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早くも日記が止まった…

GW最終日、日記を書こうと人生初の1ページを記録した。日記というよりその時思ったことを書いただけで、これなら続けられるかも…とPCを閉じて眠りについた。

翌日…仕事から帰って食事・入浴を済ませ、いざPCへ。。。

めんどくさー…何もすることがないけど、日記、めんどくさー…。

何が嫌なのかも自分ではわからない。今日も一日楽しく過ごせた実感はあるからそれを書いたらいいだけなのに、とにかく面倒くさいのだ。私は人と過ごすことも好きだけど、一人でいることも大好きだ。理由は至極当たり前なことで、ラクなのだ。「自由。」これに尽きる。しかし、ここにきてこの自由に一つ制限を付けてしまった気がする。日記という「習慣」「ルーティン」etc…。「その日の何かを記す。=日記」が「その日の何かを記さなければならない=日記」に、私の中で、たった一日で変化していた。

「おい、昨日の自分!何勝手なこと始めてくれちゃったんだよ(# ゚Д゚)!!」

ちょっと昨日の自分にイラつきさえ感じる。いつもそうだ。そこであることを思い出した。昔の話だが、決断した時の自分を一日かけて呪ったことがある。

それは友人から何気なく誘われたフルマラソンだった。高校の時の同級生に誘われて鹿児島の指宿マラソンに仲の良かった男女合わせて8人で出ようということだった。特に社会人となってからはこれといった運動もしていなかったが、制限時間8時間とのことだったので「まあ何とかなるやろ。全部歩いても8時間以内にはゴールできるやろ。」という軽い気持ちでエントリーした。当時の私は27歳。

当日、鹿児島といえど1月上旬、肌寒くまして小雨の降る中、マラソンはスタートした。寒い…寒いから、抑えていてもスピードを出したくなる。正直、それまでの人生で一番長く走った距離は高校のマラソン大会の6kmだった。…その7倍以上の距離をぶっつけ本番で何とかしようというのは無謀だ。分かってはいたが、8時間もあるから早歩きで一時間当たり5キロちょっといければ到達できるし~ぐらいしか考えていなかった。

しかし、である。とにかく雨にも濡れて寒いのだ。ただ歩くだけでは到底温まりようがない。他の7人はとっくの昔に走り出している。それぞれその日に向けて練習はしていたらしい。私だけは練習の誘いも断り、旅行目的で参加したのでノープランでスタートしていた。仕方がなく軽いジョギング程度で15km付近まで走った。6kmが人生最長の走行距離だった私が、15kmである。しかも高校卒業から約10年(当時の私は27歳)、練習なしで挑んで15km地点までいったのだ。

そう。枯渇である。エネルギーの枯渇。モチベーションの枯渇。保有する骨格筋の耐久性の枯渇。。。。モロモロの枯渇である。

私は立ち止まり、途方に暮れた。ゴールははるか彼方である。何ならスタート地点の方がここから近い。時間はスタートから1時間30分付近だった。股関節の付け根あたりが痛み出していた。足首にも痛みが出ていた。一度止まった身体はその体温を留めることなくどんどん冷えた。

リタイアした人を乗せた車が側道を通り抜けていく。

「1時間30分でリタイアか…。」

いんや…いんやいんやいんや…!!!」ここからが私のややこしいところの出番である。とにかくリタイアする自分が嫌なのだ。友人への体面もある、1時間30分という短さも何か気に食わない。そもそも、8時間で完走(歩?)が最低ラインであって、リタイアとか論外!何かムカつく。なぜそんなにリタイアしない謎の自信に満ちあふれていたかはいまだに不可解ではあるが。

雨足は強くなり、昼過ぎには雪に変わった。もう、寒いのか、痛いのか、きついのか、何が一番自分を苦しめているか、その頃には分からなくなっていた。ただ、分かっていたのは「ま、何とかなるっしょ。」と軽い決断をした「あの時の自分」をぶん殴りたいという気持ちだけだった。

スタートしてから6時間、30km付近、難民のようにとぼとぼと進む集団に私はいた。もう、マラソンを呈していない。オアシスを求めて進む難民もしくは奴隷行列のような進み具合だ。皆、死んだような眼をしていた。私も過去の自分への復讐心だけで歩をすすめていた。両股関節は振り出すたびにきしんだように痛み、左の足首はアスファルトに着地するたび激痛を伴っていた。それでも、「リタイア」だけはしたくなかった。完走することに何の意味もないと思う一方で、私にはある確信があった。それは残りの7人のことである。間違いなく、私の友人たちは全員負けず嫌いである。それも、極度の。男女問わず、である。誰も、リタイアはしない。高校時代の部活動を通じてそのことは分かっていた。そして、だからこそ、他の7人もまた同じ気持ちでリタイアできずにいることが、確信できた。私が仮にリタイアしてもそれを責める人は一人もいないだろうことも分かっていた。だが、リタイアできないもの同士、分かるのだ、ココロの中では「あーーーーー…リタイアしたんだ。へーーーー…諦めきれたんだ。」って思うに違いない!!!

