湿度
慌てて外に飛び出せば、ずいぶん風が生ぬるい
もう季節が変わっていくなんて、感傷に浸るふりをして
でも少しうれしいんだ
湿った風が撫でてい頬を、髪を、体を
やっと悲しみがなく受け止められる
喧騒の中を速足で進んで、先になにがあるかまるで分らないけど
逃げ出しているだけと言われれば、そうかもしれないけど
それでも
誰かに、触れられる感触と同じように
温もりを優しさと錯覚するように
すべてを曖昧にしてくれる生ぬるい風が
寂しさも悲しさも、全部ごまかしてくれるから
そうやって、今年も生きていくんだよ