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ともだちがともだちになった日 #原体験
「道を外れようとしているなら、止め合うのが友達じゃないのか。」
眩しいほどの青々しい空が広がる初夏のある日、
重苦しい空気に包まれた校長室。
革のソファにどっしりと座り、目の前の少女からひと時も目線を外さないひとりの教師がいる。
「どうなんだ。」
早く答えろと聞こえたその言葉に反発するように、口から勝手にこの言葉が出た。
「まぁ、そもそも向こうがわたしを友達だと思ってるかわからないんで。」
なにこいつ大丈夫か?!と思ってしまうひとりの少女。
間違いなく、これは14歳のわたしです。
誰かを純粋に「大好き!わたしたち親友だよねーっ(ぎゅっ)」なんてキャッキャ出来なかったわたしは、自分が友達だと思っていたのに向こうはそうでもなかったという展開を恐れて自らバリアを張っていた。
この頃のわたしはなんだかツンツンしていた時期でしてね、、
孤独であることがかっこいいとおもってたのかもね。いやー、はずかしっ。
小学校中学校と、なぜか人より自分は優れているといると勘違いしていたわたしは、誰かに否定されることが何よりも怖かった。
それ以上に、誰かに自分を理解してもらえたと思ってしまうことも。
わたしがいま、どう辛いかなんて、こいつらにはわからない。
今思えば、どこにでもある家庭のいざこざに、ものすごく酔ってしまっていたのだと思う。
わかってもらえなくていい。わかるもんか。
勝手に被害者の会に入り込んでいたわたしは、例えば泣き腫らす夜があったとしても、翌日にはいつも通り適当にニコニコしていたのだと思う。
そんなわたしがいま、人が好きだと思える裏には1人の存在がありましてね。
てゆーかそもそも、うまくニコニコしているようで、わたし泣くと次の日「こいつ泣いたな..」って気ぃ使うほどむっちゃ目が腫れるのね。
すごいよ、ほんと。
よく隠せてると思ったよ、かつてのわたし。
➖
高校1年の冬
なかよしグループも定まり、まぁ高校もそれなりに大丈夫だろうと楽しみはじめた矢先、それまでのわたし史上、ちょいとしんどい時期が訪れた。(あくまで、わたし史上)
「なんかあった?」
いつもだったら、「なにが?」って返していたのだと思う。放課後に突然隣に座り、話しかけてきたひとりの女の子がいる。
いつもだったら、うまくかわせるのに。(いま思えばかわせてない)
なぜかその日は、
ぽつりぽつりと勝手に言葉が出ていってしまったのだ。
全く文章にならない言葉を発しながら、なんでわたしこんな情けない話してるんだろうと自己嫌悪に陥った。
「ごめんね、話、暗っっ!!😂」
そう言って顔を上げたわたしの目の前にいる女の子は、わたしよりも泣いていた。
「ぇええぇぇええぇー...」
体の空気が抜けるというのは本当このことで、なぜこいつ泣いてるんだ?!どした?!というのがシンプルな感想だった。
「ごめんね。」
彼女は喉をつっかえらせながら、声を絞り出して言うのだ。
「さよが辛そうなのは見ていてわかったのに、ちゃんと聞いてあげられなくて、ごめん」
-でも、なんて言葉をかけていいか、わからなかったの。
そう言いながら、彼女はわたしを抱きしめてくれた。
どうして、わたしのためにこの子は泣いているんだろう。
めちゃめちゃ仲良くて、愛情が目に見えるような家庭で育つ彼女が、ずっと、ものすごく羨ましかった。
こいつにだけは話すもんか。
わたしは、それくらい思っていてしまったよ。
抱きしめられた瞬間に、勝手に自分の中に閉じ込めていた悲しさが、自転車がパンクしたかのようにスーーーーっと細く長く抜けていって
わたしはこの人の友達でいたい
そう思った。
ー
「さよの友達は本当にいい人ばっかだねぇ。」
わたしの幼馴染や同居人とも仲が良い彼女が、会うたびによく言ってくれる言葉。
いま、友達が大好きだと言えるわたしは、あの日が無ければ、いなかったと思う。
「優ちゃんがいなければ、いまこーじゃないよ。」
そういうたびに、
「その話好きだよね(笑)」と笑って流すけど、
たぶんこれからも何度も伝えてしまうと思う。
傷つきたくなくて自ら何重にもフィルターを張っていた14歳のわたしよ。
顔を上げれば、手を差し伸べてくれる人はたくさんいたぞ。
だれにもわかってもらえないなんて、だれにも弱さを見せずに言うものじゃない。
大切なひとたちに「あんたと友達でよかった」と言ってもらえるように、これからも楽しいことを、量産していくのだよ。