去年見た夜景
あの日二人で見た夜景はとても綺麗だった。
あの日二人で選んだ指輪はとても輝いていた。
でも、私はもともとこの夜景が好きだった。
あなたと出会うずっと前から。
あなたがいなくても、私はこの指輪を選んでいた。
とても好みのデザインだったから。
あなたがいなくても、きっと私は今日ここにいた。
私が好きな指輪をはめて、私が好きな夜景を見ていた。
あの日あなたと一緒にいた思い出は、もう消えてなくなったはずなのに。
あの日あなたといなくても、私が今日ここでこうしていることは変わらなかったはずなのに。
もう、好きな夜景も、好きな指輪も、ずっとあなたがちらついてしまう
なのに、私は
ここに来る足を止められなかった。
指輪を今日もはめてしまった。
その理由を、「好きなものは好きだから」とだけ、ただ言い聞かせる。
本当のことは、ずっと気づかないフリをしている。