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非常事態だからこそ見えてくる、男女が末永く共に暮らすコツ

こんにちは。すっかりwithコロナの毎日になりましたが、生活に大きな影響が出始めた頃、ワタシは東日本大震災が起きたときのことを思い出しました。

当時の不安や恐怖はぶっちゃけコロナの比ではなかったですが、健康と命の危険があり先行きが見えない、という点は通ずる部分があったと思います。

というわけで、今回は、当時、震災がらみで起きたある男女間のもめごとと、そこから得た知見について語っていきます!

不安がある中での元カレからの連絡

「このまま東京にいたら危ない。実家のある九州に一時的に帰ろうと思う。A子も逃げた方がいい」

元カレからこんな連絡が来た。と、ある日、友人A子ちゃんがワタシに相談してきました。

2011年3月。東日本大震災と、福島第一原発事故による影響で、東日本広域に放射能汚染が広がっていた頃です。

海外企業の日本支社は早々と社員を帰国させ、日本国内でも小さな子供を持つ家庭や妊婦さんが九州に疎開するケースもありました。

とはいえ、大部分の人たちは、そう簡単に逃げることはできず。今後どうなるの、どうすれば、と不安を感じながらも、今いる場所にとどまっていました。

A子ちゃん(当時30代後半)も、そのひとり。実家は東京、今の家も東京。そして震災後も多くの企業は通常営業でA子ちゃんにも仕事があるため、そう簡単に安全な場所に避難! という気持ちにはならなかったのです。

でも、またいつ地震が起きるか分からない。そして放射能は怖い。そんな不安がある中での、元カレからの連絡。

A子ちゃんだけの問題ではない

そこだけ聞くと、元カノを心配して連絡してきたんだろうし、彼女からしてみたら気にかけてくれてありがとうって話じゃない? と思う人が多いかもしれません。

確かに、彼としてはそういうつもりだったのでしょうし、彼女もそう解釈していました。が、ここがキモなのですが、A子ちゃんは彼と別れた後、別の男性と結婚しました。つまり、既婚者なのです。

もちろん、結婚した元カノを心配しちゃいけない、連絡しちゃいけない、なんてことはありません。心配する気持ちに、そんなのは関係ないと思います。

ただ、連絡が及ぼす影響は、相手が独身か既婚者かによって大きく違ってきます。

特にこの連絡は、今後の安全とそのために取るべき行動に関する話。A子ちゃんだけの問題ではなく、夫婦で考えるべき話。

もしA子ちゃんが「私、東京から逃げる気はないから」と元カレの言葉に耳を貸さずにいられたなら、連絡があったこともわざわざ夫に言わなかったかもしれません。が、日々ネットで恐怖情報を目にし、鬱屈しがちだったA子ちゃんには、元カレの発言を聞き流すことができませんでした。

確かに危険かも。東京を離れた方がいいのかも。仕事が、なんて言ってる場合じゃないのかも。と。

A子ちゃんは夫にその不安を伝えました。「実は元カレからこんな連絡もきた」ということも。

「一体こいつは何なんだ!」

結果、夫婦は大モメ。というか、夫カンカン。A子ちゃんに、というより、そんなことを連絡してきた元カレに。

「夫は非常時こそドンと構えているべきだと考える人。未来のことをあれこれ心配して今が辛くなるのは本末転倒と考えるタイプ。日頃からあれこれ備蓄したがる元カレとは、全く価値観が違う」とA子ちゃん。

ゆえに、夫はそもそも元カレの意見に同意できない。しかも、それを別れた女にわざわざ伝えるとか、一体こいつは何なんだ!と、腹を立てていたそうです。

A子ちゃん的には、東京にいたら危険かもという元カレの不安は分かるし、東京から離れるのも一案なのかもとも思うし、それを助言してくれたのは元カレの善意なのだろうとも思う。だけど自分は夫と一緒に歩む人生を選んだし、夫が同意できないことを無理強いする気はないし、夫と別れて自分だけ東京から逃げたいとも思えない。そういう結論に至ったそうです。

