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「速い思考」「遅い思考」を理解する
あいつは仕事が雑だからな。あの人は親切。あの人は意地悪。など上司部下に関わらず、人間関係にレッテルやラベリングを行うことは良くあります。これは生存本能に根差した判断スピードを高めるために機能しています。
コーチングでも上司部下のレッテルや、仕事のモチベーションについて悩みを聞くことがあります。認知バイアスに起因するものも多い印象です。
本記事では、ノーベル経済学賞受賞の心理学者ダニエル・カーネマン氏の著書『ファスト&スロー』にもある「速い思考」「遅い思考」を引用して認知バイアスについて整理します。
認知バイアス(英: cognitive bias)とは、認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題でもある。従って認知バイアスは、事例証拠や法的証拠の信頼性を大きく歪めてしまうことがある。
「速い思考」と「遅い思考」とは
まずは、次の問題を解いてみてください。
バットとボールはあわせて110円です。バットの値段はボールよりも100円高いです。さて、ボールの値段はいくらでしょうか。
さて、いかがでしょうか。10円と答えてしまった方は不正解です。
正解は、5円。
落ち込まないで下さい。全米屈指の秀才たちが集まっているはずのハーバードやマサチューセッツといったアイビーリーグの名門校の学生もこの問題に対して50%以上が間違えてしまったようです。
これは「速い思考」が存在するためと言われています。
「速い思考」は、直感。楽でアバウト
人間の脳は、体全体の18%ものブドウ糖を消費すると言います。
頭を使って思考するという行為は非常に大きなエネルギーを要しますので、無駄なエネルギーの消費を避けるための思考法なのです。大昔の外敵の多かった時代に素早く判断することは、生存本能に根差した考え方であり、ラベリングやレッテルも同様の思考と言えます。ただ、先の実験結果の通り、「それらしい表現」「それらしい事象」に騙されることも多く、誤った判断を起こす傾向があります。
「遅い思考」は、熟慮。考えないとわからなく論理的
複雑化した仕事や社会においては、「速い思考」でカバーできないことは容易に想像できます。論理的、統計的な思考は「遅い思考」でしかできないのです。「遅い思考」とは、環境の変化や社会の形成とともに、私たちが人間らしくなっていくプロセスで進化してきた思考法です。
「速い思考」が「遅い思考」より優先する
また質問です。
(A)10,000円と、(B)13,000円のどちらを取るかと聞かれれば、どの人も金額の多い(B)を選びます。
しかし、以下のような選択の場合はどうでしょう。
Q1:どちらを選びますか?
(A)今日の10,000円(早くもらえる小さな利益)
(B)1か月後の13,000円(遅れてしかもらえない大きな利益)
すると、小さな利益(A)を選ぶ人が出てきます。こうして、利益発生のタイミングに差があって初めて、小さな利益(A)の選択が発生します。
このような将来の価値を割り引く割引率のことを、行動経済学では「時間割引率」といいます。「時間割引率」は、評価する利益や損失が間近になるほど、この時間の割引率が高くなってしまいます。これにより現在の価値を優先するせっかちな選択をしてしまう傾向があります。この衝動的選択こそが、さまざまな判断ミスを引き起こす原因と考えられます。言い換えれば、忍耐強く判断した方が、判断ミスを防げるのですが、ただ、脳はそこまでタフでもマメでもありません。多くの場合、楽をしたがるのです。
「速い思考」「遅い思考」の連携
先述の通りですが脳は、自身に負担をかけたくないのため、「速い思考」で簡単に判断をしたがります。ですから複雑な問題も、簡単な問題に置き換えたくなります。
一方、「遅い思考」は、意識をしないと動いてくれません。ただ、忙しく内容が煩雑になると「速い思考」が優先してしまいます。
「速い思考」を否定している訳ではありません。スポーツ選手や、棋士などは、早い決断をしていますし、昨今のスピード感のある環境下で、判断をする上では、「速い思考」は重要です。精度の高い判断力を磨く為には、定期的に「遅い思考」を使うことが肝要だと思います。これは、「速い思考」の裏には、「遅い思考」を通して学習した経験などで磨かれた感覚が必要だからです。
コーチングでは、クライアントが落ち着いて「遅い思考」に取り組めるように意識しています。そして「速い思考」の精度も高められば良いなあと。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました!
参考:ファスト&スローあなたの意思はどのように決まる