【妄想祭】星空に”空の物語”をことほぐ「アクジャ・ヌーンの祈り」- タアザッド山の頂上近く / モーリタニア・イスラム共和国 - 10/23
今回ご紹介するタアザッド山の「アクジャ・ヌーンの祈り」は、基本的には地元民族の儀式のため、観光向けではありません。
【儀式名】
「アクジャ・ヌーンの祈り」
【開催日】
毎年10月23日
【場所】
モーリタニア・イスラム共和国の架空の山、タアザッド山の頂上近く
【儀式の概要】
「アクジャ・ヌーンの祈り」は、古くからモーリタニアの遊牧民たちが砂漠の旅の安全と豊かな生活を願うために行ってきた伝統的な祈りの儀式です。アクジャは「天を仰ぐ」、ヌーンは「恵み」を意味し、この日には多くの人々がタアザッド山に集い、満天の星空に感謝を捧げます。
【儀式の詳細】
早朝、参加者たちはまだ夜が明ける前に山の中腹から登り始め、山頂近くの聖なる洞窟「サフラ・カイヌン」へ向かいます。洞窟は古代の信仰の象徴とされ、長い間、祈りの場として尊ばれてきました。登山の途中には「星砂」と呼ばれる白く光る砂を持ち寄り、道中に少しずつ撒きながら、過去の旅路や祖先に思いを馳せます。
日中は、洞窟近くに設けられた祈りの広場で人々が集まり、厳かな詠唱が始まります。詠唱は遊牧民の古い言葉でなされ、唱えられる内容は地域によって異なるものの、全員が一つの声で天に向かって祈ります。多くの人々は願いごとを書いた布を掲げ、互いに幸運と健康を祈り合います。
【儀式のクライマックス】
夜には、参加者全員が山頂でキャンプをし、モーリタニア特有の「デザート・ティーセレモニー」が行われます。これは、緑茶を砂糖と共に煮出し、3回に分けて時間をかけて味わう特別なティータイムで、それぞれ「苦味」「甘み」「余韻」という意味が込められています。参加者同士で心を通わせ、互いの人生や旅路について語り合います。
最後に、山頂で焚火を囲みながら、地元の賢者が「空の物語」と呼ばれる昔話を語ります。この話は、星空や砂漠の動物たちにまつわるもので、人々に生きる知恵と勇気を与えます。
「空の物語」は、モーリタニアの砂漠に古くから伝わる寓話の一つで、特に「カラフと星の道」という話が有名です。ここではその一部をご紹介します。
「空の物語」 ~ カラフと星の道 ~
かつて、若き遊牧民の男「カラフ」がいました。彼は村一番の俊足であり、遠く離れた市場まで足を運んで家族を支える頼もしい青年でした。ある夜、カラフが家族のために貴重な水を求めて砂漠を歩いていると、星の光が砂に道を描くように輝いていました。不思議に思ったカラフがその道に沿って進むと、砂漠の真ん中に古びた井戸が現れたのです。
その井戸には、「夜の王」と呼ばれる星の精霊が眠っており、井戸の水を飲んだ者には知恵と勇気が授けられるという伝説がありました。しかし、夜の王は一つの条件を提示しました。「星の光が消える前に、あなたの心の迷いをすべて手放せ」と。
カラフは、家族や村への愛を抱きながらも、旅の孤独や未来への不安を心に抱えていました。彼は星に語りかけ、迷いを少しずつ打ち明け、夜が深まるにつれ心が軽くなっていくのを感じました。そして、ついに星の光が消える寸前に井戸の水を一口飲むと、不思議と砂漠を越える道筋が心の中に広がりました。
【教訓】
「空の物語」は、カラフのように迷いを抱えながらも星の道を信じて歩み続けることの大切さを伝えています。星が示す道は、いつも目には見えなくとも、心が静かであれば見えることがある。カラフの物語は、砂漠に生きる遊牧民たちにとって、夜の旅でも希望を忘れないようにと教えてくれるのです。
【アクセス方法】
モーリタニアの首都ヌアクショットから、タアザッド山へのアクセスはおよそ300kmの道のりです。以下は代表的なアクセス手段です:
バスと四輪駆動車
ヌアクショットの主要バスターミナルから、最寄りの町バルカに向かうバスが運行されています。約5時間の旅で、途中にはモーリタニアの広大な砂漠やオアシスが点在する風景を楽しめます。バルカからタアザッド山麓までは、地元の四輪駆動車がチャーター可能です。荒地を走行するため、オフロード車両が必須であり、さらに2時間ほどで到着します。観光ツアーの利用
多くの旅行代理店では、ナラトゥー祭りの期間に合わせてタアザッド山へのツアーを開催しています。ツアーには、現地ガイドの案内や移動手段、宿泊施設も含まれるため、言葉や文化の壁が気になる場合はこちらの方が便利です。レンタカー
運転経験がある場合、四輪駆動車をレンタルし、自分でバルカまで行くこともできます。舗装されていない道が多いため、十分な水と食料、さらに車両のメンテナンス用品を準備して臨む必要があります。
【山への登山ルート】
タアザッド山は地元民の案内を受けて登ることが一般的で、登山口には地元の遊牧民によるガイドサービスも用意されています。
記者:三道 美留
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