なので、元カレの助言には従わず、そのまま東京で過ごし、そうこうしているうちに少しずつ事態は収束。平穏な日々が戻ってきました。

結局その元カレは……

冷静になって考えてみたら、と、その後、A子ちゃんはこう語っていました。「元カレは確かに私を心配する気持ちもあったかもしれない。でも、それ以上に自分が不安で、誰かに連絡せずにいられなかったんだと思う。で、彼の話を聞いて私も不安が増してしまった。夫はそれを感じ取って腹を立てたのかも」と。

もちろん、不安な気持ちや危険な状況を伝えることは、必ずしも悪ではない。伝えたことによって、大切な人が危うく難を逃れることもあるでしょう。

ただ、その元カレ、結局、九州には避難しなかったようなのです。(!)

おそらく元カレは、「自分は決意した! 君も気をつけろ!」ではなく、「アワワワどうしよう」の状態で、それを一人で持ち堪えられず、A子ちゃんに連絡した。で、A子ちゃんの旦那さまは、恐怖情報にパニックになるのはてめぇの勝手だが人んちの妻を巻き込んでんじゃねーよ! と腹が立った。

ってことかもね……と推論を伝えると、たぶんそうだと思う、とA子ちゃんは頷いていました。

そして、A子ちゃん。これまでは、やましい気持ちがなければ元カレと連絡を取り合うくらい問題ないと思っていたのが、この一件があって考えが変わったそうです。

今の平和を崩したくないなら、元カレとは連絡を取り合わない方がいい、と。

一度は好きになった相手だけれど

A子ちゃんはさらに続けます。

「発言小町とか見てると、夫以外の男性とふたりで食事に行く女性に、信じられない! とか、結婚してるのに! とか弾劾する既婚女性って多いじゃない? これまでは、別にいいじゃんそれくらい、って思ってた。今は、他人に強制するのはどうかと思うけど、自分の取るスタンスとしては一理あるなと思う」。

そう。理想としては、みんな、元カレや元カノとも仲良くしていたい。一度は好きになった相手なのだから。でも、それを実行しようとすると、結構な高確率で、平和な日常に亀裂が入る。

かつては近くにいた者同士でも、それぞれに悪気がなくても(ないからこそ)、宗教の異なる国同士の国境をうかつに崩すと治安が悪化するように。

それと一緒にするんかい! とツッコミが入るかもしれませんが、近年の世界情勢を見ていて、通ずるものがあるとしみじみ思います。お互いに言い分があり、ほしいものがあり、守りたいものがある。それが一致していない以上、理想論だけでは解決できない。だから、慎重になる必要がある。

そんなことを考えていたら、「戦争がなくならないのは、人間に好きという感情があるから」というタモリさんの言葉を思い出しました。

愛しているからこそ、難しい

文言を全て載せると長いので要旨をまとめると。

人間には好きという感情があるから、ときに好きなものを他人から奪ってしまうし、奪われた側は奪った相手を憎んでしまう。人間に好きという感情がある限り、戦争の連鎖は止められない。

という意見でした。

好きが国と国との殺し合いにまで発展するのには、男性の征服欲と闘争本能が大きく関わっていると思うので、女性である自分には共感はできないものの(だから男性はダメということではなく単純に生き物としての仕組みが違う)、なるほどな……と納得しました。

そこから、ゲーテの「嫌わない人は、愛せない」という言葉も思い出しました。

何かを強く嫌う感情がない人は、何かを強く愛することもない。これは、対象が人ではないときを考えてみた方が理解しやすいかもしれません。

さきほどの件に話を寄せると、愛しているからこそ、みんな一緒に仲良く! は難しい、難しくなりがち、なのでしょう。

なので、今のパートナーとの平和な日々を絶対に絶対に失いたくないのであれば、戦争が起きないよう、元カレや元カノと連絡を取り合わないのが無難だと思います。(刺激を求めているなら別……)

元カレ・元カノが現在フリーかどうかによっても変わってくるとは思いますが。

逆の立場でいうと、もし元カノに連絡してつれなくされたら、「今は幸せってことかも」と察して見守ってやってください! コロナが早く収束しますように。


※本記事は2018年4月〜2022年6月までcakesに掲載していた記事を加筆修正したものです。

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