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GONINサーガ 私が偏愛するギャング映画 その5

あらすじ

5人組による、五誠会系大越組襲撃事件から19年。大越組の若頭・久松の遺児・勇人(東出昌大)は建築作業員をしながら母・安恵を支えながらまっとうな道を歩み、勇人の幼馴染みの大越組の組長の遺児・大輔(桐谷健太)は壊滅した大越組再興を夢見ながら、五誠会3代目・誠司(安藤政信)のボディーガードをしていた。
襲撃事件の責任を取らされ、久松も大越も破門され、久松安恵はなんとか夫の汚名返上するべく五誠会に働きかけていた。
元アイドルで五誠会に囲われている麻美(土屋アンナ)は、五誠会3代目の誠司に「私の強請のネタを返したら、消えてやる」と迫る。
ある日、安恵が経営するバーに、富田(柄本祐)と名乗るフリーライターが訪れ、富田から襲撃事件の真相を聞いた安恵は夫を破門した五誠会に一泡吹かせるために、五誠会の裏金が集まるヤミ金「皆藤お悩み法律相談所」に殴り込む。度重なる安恵の嫌がらせにウンザリしていたヤミ金の管理者・松浦は安恵を自殺に見せかけ、殺害する。
安恵を殺された勇人、大越組再興の夢を絶たれた大輔、五誠会から強請のネタを取り返したい麻美、五誠会襲撃事件の際に殺害された警察官の父の敵を討ちたい富田、富田の願いによって植物状態から復活した氷頭、運命と因果に導かれ新たな5人組の戦いが始まる。

感想など

今回の「GONIN」は、「GONIN」の直接の続編、「GONIN」で残した因果に前作で殺された者の遺児や氷頭が決着をつける復讐のギリシャ悲劇とシェイクスピア悲劇張りの因果と宿命のドラマ。
幼馴染みの勇人と大輔の友情、麻美にほのかな想いを抱く大輔と麻美の自己犠牲的な愛、勇人や大輔や麻美たち親の因果に人生を狂わされた者たちのリベンジなどの青春ドラマ色の強いドラマ、ゲームセンターでの式根襲撃やヤミ金襲撃やターミネーターのような生命力の探偵兼殺し屋・明神(竹中直人)との死闘、明神に捕らわれた麻美と明神の助手・余市(福島リラ)との壮絶なキャットファイト、ラストのディスコ・バーズでの壮絶な銃撃戦(ステージの床下などの構造を活かしたサスペンスとガンアクションの構成が秀逸)、そして植物状態から復活し自らが残した因果にケリをつける氷頭と○○、メールの行き違いやなりすましを活かしたサスペンス、石井隆独特の叙情や繊細さを振り捨てるほどの荒ぶる衝動で石井隆が撮り上げた傑作アクションノワールです。
前半の優しい若者と後半の荒ぶる凶暴さを剥き出しにする東出昌大、男たちを復讐に引きずり込む土屋アンナのファムファタールぶり、なんといっても根津甚八さんの復活、ちわきなおみの「紅い花」と森田童子の「ラストワルツ」が復讐と愛と因果の物語に、切ない味付けをしています。
ディレクターズカット版では、前作からの映像を回想シーンにより多く取り入れることでより効果的になっているし、アクションシーンなどよりタメを効かせた迫力が増したものになっているし(ラストのダンスパーティーでの床下でのガンバトルは床上でのダンスパーティーと床下での攻防がより対比が効いたカッコいいシーンになっている。ターゲットを待ち伏せる五人とダンスパーティーの幕を境にした対比が見事。三沢が撃った2発の銃弾をきっかけに繰り広げる壮絶なクライマックス)、細かい繋ぎのシーン(ラストのダンスパーティーに麻美が潜入するシーン、惨殺された余市を明神が発見するシーンなど)、約3時間ですけど長さを感じないさらにパワーアップした石井隆作品の集大成になっています。

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