100日で崩壊する政権 ぼうごなつこ コロナ渦日本、安倍政権のマヌケな軌跡
8月28日に辞任を発表した安倍晋三総理大臣。
7年8か月という憲政史上最長の政権となった安倍政権は、公文書の破棄・隠蔽、統計不正、不可解な身内優遇、公金のおかしな使い方などさまざまな問題が起きつつも、生きながらえてきた政権でした。
そんな安倍政権、新型コロナウイルスという未曾有の危機に見舞われた中、果たして何をしてきたのでしょうか?
新型コロナウイルス禍の日本で、安倍政権が何をしたか、漫画家・イラストレーターのぼうごなつこが毎日Twitter上で発表してきた連載漫画がついに書籍化。描き下ろしイラスト&漫画&解説も追加して1冊で読めるようになりました。
コロナ禍日本での100日、いや、そこに集約される7年8か月に及ぶ安倍政権の本質を笑い、呆れ、怒りつつ振り返るのに最適な一冊となっています。 なみに、連載開始から安倍政権辞任までは約150日でした。
今年初めに新型コロナウィルスが、猛威を振るい始めてから、各国はウィルス対策に尽力していた。
中国は、いち早く感染症専門病棟の大病院を突貫工事して、感染者を隔離して感染者の大幅減少に成功した。
フランスは、患者と接触した労働者は休職させ、社会保健から日当を支給した。
マレーシアでは、検査は雇用主負担。検査、検疫中は、有給。
香港では、18歳以上の全市民に一律1万香港ドル日本円で約14万円支給。
韓国は、充実したPCR検査と隔離対策で感染者の大幅減少に成功し、隔離者には食品と衛生セットを送り、入院者や隔離者には最大で月145万ウォン日本円で13万4千円を支給した。
各国とも、PCR検査を徹底して感染者を隔離して、手厚い生活支援をしていた。
だが、日本では「国民に安心感を与える」という対策をしていた。
PCR検査を徹底すべきという感染症専門家や野党の要望に従わず、何故かPCR検査に積極的ではなく、「発熱から4日間は自宅待機して様子を見てください」と専門家会議が推奨したことで家庭内で感染が広がり体調が急変するケースが多数出てもしばらく検査を抑えて感染者がそんなに出ていないと国民に内実の伴わない安心感を国民に与えた。
内閣府が、ランサーズなどクラウドワーク会社を使い、同じ文面でのツイートを多量のアカウントで拡散して「安心感」を与えた。
テレビでは、内閣府の息のかかった御用学者が、「基本的にインフルエンザのように集団感染しない」など「安心感」を当たっていた。
ろくに、PCR検査せずに感染者を把握しておらず、日本で最初にクラスターが発生したダイアモンドプリンセス号も感染者の隔離がしっかりされておらず、最長非常事態宣言を2年出せるよう自分たちの権力を強化するために新型インフルエンザ等対策特別法を改正しようとしたり、保身と対策してる感ばかり出していた。
新型コロナウィルス対策の経済対策も、「自粛と生活保障はワンセット」という野党の要望や国民の声を「現金給付は時間がかかる」などとやろうとせずに、3月26日には畜産農家を支持者にする族議員の要望を受けて麻生財務大臣は和牛券やお魚券を配る案が検討されたが、国民や野党の批判を受けて撤回された。
4月3日には、各国に遅れたがやっと「30万円給付」を麻生財務大臣は発表したが、所得が半分以上減ったことを証明するため給与明細などを用意したり自己申告が原則だったり、様々な条件があり制度的に問題があり不備だらけだったので、国民の不満の声が上がり、一律給付となった。
その10万円一律給付は、オンライン申請ではシステム遅延し自動入力出来ないための申請不備が相次ぎ、オンライン申請が苦手な高齢者などが役所に殺到、申請データの手作業付き合わせで作業支払い遅延が相次ぐポンコツなものだった。
5月28日には、週刊文春が持続化給付金2兆3千億円給付の委託料を幽霊法人サービスデザイン推進協議会が請け負い、業務の大半は電通が行い子会社のパソナが発注していたことが報じられ、給付までの審査が遅いのに民間に委託したことで費用が膨らんだのは問題だと野党から批判された。
新型コロナウィルス対策で医療崩壊が懸念されたが、この後に及んで政府は感染症専門病棟を2025年までに20万まで減らすことを3月4日に支持していたことを3月27日の参院予算委員会で共産党の田村智子議員に指摘され「医療崩壊を防ぐために病棟削減を停止すべき」と提案したが、加藤勝信厚労相は「感染症を前提として減らしているわけじゃないので、病棟削減しながらコロナウィルス専門病棟を増やす」などと専門病棟を削減しながらコロナウィルス専門病棟を増やすというアクセルとブレーキを同時に踏む意味不明な対策をしていた。
