ネタバレ有オッペンハイマー感想
・人間は集団になると良くも悪くも「創発」が起きてしまう
・テクノロジーの使い道は指数関数的に(良くも悪くも)進歩する。そしてそれは人間の倫理を待たない。
・戦争においては全てがイかれてしまう。
・オッペンハイマーだけではどうもこうもできないのか………
・金と時間かけたら、どんな理屈も(今回は原爆開発と投下)まかり通るって超超超怖くね?
・「世界は理解できない、それを使うまでは」の言葉かっこよすぎて学者なりたいわと思った。学者はその脳内に使った様子をシミュレーションできるのだ!
・広島長崎の描写は無くて当然だなだってオッペンハイマーが視点の話だもの
・「我は死なり、世界の破壊者なり」に代表されるように、徹底的にオッペンハイマー自身に忠実で、ノーランの余計な思想とかの入ってない映画だった
・(この感覚は日本人に特に味わってほしいけど)「核抑止論」や「核が戦争を終わらせた」という言い分に少しは共感できるようになる。
・降伏直前の日本に核を落とすという批判あったけど、降伏しそうになければ落としてもよかったんですかね?みたいなことも思った。やはり戦争は全てを狂わせる
・理論と現実の対比。想像と現実の対比。やってみるまでなにも分からない。
・日本の戦争映画は原爆で終わることがあるけど、冷戦の話書いてたのは、すごく西洋の感性だ。
・そして、核という「それ自身は死ぬことのない、死を振りまくだけの死神」をこの世に生み出してしまった形而下の不安(ソ連も核を持つ不安、明らかに強力な大量殺戮兵器を生み出した不安)と同時に形而上の不安(誰も成し得なかった神の領域に踏み込んだ「かもしれない」不安、水爆というように人のコントロールが効かない、おぞましい開発がこれから核分裂の連鎖反応のように進み、このような惨事が繰り返される「かもしれない」不安、あらゆる負の可能性を切り開いてしまった「かもしれない」不安)
カメラワークや映像全てがかっこよかった
セリフ多い
隙がない
全てに意味がある徹底した作り込み
【特に印象に残ったこと】
最後のセリフ
"I am become Death, the Destroyer of Worlds."
Deathを「死」と訳するか「死神」と訳するか。
死神はそれ自身が死ぬことのない、死を振りまくだけの存在。
核が生まれてしまったこの世界において、核が死ぬ(その存在が完全に消える)ことはない。
たとえ、世界的な機関で核の完全抹消が採決されたとしても、秘密裏にこの世界のどこかで作られているかもしれない、という「核の恐怖」からは逃れられない。それは核という名の死神だ。
そういう意味で、オッペンハイマーは自分を死神としたのかもしれない。
核という死神は金輪際、この世から消えない。
オッペンハイマー後に生きる私達、全ての人々は死神の機嫌を伺いながら、その死角で息を潜めて生きている。
そして、現代、AIや遺伝子組換えなど世界をひっくり返しかねない技術が次々と生まれている。
これらから次なる死神を出さないためには……
現代に蘇ったオッペンハイマーは私にそう問いかけたような気がした。