いーやーだー!!!そんな風に思われるのはスッゴイ癪なんだよーーー!!!何か、超絶嫌なんですけどぉぉおおおおおお!!!!

でも、すでに1歩が絶望的に辛い。何だか腫れているのか足首も曲がらなくなっていた。靴下の下を見るのも怖い。体験したことのない痛み、多分、捻挫どころではない気もする…。残る距離は10km弱位だったと思う。このころには過去の自分をぶん殴るどころか抹殺したい気持ちでいっぱいだった。

ドラえもんのタイムマシンがこの先世に出てきたら、ソッコーで簡単にエントリーした時の自分を確実に仕留めに行こう…!!!

何故か復讐の鬼だった。痛みが復讐心を燃やし続けた。24時間マラソンとかでサライが流れて感動のフィナーレとか、あれ、ホントに?って思う。私のココロがねじ曲がってるのか、私ならスタジオに入る時には私をそんな状況に追いやった関係者全員ハチの巣にしてやりたい、位の事は思うんじゃないかと、この経験から思ってしまうので、サライで泣けない。ただ、結局、やると決断したのはあくまで「自分」なので、ハチの巣にしたい衝動が八つ当たりなのは自覚してますよ、はい。

35km付近だったか、突然、難民集団の中にいた無言のカップルらしき二人が不穏な空気を醸し出してきた。女性の方がご立腹である。要するに辛さからくるヒステリー状態なのだ。…わかる、わかるよ。しんどいね、きついから、そもそも何でこんなことになったって考えちゃったんだよね、多分、あなたの彼氏がこれに誘ったんだろうね。で、我慢の限界が来ちゃったと…

他人のもめ事がこれほど自分のことのように思えたことは後にも先にもこれだけだった。ただ、八つ当たりができる相手と走るとこうなると逆に冷静にもなった。私は最初から一人で走っていたので過去の自分に腹を立てることで自己消化?できていたらしい。隣で中途半端になだめたり優しく励ましたりする人がいたら、間違いなく私もど直球で八ツ当たっていただろう。

で、しばらく聞いていたが彼女の怒りは治まるどころかエスカレートし、彼氏も売り言葉に買い言葉で「じゃあ、もうやめなよ!俺は頼んでまで走ってもらわなくてもいいから!!」とそっぽを向いてしまった。奴隷集団の誰もが聞いていたと思う。だが、助けてやりたいが、そんな気力は一ミリたりとも余分がない状態は奴隷共通。とぼとぼとぼとぼとぼ……ざざざっっ!!!

んんんっ?!あれ?何を思ったのか彼女突然のダッシュ。彼氏、「おいっ!」彼女、振り向かずにJRの駅にむかって一直線ダッシュ。改札前で切符を買ったらしく、そのまま改札を抜けて行ってしまった。。。彼氏、ぼーぜん。。。

こんなリタイアの仕方ってアリ?ゼッケンつけたまま自力帰宅、乙。

ちょっと笑いが込み上げてきた。JRの乗客目線で考えても面白かった。突然汗だくでずぶ濡れのゼッケンつけた女の人が泣きながら乗車してきたら…カオス。。。

私は性格が悪い、多分。だってこれで随分とエネルギーがでた。笑いってすごい。痛みは相変わらずだったが、うさが晴れたというか、気持ち楽になったというか、あとはもう痛みに耐えて時間内にゴールする、それだけだった。

ラスト2kmで松葉杖をついて歩いているおじいちゃんにも追い抜かされた。痛みで涙もでていたけど松葉杖のじーさんにも抜かれる自分がオモシロすぎて痛いけど笑うwwwみたいな別の意味でのランナーズハイに入っていた。

ゴール。7時間44分。ギリ。もう二度とフルマラソンには出ない。今誓おう。今生この誓いを破ることなかれ。

友人たちが私を待っていてくれた。7人中3人リタイア。…エッ!?

3人とも20kmー30km間でリタイアしたらしい。理由は「足が痛くなってきたので」「明日の仕事に障りそうだったので」「もう無理とおもった」サラリと言ってのける男3人…あら、、、皆さん大人になったのね。。。

翌日、立ち上がることも出来なくなった私の足首は…疲労骨折していた。

こんな昔話をここまで読んで下さった方がいるとは思えないが、もしいらっしゃったら貴方の大切な時間をこんなものに費やさせてしまってごめんなさーい!!結局何が言いたかったかというと、サガというものがある。宿命とまではいかないが、抗えないもの(こと)。私の場合、自分の始めたことを簡単にやめられないサガがある。何に対しての意地なのかは自分でも分からないが、確実にそういうサガを持っていると確信した出来事が指宿マラソンだった。だから、多分、しばらくは日記に振り回されるだろう。書こうと簡単に決めちゃった自分に、頭の中で毎回平手を食らわしながら書くだろう。

そんなこんなで、今日もお疲れ様。明日も楽しい日だろうなっと!おやすみなさい。


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