4月1日エイプリルフールに安倍首相は、「マスク不足対策のため、洗濯して使える布マスクを各家庭2枚ずつ配布します」と発表した。配布まで時間がかかり、シャープやアイリスオーヤマなど大手の会社が使い捨てマスクを増産したことでマスク不足を解消した点では、逆説的にマスク不足解消に貢献したと言えるが、妙にサイズの合わないマスクと全家庭2枚というショボさは全世界に失笑され、コロナウィルス対策の失策のシンボルとなった。
466億円掛けて支給されたアベノマスクだが、髪の毛が混入していたり黒染みが発見され、洗うと縮む粗悪品で、回収再点検されたが、再点検は地方の保健所に丸投げする体たらくだった。
4月6日に、安倍政権はPCR検査を2万件実施するとブチ上げたが、4月30日の時点で未達成であることを共産党の小池晃議員が指摘すると、加藤厚労相は「2万件処理出来る能力にするという意味で、2万件検査するということではない」とごまかし答弁していた。
4月8日には、新型コロナウィルス対策の防護服が足りない件について、西村経済担当大臣は「航空会社の客室乗務員に手縫いで防護服を縫ってもらうよう調整している」と発言し、大炎上した。
4月27日には、アベノマスクの受注先が発表されたが、ユースピオという会社はマスク関連事業とは関係ない木質ペレットの輸入業で、4月の衆院予算委員会で福島みずほ議員がマスク調達先を質問したその日に登記内容を変更したり業務内容や登記内容に矛盾が指摘されている怪しい会社だった。
4月30日の参院予算委員会で、共産党の小池晃議員が、「病院は患者減で収入減でコロナ患者の受け入れの負担増で資金難になっており、日本医師会などから災害時と同じように前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めて欲しい」と主張したが、安倍首相も加藤厚労相も「災害時とは違う」と杓子定規な対応だった。
5月28日、コロナ対策専門家会議の議事録を、医薬専門誌リスファックスが開示請求したところ、内閣官房から「不存在」として不開示したが、複数回交渉してやっと議事録を開示させた。
だが議事録は、黒墨で塗りたくられたものだった。黒墨で塗られた理由を内閣官房は、「開示すると率直な意見の交換が妨げられる」と説明した。安倍首相は、「日本のコロナ対策は世界の見本」と自画自賛していたが、議事録を開示すると問題になる専門家会議の内容がおかしい。
コロナ対策で、専門家や野党の意見を聞かず、族議員や電通やパソナなど内閣官房と密接な関係のある企業の要望を聞いて場当たり的な政策を連発し、コロナウィルスが収束していないのに安易に緊急事態宣言を解除して国民の人気取りをする一方で、安倍政権に親密な黒川検事長を検事総長にするための検察庁法改正案が強行採決されたり安倍政権の権力の下支えすることばかりやってきた安倍首相だが、何故このようにおかしな対応が国民にバレなかったかというと、安倍首相はマスコミの社長とせっせと会食し懐柔する一方で、クローズアップ現代の国谷キャスターのように官邸の逆鱗に触れた人を降板させたり圧力をかけて情報操作をしてきたから。
だがコロナ渦でテレワークする人が増えて、NHKのニュースで編集される前の国会中継を見て初めて安倍首相や菅官房長官や加藤厚労相などのゴマカシに満ちた答弁を見て安倍政権のおかしさに気づく人が増えたり、安倍昭恵が自粛期間中に大分で「コロナウィルスを愛と感謝で受け入れればウィルスは消えます」などとトンデモな発言が話題になったドクター・ドルフィンこと松久正と旅行していたことがマスコミから批判されたり、外交で成果をあげたと自画自賛する安倍首相がトランプ大統領の言いなりにアメリカ製の武器を爆買いしロシアとは日露経済協力で3000億円出しながら領土の割譲を禁じる憲法改正が7月1日され北方領土返還が絶望視され実は失敗だらけだったり、ワシントンポストが「外務省などにより日本について発信されている情報に日本に批判的なものがないか内閣官房がチェックする費用を20億円ランサーズなど関連企業に投入している」ことが報道されたり、安倍政権のおかしさが開示されてきたのが、安倍政権の支持率低下に繋がったことを考えると、安倍政権のおかしさを風刺したこの漫画を読み、安倍政権のレガシーを引き継いだ菅政権を引き続きチェックして国民の意見を反映させるためにも、安倍政権の総括するには必読の社会風刺漫画。
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