航していた。
そうしているうちにゴジラは鎌倉沿岸に出現し、再上陸を行う。
ゴジラは当初より2倍近い体長に成長し、完全な2足歩行を行っていた。
再び首都に向かうゴジラに対して自衛隊は防衛ラインを張り、対戦車ヘリコプター、戦車、自走砲、戦闘機などを繰り出してゴジラを攻撃する「タバ作戦」を実行するがゴジラは進化によって強靭な体皮を備え、自衛隊の砲弾や爆撃を受けてもまともな傷すら負わせることができず、阻止に失敗する。
政府は日米安保条約に基づき、米国の支援を受けることを決める。
すでに米国はゴジラの攻撃を決めており、地中貫通爆弾を装備した、ステルス爆撃機3機が出撃する。
ゴジラの予測進路が官邸を通っていたことから首相をはじめとした官邸閣僚はヘリコプターによる避難の準備を始め、矢口らも陸路で立川の臨時官邸施設に向かおうとする。
そんな中、米国のステルス爆撃機はゴジラへ爆撃を行い、地中貫通爆弾の直撃によってついにゴジラに傷を負わせることに成功する。
このまま、爆撃によってゴジラを倒せるかと思わせた矢先、ゴジラの体が紫色の発光をはじめ、口からすさまじい火炎を吐き出し始める。
その口から放たれる火炎が次第に収束、紫に変色し強力な熱線砲と化してステルス爆撃機の1機を撃墜。
さらに再攻撃を行おうとする2機に対しては背びれから多数の熱線が放射され、瞬く間に撃墜されてしまう。
ゴジラは熱線を周囲に乱射し、東京の3区画が火の海と化した上で重度の放射能汚染がされてしまい、ヘリコプターで脱出しようとしていた首相を含めた官邸閣僚も熱線に巻き込まれて多数が死亡。
熱線を吐き終えたゴジラは、そのまま眠るようにその場で活動を停止した。
生き残った里見農林水産大臣が首相に就任し、立川を拠点に新たな内閣を立ち上げて政治的空白を開けないように尽力。
ゴジラはエネルギーの消費で休眠状態にあるが、レーダーのような器官をもっているのでもし航空機が接近すると熱線を放って即座に撃墜されてしまうことがわかる。
更に科学者の見立てで、ゴジラが活動を再開するのに15日という時間しかないことも判明する。
矢口ら対策チームの力によってゴジラに血液凝固を促す薬剤を注入して停止させるプランが出来上がりつつあったが、米国、並びに国連はゴジラに対して再活動の前に核兵器を用いてせん滅しようとする。
もし核兵器が使われれば東京は壊滅状態の3区だけでなく、23区全域や他県にまで被害が及び、数十年にわたって復興ができなくなる。
国連が定めた核攻撃のカウントダウンが始まる中、矢口はそれを阻止するべく、リミット前に血液凝固剤を利用したゴジラ打倒の「ヤシオリ作戦」を実行するため奔走する。
かつて広島の原爆で被爆した祖母を先祖に持つカヨコの協力と外交ルートを通しての内閣の海外への説得工作もあり、「ヤシオリ作戦」は自衛隊、米軍の協力を得たうえで実行される。
はたして核攻撃の前に、ヤシオリ作戦は成功するのか?

解説と感想

「シン・ゴジラ』(英題: GODZILLA Resurgence[1])は、2016年(平成28年)7月29日に公開予定の日本映画で、ゴジラシリーズの第29作である。『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラシリーズとなる。
総監督・脚本は庵野秀明、監督・特技監督は樋口真嗣、主演は長谷川博己。
今回のシン・ゴジラは、よりリアリティを突き詰めていて、平成ガメラや平成ゴジラシリーズでもあったゴジラが日本を攻撃した時にどのような作戦をとり武器を使うかというシュミレーションだけでなく、ゴジラの攻撃に立ち向かう目的を領海から追い出すだけなのか捕獲するのか駆除するのか決めなければならないこと、ゴジラに攻撃するために市民の安全のために住民の避難と受け入れ先をどうするか、ゴジラへの攻撃に必要な関係法の制定にまで踏み込み、いままでのゴジラ映画になかった総理や官僚のゴジラが人間に攻撃するという不測の事態に対して後手に回ったり責任逃れしたり管轄争いがあったりの対策会議でのブラックユーモア溢れる描写、あくまでも国民の生命を優先する矢口と現実的な考え方で動く赤坂の絶妙なコンビぶり、日本人の祖母が原爆の被害者であることから日本への3度目の被爆を防ぐためにゴジラ討伐に協力するカヨコの想い、矢口と共に国民の生命を守るためゴジラを倒すためにゴジラの弱点などを研究し秘密兵器を開発する巨大生物災害本部の尾藤ヒロミ(市川実日子)や間邦夫(塚本晋也)や安田龍彦(高橋一生)たちの不眠不休の苦闘、ゴジラの恐ろしさや不気味さを強調しつつゴジラの足元で逃げる市民の恐怖やゴジラと自衛隊の死闘や破壊されたビルの細かい描写をスマホのカメラやハンディカメラの映像を交えて生々しく描き、災害などの危機がある度に団結して立ち上がってきた日本人に対するエールを込めた熱いメッセージ性のある優れたストーリー、ゴジラシリーズ最高傑作です。
「諦めず最後までこの国を見捨てずにやろう!」

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